
髙久(以下Takaku): 本日のテーマであります「フィービジネスへ移行した国の会員から学ぶ、今後のアジア、特に日本の市場動向」について、パネルディスカッションを始めます。皆さま画面にご注目ください。英国、オーストラリア、米国、日本の違いについてそのポイントとなる項目が表示されています。英国に端を発したフィービジネスへの移行は、米国、オーストラリアそしてアジア諸国へと伝わり、我々のビジネス形態に変化をもたらせております。保険会社がコミッションを支払わなくなる中、生命保険のプロフェッショナルとしてだけではなく、投資信託等その他の金融商品も含めてFA(ファイナンシャル・アドバイザー)として包括的かつ総合的にお客様の金融資産の管理・運用並びにリスク・マネージメントを行うことが、世界的に主流となりつつあります。
一方アジア諸国では、一社専属の生命保険のセールス・パーソンが中心のビジネス形態が、特に歴史のある日本、韓国、そして中国に根強い現状にあります。さて、日本では多くが一社専属で、生命保険のみを扱っています。今後日本の生命保険事業にこれらの変化がやってくるかどうかは分かりませんが、世界の市場動向について、その最先端の情報や既に移行している国のアドバイザーの姿を知り、理解することはとても重要であると思われます。
具体的な内容に入る前に、まずはIFAとは何かについて、お話し致します。IFAとはIndependent Financial Adviser、独立金融アドバイザーです。様々な保険会社、証券会社等から独立した立場で顧客の要望に応えるアドバイザーのことを指します。英国に端を発したIFAはアドバイザリー・フィーを顧客から頂きます。日本において、アドバイザリー・フィーがビジネスとして既に成り立っている例としては、弁護士報酬が挙げられると思います。では、早速初めましょう。
Caroline、まずIFAの現状について教えて下さい。
Banks (以下CB): 現在英国でのIFAは信頼される専門家というポジショニングです。クライアントの会計士又は弁護士と同等の立場に置かれています。イギリスでは2012年12月31日までにフィー・ベースに切り替えなければなりませんでした。銀行も同じ立場にあり、その結果多くの銀行はこの市場から撤退しました。銀行は行員がアドバイザーになるために必要な知識を身に着けるためのトレーニングにかける資金的な余裕がなく、このビジネス・モデルが有益と判断しませんでした。
切り替えるまでの準備期間があり、規制当局からどう対応しているか問い合わせがありました。この変更は単に手数料などの収入源が変わるだけではなかったので、早期に取り組んだ者には良い結果がでました。新しい資格レベルが必須となり、業界で40年の経験があろうと関係なく、2012年12月末日までに必須の資格を得られない場合、クライアントにアドバイスをしたり、新しいクライアントを得る事はできなくなりました。
その結果、アドバイザーの数は激減しました。生き残った者は、単に生き残ったとは言わないでしょう。努力の成果、移行期間と変更の末、利益増加と充実したビジネスを得て繁栄しています。毎年新年にゼロスタートするのではなく、優れたビジネス・モデルにより安定した利益のあるビジネスを行うことができます。
アドバイザー数が限られているのに需要が多いので、私たちが望むタイプのフィーを払えるクライアントを中心に仕事をしています。このことはまた後で話します。
髙久(以下Takaku): IFAが英国から伝播しているオーストラリアの現状について教えて下さい。
McQueen (以下AM): オーストラリアは英国のすぐ後を追ってIFAに移行し、アドバイザーとして働くには2020年までに試験に合格することが義務付けられます。試験に合格しなければ、ファイナンスに関するアドバイスはできません。その後2024年1月までにAQF8レベル8教科の修士課程を取得しなければフィナンシャル・アドバイザーとして働くことはできません。これは業界全体が対象です。
髙久(以下Takaku): 清水さんはこのような現状が英国発祥、そして各国伝播の前から代理店開業をなさっていますが、欧米のこのような流れについてどのように受け止めていますか?
清水(以下TS): イギリスではフィービジネスの移行は手数料開示が端緒となったと聞いております。手数料が開示されると、今までの様な高い初年度手数料を設定することは難しくなり、結果として生保ビジネスの収益性の低下をまねきます。
リテールマーケットの様な現在でも収益性の低い商品はネットや通販、ショップ等のロー・コスト・オペレーションで販売が行われるチャネルへ移行せざるをえなくなると思います。結果としてプレイヤーが大幅に減少していくということはイギリスでの歴史が証明しています。ところが生き残ったIFAにはむしろ富が集中し、大成功をおさめています。そのための条件は二つあり、富裕層をターゲットとすることと、証券ビジネスへの参入です。
生保単独では客単価を上げることができず、証券のクロスセルがおそらく日本でも必須条件となるでしょう。もし日本で保険と証券の融合型のビジネスが成立するのであれば、欧米の様なフィービジネスが主体となっていくことは間違いないと思います。ただしこの2つの条件がみたされた場合です。
製販分離の進展
髙久(以下Takaku): 日本では生命保険会社が商品を製造し、かつ営業部隊を雇用しています。英国では製販分離が加速したのは残念ながら直販営業職員の不正が横行し、保険会社が抱え切れなかったことが大きな原因とされています。もしこのような事態がなければ、IFA主体や製販分離は現在のように進んだと思いますか?
