皆さん、こんにちは!本日は私の話をお聞きいただくためにお集まり頂きましてありがとうございます。せっかくお時間を頂くわけですので何かひとつでも参考になるものを持ち帰って頂くように一生懸命話を致します。よろしくお願いいたします。
まずは簡単に自己紹介をさせてください。私は2つの前職を経てこの業界に入りました。
ずっと営業で10年間仕事をしてきましたが、性能にかかわらず自社の製品を売らなくてはならないということに疑問を感じていたときにリクルートの話を頂き、日本の保険業界を変革するという創業者の理念に共感してこの業界に入りました。たまたま前職が医療機器を販売する会社であったため、お世話になっていたあるひとりのドクターに電話をかけたことが私の進む道を決めてくれました。ここから始まるストーリーが「専門性を高めて生産性を上げよう!」という今日の私の話につながってゆきます。
このドクターはS先生という方で総合病院の外科部長をされていました。新人の私が恐る恐るアポ取りの電話をかけますと、この先生は「いやー加藤さん、転職されたのは聞いていました。いつ電話をかけてきてくれるかずっと待っていたんですよ」と言ってくれました。
前職ではいつも話していたドクターでしたが、保険屋になって初めてかけた電話のこの言葉は本当にうれしかったですね。それからすぐに会いに行きまして話しをさせて頂き、次回はご自宅に訪問、そして奥様にもお会いして一家の保険をすべてお預かりしました。この商談で何か感じるものがあったのでしょう。先生との会話やフィーリングが私にぴったりと合うことが分かったんですね。これを契機に私はこの先もずっとドクター・マーケットでやっていこうと決めました。それから勤務医の方ばかりの保険営業を続けてゆきました。7年間ほどドクターの個人保険を続けていたとき、ある転機が訪れました。ひとりのドクターが開業されるというのです。
これが始まりで、この後毎年お客様が開業されるようになりました。現在は約300人のドクターの契約者がおりますが、この様に展開しつつ勤務医マーケットや開業医マーケットにおける考え方や、私が経験から学んだことを皆さんにお伝えしてゆきたいと思います。
まずは一般論としてお話します。基本的には保険営業は皆さんも個人で活動していますよね。ひとりで見込客を発見して、結果を出してまた見込客を見つけてゆく。いわゆる一馬力、一人力なわけです。そうなりますとランチェスターの法則にもありますように、力を分散させてはいけないということになります。自分の力をフォーカスする、集中させることが大事になります。力をどこに集中させるかは皆さんひとり一人の選択となります。法人なのか個人なのか、同じ法人でもどんな業種なのか、個人といってもサラリーマン世帯をターゲットにするのか、あるいは相続に特化するのか、あるいは全く視点を変えて地域を限定してゆくのか。ここは皆さんが自由に選ぶことができます。大切なことはどこであれフォーカスするということです。
そして次のステップは自分がやっていることをきちんと知ってもらうことが大事になります。「看板」をたてるんですね。「自分はドクターマーケットのプロです。」「自分は相続のプロです。」というように、お客様とこれからお客様になるであろう方に知ってもらわなければなりません。まずは目の前にいるお客様にはっきり言うことです。そして情報として流す。皆さん、情報伝達の手段として何が最強か分かりますか?チラシ?ホームページ?SNS?いまどきのSNSの威力はすごいですよね。それらの手段も大いに利用すべきだと思います。しかし、今でも最も強力な広告手段は「口コミ」です。
ちょっと想像してみてください、皆さんはすばらしい食事ができたレストラン、気持ちよく買い物ができたお店、想像を超えたサービスを提供してくれた販売店のことを人に話したくなりませんか?なりますよね。この影響力はすごいものがあります。ですから私達は常に今この瞬間に関わっている仕事を全力でしなければいけないということになります。この目の前の仕事が次の仕事につながってゆくからです。
次に具体的なお話をしてゆきましょう。私は医療業界、特にドクター・マーケットを中心に仕事をしていますが、このマーケットの話をさせて頂くことで専門分野に特化してゆくことのメリット、生産性の上げ方などをお伝えしてゆきたいと思います。そしてドクター・マーケットを自分のフィールドにしたいと思っている方の、参考になればいいと思うポイントなどをお話したいと思います。まずはドクターとはどんな方でしょう?
