皆さんのクライアントの子どもや孫は、お金の扱いに精通するマネー・マスターですか。それともお金を浪費するマネー・モンスターですか。子は宝であり、彼らが親からお金やエネルギーを吸い取るだけの穀潰しになってしまう状況は避けたいものです。
これからバランスのとれたお金の専門家として自己のイメージを再構成する方法を紹介します。これにより、クライアントの子どもや孫をマネー・マスターに導く手助けが出来ます。
家族の資産は、2世代目でその70%、3世代目では90%が消費されると言われています。裕福な人が健康を損なうことの次に恐れるのは、子どもや孫にお金を相続することで彼らを駄目にしてしまうことです。子ども達が相続したお金を全て浪費してしまうという最悪のケースをよく耳にします。それは、子ども世代がお金の賢明な使い方や管理方法を教えてもらわなかったことが原因です。彼らの多くは、金遣いが荒く衝動買いの絶えない浪費家になってしまいます。このような「マネ-・モンスター」を創出したのは、他でもない親や祖父母です。
私には双子の息子がいます。彼らが幼い頃、お金に責任を持てるよう育てるにはどうしたらいいか悩んだ結果、7つの習慣を考え出しました。その中で最も重要な2つを紹介します。
その1: 幼い頃から貯金の大切さを教える
子どもをマネー・マスターにするには、貯金の大切さを早い時期に教えることです。子どもがまだとても幼い頃、彼らが何かをねだったり、お金を要求したり、どこかに連れていって欲しいと言った時、私はいつも何か手伝いをしてその権利を得るよう伝えました。
息子達が2歳の頃から、ゴミを出す日にゴミ箱の中身を集める事、枯葉の掃除、花の水やりなど年相応の家事をさせました。貯金箱を買い与え、お手伝いの代償として毎週お小遣いを渡しました。お金の概念を教えるため、子どもと一緒に紙のお金と財布を作ったこともあります。貯金箱が一杯になると、地元の銀行や証券会社に子どもを連れて行き、銀行員やアドバイザーと面会させました。当座預金口座や投資口座を開設し、順を追ってお金の扱い方を教えました。「お金の事がよく分かってきたわね。とても誇りに思うわ!」と褒めるのも忘れませんでした。
その2: 報酬制度を作る
親は、ついつい子どもに多くのことをさせ過ぎてしまいます。サッカー、テコンドー、水泳などの習い事に子どもは大忙しです。しかし親が、彼らの活動に対してご褒美をあげることはほとんどありません。いくら楽しいことでも子どもは多くのエネルギーを使い、時間の制約も受けます。これは仕事と一緒です。ご褒美があると、子どもは自分の働きの価値を認識し喜びを得ます。長年にわたり私は様々なご褒美制度を作ってきました。
その一つに「朝のお手伝い手当」があります。このお陰で子ども達が保育園生の頃から、朝のストレスが全くありませんでした。子ども達は、早起きして朝食を食べ、学校やその他の活動の準備全てを自分で済ませます。これが出来たら、約束したご褒美とお小遣いを渡します。金銭的な報酬だけでなく、心を込めて彼らを褒めました。これは心理面、感情面で大きな効果がありました。私が作った表は、ウェブサイト nomoneymonster.comから無料でダウンロードできます。クライアントに渡すなどして利用してください。
どんな子どもも、素晴らしいお金の達人になる無限の可能性があります。子どもの頃自転車の乗り方を習得すると大人になっても決して忘れないように、お金を稼ぎ、貯蓄し、投資し、シェアする方法を早い時期に身につけると、それは一生のスキルになります。子どもの周りにはお金や成功について間違った情報を発信するソーシャル・メディアやハリウッド映画、仲間や悪意のあるセールスマンがいます。我々がクライアントの子ども達のサポートをしなければ、彼らは誤った情報を他から受け取り、望ましくない結果に終わるかもしれません。
クライアントの子どもがお金の管理や責任感を身につけるようサポートするのは、我々にしかできない貴重な役目です。クライアントを教育し、子ども達を守り、世の中にマネー・マスターを育てていきましょう。

Jae S. Lee, は、1回のCOTを含め7年間会員。カリフォルニア州南部で多様なクライアントにファイナンシャル・アドバイスを提供している。自身の設立したGood Life AdvisorsのCEO。2012年から地元の非営利団体でファイナンシャル・リテラシーを教えるボランティアを続けている。韓国語で個人向けファイナンシャル・プランの本を出版。