Banks (以下CB): 80年代後半にイギリスでは一社専属のアドバイザーは姿を消し、IFAモデルが主流となりました。見方としては、ある時英国には30万人のエージェントが存在しました。今では3万人以下です。誤った販売をしたという批判を何年にも渡り耳にしました。アドバイザーにフィーを支払うことにより、手数料の高い会社の商品を勧めるといった偏重を防ぐためでした。アドバイザーは保険や投資会社からプレゼント等を受け取ることはできません。ホスピタリティ(心付け)やイベント費用も受け取れません。自分のスタッフにボーナスを支払う時も「売上増加」を理由にすることはできません。
McQueen (以下AM): 1990年代に多くのアドバイザーは一社専属からフィナンシャル・サービスのライセンスを提供する会社に移行し、これにより保険会社ではなく、アドバイザー個人がアドバイスの責任を負うことになりました。
最近は主要な商品を提供する保険会社がライセンス発行ビジネスから退きはじめました。これは「最善のアドバイスをする義務」と利益相反になるからです。多くのアドバイザーは商品を提供する保険会社ではなく、規制当局から直接ライセンスを取得しています。
清水(以下TS): 日本でも直販、代理店を含めて不正販売という問題は確実に存在していると思います。ただし現在は潜在化しているということではないでしょうか。なぜ日本ではフィービジネスが浸透しないかというと、保険営業マンが保険商品しか取り扱わないからです。実は保険商品はフィービジネスとの親和性がとても低いのです。生命保険のコンサルティングは契約時に役務が集中し、その後異動がなければ保全活動はあまり発生しません。このため長期間継続的にフィーをもらうというフィービジネスの構造と役務の提供とにミスマッチがおきてしまうからです。ところが資産運用はリバランスの様な継続的なコンサルティングが必要なため、顧客はそれに対するフィーを支払うことに納得出来るのです。
髙久(以下Takaku): 電化製品の業界では、高度経済成長期、テレビ・冷蔵庫・洗濯機という三種の神器といわれる白物家電の普及時には、メーカー専属小規模代理店(Panasonic、HITACHI、Toshibaなど)が全国の街に存在し、そこで消費者は電化製品を購入することが普通でした。しかし、2000年代には大規模な家電量販店の出現により、消費者の購買先が変化し、今では町の電気屋さんであるメーカー専属代理店はほぼ消滅しています。更に昨今ではアマゾンやアリババなどネットビジネスの進展により、メーカーの専属営業パーソンの存在は極めて薄くなっています。 お客様の買い物の方法の変化についてどう思いますか?
Banks (以下CB):世界中で買い物の方法が変わってきました。安価の商品を求める者はオンラインで購入します。すなわち大衆市場(量販市場)。サービスを求めている者はその対価を支払います。コールセンターへの電話より個人的に相談できる信頼できる人を求めます。このような方々が私のクライアントとなります。
McQueen (以下AM): 確かに変わってきています。(裕福でない)一部のクライアントはアドバイスにかかる費用を支払うことが困難です。裕福なクライアントに対しては保険だけでなく、もっと多くのことをしてあげられます。以前の制度では行えませんでしたが、今では投資、融資、会計、相続税対策などを行うことができます。クライアントは多くの商品をそれぞれの担当者と相談するのではなく、まとめて私たちのように一人のアドバイザーに託すことができます。
TS:そもそも一社専属のコミッション・ビジネスでは顧客の意向に100%沿った販売は不可能です。これは良し悪しの問題や善意の有る無しの問題ではなく構造上の問題です。ところが保険会社から完全に独立することは、購買代理の構造を100%作ることができ、保険会社の意向にとらわれずに正しいコンサルティングをすることが担保できます。
これを行うためにはイギリスのように保険会社が手数料を払えないとういうルールが作られて初めてなしえるものです。当社も証券部門に関しては、100% IFAを名乗ることができると考えておりますが、生命保険の部門におきましてはコミッション営業である以上100%の購買代理が出来ているとは思っておりません。
日本・アジアへの示唆
髙久(以下Takaku): 次に今日の1番のテーマに移りたいと思います。コミッション主体から、アドバイザリー・フィー主体のビジネス・モデルが日本やアジア諸国の国々にもやってくると思いますか?