分かっているようであまり知らないのがドクターの一生です。まずは学生さんは私立大学であれ、国立大学であれ医学部に入学します。医学部での6年間の最後に国家試験をうけ、これに合格したら晴れて医師となります。おもしろいものでこの日本で最強の資格である医師免許を取得すると、大学教授でも資格を取ったばかりの新人医師でも対等な「先生」になります。この時点では医師ではありますが、内科、外科などの専門は決まっていません。
卒業すると最低2年間は研修医として、各診療科を回りながら研修を積んでゆき、自分の将来の専門を決めます。そしてほとんどの研修医はどこかの大学の医局に属して、一人前の医師となるべくスタートを切るわけです。医局とは皆さんもお聞きになったことがあると思いますが、一言で言えば「大学とその附属病院における臨床、教育、人事、研究などをおこなう組織」です。教授を頂点としたピラミッド型の組織です。医師は医局のなかで階段を上ってゆき最終的には教授の座を目指します。
しかし皆さん、考えてみてください。全員教授にはなれないですよね、そうです。最後のひとりになれなかった人たちは途中でどこかの市中病院に就職するか、開業という道を選びます。もちろんこれはかなりステロタイプな分類ではあります。
現実は積極的に開業の路をえらぶ方もいらっしゃるし、研究者としての道に使命を感じる方もいます。ですが間違いないのは、医師は医療の路に進むということです。医師になってレストランでフライパンを振っている人はほとんどいません。まとめますと国家資格をとって医師になるとその後は、大学病院などを中心とした勤務医の道を進むか、開業して開業医として医療と経営の道に進むかのどちらかを選択していくということです。
ここで医師の一生が大まかにつかめたところで、少し視点を保険販売にむけて考えて見ましょう。保険販売におけるドクター・マーケットのメリット、デメリットを考えてみましょう。まずはメリットから、何点もあると思いますが3点にしぼって考えてみましょう。
まずはやはり大型案件になるということです。特に開業医さん向けの提案は高額なものになるケースが多いです。2番目には継続率が良いということもあります。せっかく必要と思ってご加入いただいた保険だと考えると、早期解約や失効は極力避けたいものです。医師の所得は右肩上がりになっていきます。勤務医であっても少なくとも下がるということはありません。また医療法人になれば一般の法人に比べてよほどのことがない限り売り上げが下がることはなく、安定しています。ですから途中で保険料の支払いが困難になるケースはまれだといえるでしょう。高額な保険の継続率がいいということですね。そして3番目はライフサイクルの中で何度も保険提案の機会があるということです。ここを少し詳しくみてみましょう。
先ほどお話した医師のライフサイクルを思い出してください。まず研修医の独身時代には将来のベースになる、貯蓄性のある終身保険や年金保険を提案できます。今は研修医であっても収入がありますし、忙しい時代なのであまりお金も使わないので貯蓄性のあるものを勧めます。結婚してお子さんができれば、一般的な保障タイプの保険提案ができます。そしてこのまま勤務医であっても提案できるものが、比較的大きい金額の年金保険です。医師は転勤が多く移動のたびに退職金を受け取っていくので、最終的な退職金が少ない傾向にあります。そこで少ない退職金を補う目的で、個人年金の加入を勧めると喜ばれます。
この方が途中で開業されたらどうなるでしょうか。個人の開業であれば個人事業主として、借入金の返済のための保険が必要になります。これにはいわゆる逓減定期や収入保障などの保険があてはまります。また従業員の福利厚生なども考えられるでしょう。そこから数年たち法人成りすれば理事長としての事業保障、退職金準備のための保険、従業員の福利厚生などの加入を勧めることができるでしょう。。そして時がたち50代、60代ともなれば資産も増えて相続対策を考える時期がきます。相続対策は開業医の場合非常に高い確率で解決しなければならない問題となります。もちろん保険だけですべてが解決できるわけでもないので、顧問税理士などとの連携を密にしてゆく必要があるでしょう。
またこの頃にはお子さんが医学部を卒業しているかもしれません。医師の子どもはやはり医師になるケースが多く、子や孫への保険加入、贈与などの提案ができる可能性が高いですね。この様に子どもの世代の医師につながってゆく連鎖は保険営業を長く安定的に続けるという観点からも魅力です。医師は、特に開業医は70代まで働くことは珍しくなく、保険料の支払能力は長く続きます。こんなことが3番目の大きなメリットになるのです。
