
上の小さな写真は一番のお気に入りです。2005年に撮影しました。金曜日に仕事から帰宅した後、4人の子ども達にせがまれて、外遊びをしました。仕事を片付けたかったのですが、子ども達に手を引かれるままに中庭へ出ました。
私と同じく小さなお子さんを持つ方ならお分かりでしょう。忙しかった1週間からやっと解放され、子どもと充実した時間を過ごすなら、本を読んだり、ブランコを押したり、散歩に出掛けたりする穏やかなアクティビティが理想的です。私はこれを「低燃費でハイリターンな遊び」と位置付けています。
ところが、この日は子ども達から庭にある全ての煉瓦ブロックに、チョークで色を塗るという指示を受けました。「全ての色を使うこと」「隣同士の煉瓦が同じ色になってはいけない」というルールが定められていました。塗り残しがあってはいけません。私が期待した「低燃費」の活動ではありませんでした。
単調なプロジェクトが完了した後、この写真を撮影しました。まだ若かった頃の「愛おしい時間」を思い出します。もしあの時、仕事を優先していたら、この瞬間も大好きな写真も存在しませんでした。
この件をきっかけに考え始めたことがあります。父親として学んだ教訓をビジネス・リーダーとして生かすことができないでしょうか。リストにまとめてみました。
- ビジョンを抱く
ビジネスには哲学もしくはOSが必要です。あなたが操縦し作っていきます。人生には不測の事態が起こります。道を外れそうになることもあるでしょう。各家庭に合ったポリシーがある様に、ビジネス哲学も、社風と合致するものでなければなりません。 - マスターするまで繰り返す
私のアシスタントのひとりは、「あなたはビジネス学でもPh.D.の学位を持っていますよね」とよく言います。実際の学位を意味しているわけではなく、私がテクニカルな面やオペレーションに精通しているという意味です。例を挙げましょう。あなたはスタッフに「クライアントのファイルや書類が見つからなくて困っていると、あなたはサッと見つけてしまう」と言われたことはありませんか。ある時、息子にガレージに道具を取りに行かせました。10分経っても帰ってこないので、結局は自分がガレージに行き保管場所を(再度)教えてやります。あなたのスキルや知識は、何年も、何十年もかけて獲得したものです。他の人にも同じレベルを期待してはいけません。 - 日頃から労いの気持ちを持つ
先日、会社の創立25周年を祝いました。大きな節目や業績を大々的に喜ぶことも大切です。けれども日常的な取り組みを認めることも重要です。例を挙げましょう。娘は舞台のセリフを暗記するために、毎晩遅くまで意欲的に練習に励みました。発表当日の観客のスタンディング・オベーションよりも、日々の努力を誉められることの方が大きな自信に繋がるはずです。オフィスでも周年記念を祝いますが、スタッフの一貫した具体的な取り組みを労うことも忘れません。
子どもから、職場で役立つリーダーシップのヒントを学ぶことができます。
- 謝罪は最低限に
子ども達にすぐ頭を下げる人になって欲しいですか。あるいはスタッフが誤りを認めて謝罪する様子をどう思いますか。あなたが模範を示しましょう。自分の子どもやスタッフ(あるいはクライアント)に頭を下げる様子を考えるとゾッとします。なぜなら本来自分がリーダーシップを発揮すべき相手に、リーダーシップを許してしまっているからです。もちろん直感とは相いれなくても、謝罪が本当に必要な時には実行しなければなりません。 - 寛大さと厳しさの同居
次女がまだ小さかった頃、夜中に目を覚ます癖がありました。短期間で1回か2回ならまだしも、毎晩数回も目を覚ますことが約1年間続きました。親として私は経験したことのないレベルの「寛大さと厳しさ」が求められました。最終的に娘は悪癖を克服することができましたが「境界線を設けたら最後までそれを守る」ことの大切さを改めて学びました。 - 相手の意思を尊重する
「マイウェイを貫けば上手く行く。私はその生き証人だ」というセリフを聞いたことがあります。真実である反面、リーダー的資質からすると実践的ではありません。例えば、私の4人の子ども達は、興味のある分野が全員異なります。Claireは外交的で愉快でバンドマニアな所が私に似ています。Oliviaは頑張り屋で映画マニアな所がそっくりです。Dominicは典型的なスポーツ大好き高校生です。Victorは卒業生総代としてスピーチに取り組んでいます。子ども達の個性を大切にしてきたことで、私のリーダーシップが研ぎ澄まされました。会社でもクライアントに対しても、「マイウェイ・カルチャー」を押し付けないように注意しています。 - 各人に関心を持つ
「私の存在が重要だと言って欲しい」誰もが、見えないサインを出して訴えています。親としての経験から子ども達一人ひとりに関心を示す機会を見極めなければならないことを学びました。職場のリーダーもクライアントやスタッフが大切な存在であることを伝える方法を探さなくてはなりません。そのためには、一対一の対話に勝るものはないと実感しました。 - 8.見返りを求めずに行動する
子どもや妻のためと思ってしたのに特に感謝されなかった経験はたくさんあります。クライアントやスタッフの場合はどうでしょう。感謝されたいがために贈り物や過剰なサービスをしていませんか。これは慎むべきです。家庭と同様に職場のリーダーも、見返りを期待せずに正しいと思うことを実行しなければなりません。 - 時間はあっという間に過ぎる
常に学び、前進する姿勢を持てば、時間を味方につけることができます。子ども達に関心を持って接すれば、職場で役立つリーダーシップのヒントを学ぶことができます。子どもは本当に宝物です。
Adam Solano は、イリノイ州の21年間MDRT会員です。