Banks (以下CB): 世界中で始まっています。消費者は透明性を要求しています。
McQueen (以下AM): 2018年12月1日以降雇用とトレーニングに関する新しい規制がオーストラリアで施行されるために、新たにアドバイザーとなるのはとても難しくなります。そのため、この業界に参入する人は少なくなり、2020年の試験と2024年の修士課程を習得すれば、時間はかかるものの、アドバイザーの立場は良くなっていくと思います。
髙久(以下Takaku): やってくるとして、私たちはそれらに対してどのような準備を行うべきでしょうか。
Banks (以下CB):顧客より私の頭の中に(フィーベースへの)変更に対する恐怖心がありました。皆さんは「自分のクライアントはアドバイスのために費用は支払わない」と思っていることでしょう。私達の現在のクライアントも将来的なクライアントも賢明な人たちです。私達が何らかの形で(収入を)得ていることはクライアントも知っています。大きく変わるのは支払先が変更するだけです。取り扱う商品が値上がりするか、クライアントが投資する金額が減少するだけのことです。変更準備に関して次のことを念頭においてください。自分の能力に確信を持ち、提供するサービス(業務内容)に相応しい最高の資格を得ること、専門分野に徹してビジョンや戦略、プロセスと価値提案を明示することです。
McQueen (以下AM): 変えて行くのは難しいですが、変化を受け止め、取り込み前進して行くことで、変化を拒む多くの人(他のアドバイザー)を追い越して行くことができます。
髙久(以下Takaku): それでは清水さん、ズバリお聞きします。日本にそのような時代がやってくるでしょうか?
清水(以下TS): なんとも言えないと思います。私自身は20数年前に日本も米国型のIFAチャネルという販売形態に移行すると確信して独立をしました。その後より厳格なイギリス型が出現しました。
では日本の生保が今後IFA型となるでしょうか。日本で製販分離を行うのであれば、既存の大手生保は120年間かけて作り上げた専属販売チャネルを放棄して、後発のロー・コスト・オペレーションが可能な中小保険会社と同一の条件で戦うことにならざるをえません。日本の保険会社がこれを受け入れる可能性は低いと思います。よってイギリスの様なIFA形態になるのはまず考えられないのではないでしょうか。ただし、先ほども述べた通り手数料開示等の新たな規制が加わることは受け入れざるをえず、ビジネス環境は厳しいものとなることは確実ではないでしょうか。
髙久(以下Takaku): コミッションとアドバイザリー・フィーのバランスについて、差し支え無い範囲でご自身のご状況を教えて頂けますか?
Banks (以下CB): 英国においてはバランスはありません。2012年12月31日に手数料は廃止されました。実質、定期保険に対しての手数料は存在しますが、アドバイザー料として支払うという同意が必要です。クライアントの同意が得られない場合、ビジネスは前に進みません。クライアントが商品から支払うことに同意すれば、そのように処理はできます。私の会社(代理店)への利益はかなり増加しました。仕事のプロセスがよりスムーズになると共に少ないクライアント数でより手厚い仕事をしています。
McQueen (以下AM): 2013年1月7日より英国同様に新しいクライアントはフィーを支払ってもらうか、新たなアドバイスをする時にフィーを支払ってもらっています。保険の手数料は今でも存在しますが、手数料の金額はさらに少なくなっています。従って施行日以来、新たなビジネス全てに対してフィーを請求することが義務付けられましたので、そのようにしています。
髙久(以下Takaku): コミッションとアドバイザリー・フィーの捉え方についてです。日本市場において保険会社の営業職員の全員がコミッション・セールスです。これは保険会社に属している以上当然のことですが課題も指摘されています。契約を頂いた保険契約が成立しないと発生しないのです。一方で、アドバイザリー・フィーはお客様から直接頂くものです。ここで重要なのは日本のビジネスにおいて、担当者にチップを支払う文化がほとんどないことです。よってアドバイスやコンサルティング・サービスに対してフィーを支払うことには非常にハードルが高いと思われます。弁護士への相談料は受け入れらているものの、一般消費者にとっては極めて非日常のものです。
全員にお尋ねします。コミッションからアドバイザリー・フィーへの移行において、お客様とのやりとりや理解を得る上で、具体的なご苦労はありましたか?エピソードを交えてお教え下さい。