この3番目のメリットについて、具体的に私のお客様の例でお話します。このドクターとは先生が31歳の時に既契約の医師の方からの紹介で会いました。大学病院の麻酔科に勤務の方でした。素直な方で、気持ちよくご家族のためにと終身保険と定期保険、そして医療保険というような内容でご加入いただきました。同時に奥様の終身保険と医療保険、お子様おふたりの終身保険と医療保険も加入いただきました。お子様は2歳と0歳でした。
その後、すぐに開業が決まり、退職金の代わりにと年金保険にご加入いただきました。翌年には法人成りして従業員の方を含め、全員加入の福利厚生プランを採用していただきました。数年してクリニックの移転が決まり、この保険を全解約してその移転資金に充当しました。移転が成功して売り上げも伸びてきましたので法人なりしたときに、再び長期平準定期保険、福利厚生プランをお勧めし、加入となりました。同時期に別会社を2社立ち上げこちらでも長期の平準定期保険、福利厚生プランにご加入いただきました。数年前から相続対策をお勧めして、お子様への贈与と組み合わせた一時所得タイプのプランと、お子様自身の保険、また二次相続対策で奥様の終身保険を増額していただきました。こんな風にこのドクターご一家とは23年間お付き合いしております。結果として現在、医療法人と別法人で約12,000万円、個人で約1.000万円の保険料をお支払いただいております。当時2歳だったお子様は今年医学部を無事卒業し、ドクターになりました。こんな風にドクターとのお付き合いは続いてゆくのです。
今ドクターに対する保険提案の話になりましたので、具体的に商談をすすめる時に注意しなければいけない点をお話します。3つあります。1番はシンプルに話すこと。2番目は論理的に話すこと。最後は感情的になり過ぎないこと。この3つです。
シンプルに話すということは短時間で話すということでもあります。忙しい方たちですから短時間で説明しなければなりません。また基本的に理系の方が多く、理解力もある方たちですから、保険の仕組みや効果を論理的に話していけば理解していただけます。そしてドクターは仕事柄、日常的に人の死に接していますから、過剰に感情的な話し方をしないほうが良いということも言えます。無駄な部分をそぎ落としてシンプルに、論理的に、短時間でプレゼンをすることが大事です。
それでは次にデメリットとして考えられる要素も3点にしぼって考えて見ましょう。ひとつめは医師は忙しくてなかかなか会えない。二つ目は紹介が出にくい、いわゆる見込客発見が難しい。そして三つめはそもそもドクターと何を話していいか話題がみつからない、などといったところでしょうか。色々な本を見ていますとドクター・マーケットの良い面、つまりメリットばかりを強調して、その裏側の難しさを説明しているものは少ないのが現状ではないでしょうか。ほとんどの人は素晴らしいマーケットだと勇んで取り組みますが、現実の厚い壁にはばまれて挫折してしまうのです。本当はこのデメリット、難しさをいかに理解して克服するかが一番重要なことになるのです。自分にとって難しいことは人もそうだということです。自分がそれを克服することが成功への近道ですね。それでは実際にどうすれば良いかを考えていきましょう。
まず医師は忙しいということですが、これは紛れもない現実です。そこにどうやってはいってゆくか?まず勤務医の場合ですと、今日は外来日、今日はオペ日、今日は検査日というように一週間のスケジュールが決まっていますのでそこに隙間を見つけるのです。大体週に一度くらいは、たとえば木曜日の午後は時間がとりやすいと言うように空き時間があります。そこを見つけて、毎週その時間を訪問日にします。また一定の間隔で、当直という仕事がありまして、その時は病院に泊まって勤務します。この時間は緊急の患者がいれば対応しなければなりませんが、そうでなければ暇ですので、比較的会いやすいと思います。
開業医の場合はやはり週のうち何日かは、MRや医療機器業者と会う日時や時間帯を決めている方がいますので、それを早く知ることが重要です。ただ本質的なことから言えば、時間がないということは優先順位の問題で、どんなに忙しくても興味のあることには時間を割いてくれるものであるということは、医師でも経営者でも変わりはありません。
次に見込客発見が難しいということですがこれも現実です。簡単に言えば紹介が出にくいのです。これは医師のプライドの高さから来るものではないかと思っていますが、面白いものでご自身が紹介されて私達と会っているのに自分は紹介できないんです。これは一般の方よりその傾向が強いと思います。ただそうであってもコツコツと紹介依頼は続けなくてはいけません。私が心がけているのは「強引にならずに、でも忘れずに何回も依頼をする。」ということです。