Banks (以下CB): 無料で得たものに価値を感じる方はいらっしゃいますか?私の会社で行ったことはクライアントが重要と思うこと、顧客が価値を感じることは何かを考えて実行しました。ハイタッチ(接点が多い)サービス、最先端の知識、自分の価値を感じてくださるクライアントの選択、提供するアドバイスに対してそれを重視し費用を払うクライアントと支払わない方の区別。自分のサービス方針を決めて、クライアントに伝えることがカギとなります。このことを伝えなければ、費用を支払ってもらえないし、私たちが実行しなければ返金するべきです。
有益な価値宣言を作成し、クライアントのためのサービスを明示し、クライアントの利益を増加また節約します。自分の考えや行動は総合的に取り組み、包括的な解決策を提供します。つまり、現在の取り組み方と同じだと言えます。
McQueen (以下AM): カギとなるのは理想のクライアントの特定です。Carolineが言われたように自分の仕事の価値を理解し、それに対する報酬を支払えるクライアントを探すことです。自分の理想のクライアントは裕福であるがゆえに忙しい人です。例えば、自分の価値を示すことができれば自信もつくし、引き続きフィーを請求しながら自分に価値があることを理解していただけます。時間とともにそういう方向に進みます。
HS:当社はまだフィービジネスを行ってないのでこの質問にはお答えすることはできませんが、証券部門でははるか昔から販売にかかる手数料は証券会社からではなく顧客からいただくことが常識となっています。先ほども述べた通り保険単体では役務と継続的なフィーとのバランスがとれないためフィービジネスはとても難しいと思います。
ところが証券はフィービジネスとは形態が異なりますが、顧客から手数料をいただくという意味では現在の保険で受けるコミッション・ビジネスよりもフィービジネスに近い形態です。つまり保険と証券が融合されたコンサルティングが行われるのであれば顧客は我々に成果に応じたフィーを払うことに全く抵抗はないのではないでしょうか。
日本市場の再考察
髙久(以下Takaku): 改めて日本市場について考えてみたいと思います。昔も今も日本の生命保険市場は「義理」「人情」「プレゼント」が大事だとされています。近年「ニードセールス」や「コンサルティング」の観点も加わって参りました。しかしながら、それらのアドバイスに対しフィーを支払うのが自然であるとの感覚は強くはありませんので、アドバイザリー・フィーが浸透する時間はとても長くかかると思われます。
CarolineやGusは日本のこういう商習慣に対してどう感じますか?
Banks (以下CB): クライアントは私たちを「買う・認める」まで本来の仕事をすることはできません。これは万国共通です。相手に永続的な印象を残すには創造力を通じ、クライアントには見えない将来的な問題に対して堅実な解決策を見出すことです。将来の財務確保をクライアントに楽しんでもらいましょう。
McQueen (以下AM): 自分の理想のクライアントは(そうしたアプローチを)好むでしょう。現在のクライアントとは多少異なるかもしれません。
髙久(以下Takaku): アドバイザリー・フィーは日本市場にお客様や営業パーソンにプラスに働くと思いますか?
Banks (以下CB): アドバイザーとして成長してきたことを確信(自信)しています。ネガティブな点は、英国全体でアドバイスにアクセスできない大衆市場が広がったことです。
髙久(以下Takaku): 最後に今回のフォーカス・セッションを通じて感じられたことを総括頂き、今日お越しの主に日本人のMDRTメンバーへメッセージを頂きたいと思います。
清水(以下TS): 日本の金融改革は過去常に欧米の変化に追随する形で行われてきました。そうであるならば、日本の保険ビジネスも少なくともアメリカ型IFAに近づいていく可能性は十分に考えられます。つまりコミッション・ビジネスとフィー・ビジネスの併用版ということでしょうか。ただし証券の分野では、例えば一任勘定業務、助言業務、金融商品仲介業のようにお客様からフィーをもらうのか、証券会社から手数料をもらうのかが法律や資格等で明確に定義されています。
ところが生保分野に関しては、このルールは全く明文化されておらずFPによるアドバイザリー・フィーを受け取りつつ、保険会社からコミッションをもらうというあきらかな利益相反が生じる形態がグレーゾーンとして放置されており、これはとても健全なものとは言えません。よっていずれこの分野に関する証券と同じ様な規制がなんらかの形で行われることは間違いないのでなないでしょうか。
最後に今後、直販・代理店も含めた生保営業マンが生き抜いていく日本市場における空白地帯をぜひお話ししておきたいと思います。例えば当社は楽天証券のIFAを楽天証券創業以来行っておりますが、当社以外はすべてのIFA顧客の年齢帯は60歳台~70歳台です。銀行のローンと預金以外の顧客層もすべて60歳台~70歳台となっております。