私にもこんな経験があります。いつものように何の気なしにお願いした紹介依頼に対して、数年たって先方から電話してくれて、紹介をくれた方がいらっしゃいました。しかも2人続けてです。この方は申し込みの診査の時に行き違いからトラブルになりかけたことがありまして、電話をもらったときは「解約か!」と心配しましたがそうではなかったんですね。そのうちのおひとりはその後開業されて成功し、今では大変大きな保険料を払ってくれるお客様になりました。先ほど私が具体例でお話したドクターがそのうちのひとりです。そんなこともあるんです。ドクター・マーケットである程度コンスタントに紹介をいただくためには「キーマン」を作ってゆくことが不可欠です。皆さんも日々の活動の中で「協力者」などとして多くご紹介をもらっている方がいると思います。
どんな方がいいかというと、知り合いが多いとか、人望が厚いとか色々あると思いますが、基本的には人として自分に合う方がいいとでも言いましょうか。そんな方だと思ったら私は「○○先生、私はドクター・マーケットで仕事をしています。そこをもっと広げて皆さんのお役に立ちたいと思っています。先生とも長い間お付き合いをお願いして、ご紹介もいただきたいと思います。是非私のキーマンになってください。」と正直に言います。ここでの大事なことはキーマンという言葉をキチンと出すことですね。勤務医の方でいえば、医局制度の中ですと医局長あたりの方でしょうか。開業医の方であれば今でも大学の医局とのつながりのあるような方や、医師会の中で活躍されているような方でしょうか。どのような方であれ、まずは食事やお酒、ゴルフなどで親しくなるといいうことも、一つの手段として必要だと思います。またキーマンの方は1人ではなく複数人の方にお願いしたほうがいいでしょう。ひとりの方だけですと過度に負担をかけすぎていい関係が築けなくなってしまう可能性があるからです。
そして最後にドクターとはどんな話をしていいか分からない、どうも緊張してしまうということですが、これも理解できます。しかしドクターに対して過度にへりくだった態度は禁物です。あるドクターに聞いたことがあるのですが、医師は卑屈な営業マンが1番嫌いだそうです。ドクターは医療の専門家、われわれは金融、保険の専門家ということで対等にお付き合いすることが必要ではないでしょうか。
また何を話題にしていいか分からないということもあり、ドクターというとゴルフ、車などの話ばかりすることになってしまうことになりがちです。ちょっと視点を変えて経営者、社長が好きな話題は何でしょうか?それは会社の経営の話です。経営者ですから当たり前です。ところが医師というとゴルフ、車の話、おかしいと思いませんか。ドクターは医療従事者です、ですからドクターが好きな話は「医療」の話なんです。だから皆さんもドクターと医療の話をすればいいんです。
そんなことできませんよ、という声が聞こえてきそうです。皆さん勉強してください。最初は簡単なことからでいいです。まずは医療事故や医療現場で話題になった新聞などの記事をキチンと読んでください。次に医療関係の本を読んでください。まずはマンガでいいですよ、マンガはちゃんとしたドクターが監修していますから誇張した点はあるにせよ、具体的な医療現場を知ることができます。そして次に医師の書いた本を読んでください。これも実はかなりの数が出版されていまして、医師の本音がよくわかるようになります。医療のことを知りたいと思っている目でみると、どんどんそういうことが見えるようになってくるんです。
そして次は勉強して分からなかったことをキーマンのドクターに聞くんです。食事でもしながら「先日、新聞に載っていたあの医療事故のことですが、こんなところが分からないんですが、教えてください」と言えばキーマンの先生との距離も近くなり、皆さんの話題の引き出しも増え、新規のお客さんとの話題もできるようになるはずです。今まで述べてきたように、デメリット、難しいと思っていたことを乗り越えようとして工夫してゆくことで、ドクター・マーケットを徐々に自分のものにしてゆくことができます。
ここで少しドクター・マーケットについてまとめてみます。ドクターという限られた業種の中で特化することで大きな成果を見込んでゆくことができます。今までお話してお分かりのようにドクターマーケットにいたる道はハードルが高いです。それを一つずつ解決してゆくと、つまり専門性を高めてゆくと大きな成果が得られるということです。研修医からスタートした彼らの人生は、1人前の勤務医になり大学人として教授になること、また市中病院の部長、院長となることで階段を上がってゆきます。その中から開業する方がでてきて、経済的に大きな成功を収める方も多く出てくるのです。そして先ほどもみましたようにいくつかのステップで保険提案の機会が訪れます。お一人、お一人のドクターとキチンとしたお付き合いをしてゆくことで、生産性の高い仕事をしてゆくことができるようになります。