ところが当社の証券顧客は40歳台~50歳台です。当社の顧客は資産形成層でありキャッシュフローリッチがほとんどです。ストックリッチではないのでまとまったお金を運用するわけではないですが、ほとんどのお客様が比較的高い金額で定時定額の買い付けを行っております。この資産形成層でありキャッシュフローリッチである顧客の特徴は、多くのケースで親がストックリッチだということです。この顧客層に対する信用を長期にわたり構築できれば、いずれ必ず親のストックが大量に子供たちに移転してきます。つまり運用におけるもっとも大きなポテンシャルを持った顧客群です。ではなぜ当社のみがその資産形成層をグリップできるのかというと、顧客との第一義的な接点が生命保険から始まっているからです。
つまり生命保険事業者が証券を取り扱うことによって、最も有望なこの顧客群を獲得することができ、さらに長期にわたる信用を構築することで必ずストックビジネスにも参入できるということです。生保会社も欧米IFAと同じように保険と証券の融合されたビジネスを展開することで生命保険の手数料下げ圧力を証券クロスセルにより克服されてはいかがでしょうか。日本の富裕層市場における広大な白地がそこにはあります。
では今、証券というオプションを持たない生保営業マンが行うべき布石は、今生保営業マンがすべきことはどの様なものでしょうか。この様な優良なポテンシャルのある顧客を生命保険で囲いこんでおくことではないでしょうか。今はまだ収益化が出来なかったとしてもオセロの四つ角を押さえることは出来ますよね。
McQueen (以下AM): フィーベース以前は自分の能力を印象付けるためにクライアントの問題を初対面の場で解決しようとしてきました。しかし、今では知的財産であると共に長年の経験を積みハイレベルの称号などを持っているので、アドバイスを得るには費用がかかるとクライアントも承知しています。自分の価値をしっかりと評価することが大事です。
髙久(以下Takaku): CarolineさんはMDRT元会長でいらっしゃいます。最後にMDRT会員にメッセージをお願い致します。
Banks (以下CB): 私は1980年にMDRT会員になって以来、自分が直面した問題の答えをMDRTが与えてくれました。フォーカス・セッションの講演やメンバーとの会話から学びました。例えば2010年、私は自分のクライアントがフィーベースの仕事を受け入れてくれるか不安でした。フィーベース移行に関するセッションがあり、とても役立つ情報や自分が使える手紙のテンプレートも入手することができました。日本の皆さんより先にフィーベース・アドバイザー費用モデルに変更する必要があったメンバーがいます。ここにいる皆さんに申し上げます。フィーベースに変更したメンバーにアドバイスを受けると良いと思います。そのMDRTメンバーは快くアドバイスをしてくれることでしょう。
髙久(以下Takaku): ありがとうございました。皆さまにとりまして将来に向けての何らかの参考になったなら嬉しいです。本日はありがとうございました。貴重なお話を聞かせて頂きましたパネラーのみなさまに盛大な拍手をお送り下さい。ありがとうございました。

Caroline A. Banks, FPFS, の本拠地はイギリス、ロンドン。1回のコート・オブ・ザ・テーブルと25回のトップ・オブ・ザ・テーブルを含めて30年間MDRT会員。2015年度のMDRT会長。イギリスでChartered Financial Planningの資格を初期に獲得した Caroline Banks and Associatesの代表取締役として活躍している。

Angus Donald McQueen, Dip FS, Dip CD, はオーストラリア、ビクトリア州メルボルンの会員。1回のコート・オブ・ザ・テーブルと18回のトップ・オブ・ザ・テーブルを含めて21年間 MDRT会員。22年前にウェルス・マネジメントの会社を一人で起業し、現在は30名以上のスタッフを雇用するビジネスへと発展させた。
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Hidetaka Shimizu, 清水 英孝は2回のコート・オブ・ザ・テーブルと4回のトップ・オブ・ザ・テーブルを含め、28年間MDRT会員。1995年に独立し、代理店を設立。ドクターと企業に対するコンサルティング営業を展開している。医師会、医師共同組合の公認コンサルタントとして全国でビジネスを展開している。保険会社の教育・研修部門からの依頼に加え、販売手法、新商品、マーケティング戦略などのコンサルティングも実施している。
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Kou Takaku, 髙久 晃宇は5回のコート・オブ・ザ・テーブルと2回のトップ・オブ・ザ・テーブルを含め、14年間MDRT会員。融資審査の経験を活かし、プルデンシャル生命で企業の財務戦略の助言を通じ、事業保障・事業承継、リタイアメント・プランを専門とする。CASIOの財団役員として発明家発掘支援活動を行っている。