私はたまたま前職で医療関係の仕事をしていましたのでドクターマーケットに入っていきやすかった、ということはあるかもしれません。ですが私のような者やMR出身でなければ、このマーケットでうまくゆかないかというと、決してそんなことはありません。もちろん成果が出るまでの時間は短かったかもしれませんが、それだけのことです。私も前職で何百人ものドクターを知っておりましたが、実際に電話をかけたのは最初にお話したS先生を含め3人だけでした。ですからしっかりと医療マーケットについて学び、また真摯な態度で取り組めば誰でもうまくゆくはずです。
「神は細部に宿る」という言葉があるのはご存知の方も多いと思います。専門性を高めていくときには、小さなことを大切にする、細部にこだわることが非常に大切になると思います。またドクターマーケットの例でお話すればたとえば、どんな時間にどんな風に電話をすればつながりやすいか、病院のどこで話をすればいいのか、商談時間はどれくらい、専門用語は使ったほうがいいかなどです。ふつうの営業の場面ではあまり気にせずに通り過ぎてしまうようなことも、ドクターマーケットをはじめとする専門性の高い分野では、知らないことが大きなマイナスに働くかもしれませんね。
今まではドクターマーケットとしてお話してきましたが、この分野は広く捉えると医療マーケットということができます。医療マーケットの1番上にドクターが存在しますので、ドクターを知っていれば、自然とさまざまな医療分野に到達することができます。たとえば薬剤師のマーケット、ナースのマーケット、検査技師さんなどのコメディカルのマーケット、医療機器業者のマーケット、MRさんのマーケットなどに自然に行き着けるのです。そして医療マーケット全体を知っていることが、ドクターマーケットに対して有利に働くのです。皆さん是非この機会にドクター・マーケットという専門性の高い分野で活躍してみませんか!
わたしのお話の最後に、皆さんにドクター・マーケットで成功する秘訣をお教えしましょう。ふたつあります。まずひとつめは、自分のこととしてイメージしてみること。自分のお客様がドクターだと仮定して、その方が研修医から一人前の勤務医になり教授になるとか、開業して成功して法人なりしてゆくとか、また相続の相談を受けているとか具体的にイメージしてイメージトレーニングをするんですね。それはドクターマーケットを点ではなく線で捉えるということです。ドクターの人生を俯瞰してみるということです。そうすることによって短期的な商談にとらわれすぎずに、長いお付き合いの中で仕事をしてゆくというイメージができあがります。
次の秘訣はたった一言です。「ドクターという人を好きになる」ということです。どうですか?簡単な言葉でしょう。ドクターの一般的な評価はたとえば「変わっている」「とっつきづらい」「話しづらい」「プライドが高くて付き合いにくい」などなどネガティブな評価が多いです。確かにそんな面もたくさんあります。ですがほとんどのドクターが医師としての使命感を持って患者さんの治療にあたっています。特に勤務医の方の場合、休みはおろか食事をする時間も無く診療におわれています。世間知らずな面もありますが、仕方ない事情だってあるわけです。そんな医師を好きにならなければこのマーケットで成功することはできないと思います。
ドクターが好きで彼ら、彼女達のお役にたちたい、寄り添ってゆきたいという気持ちが一番大切な成功の秘訣ではないでしょうか?私は26年間の経験からそう感じています。私はもちろんドクターが大好きです。
1995年のトロント大会に参加して以来、ずっと休むことなく世界大会に参加しておりますが、どの大会でも専門性を高めてゆくと効率が高まり、生産性が上がるという話を聞きました。私の歩んできた道は、そのような話にインスピレーションを得ています。いかに短時間で効率の良い仕事をするか、そしてそこで生まれた時間を家族と過ごしたり、ボランティアに使ったりすることがどんなに大切かをMDRTに教えてもらいました。感謝しています。
もちろんキャリアの初期の時期には、量という概念も必要だと思います。しかしある時期から先は生産性を高めてゆかないと、長い間安定して仕事を続けていくことはできません。MDRTの歴史がそのことを証明しています。MDRTの入会基準を皆さん知っていらっしゃいますか?MDRTの件数の基準は1件だけです。1件の入会基準の意味をもう一度考えてみましょう。
本日は最後まで私の話をお聞き頂きましてありがとうございました。今日の私の話が、皆様の営業活動のお役に立てれば幸せに思います。あらためましてご清聴ありがとうございました。

Hiroshi Kato, 加藤 洋は9回のコート・オブ・ザ・テーブルを含め、25年間MDRT会員。2008年のMCC Zone Chair兼日本会会長。医療業界に特化することで社内表彰25年連続入賞を果たしてきた。