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転機は東日本大震災

保険営業を始めた当初は個人保険を中心に取り扱っていた長田氏だが、最初から順風満帆だったわけでない。当時の営業車は妹に借りた軽自動車。顧客との面談場所に行っても、空振りに終わることが何度もあった。そんな日は家族に心配をかけまいと、マンガ喫茶で時間をつぶしてから帰宅していたという。転職後早々、生保営業の厳しさを目の当たりにし、3年経ってものにならなければ前職に戻ろうと考えていたという同氏だが、契約が1件また1件と増えていくうちに、契約者からの期待に応えなければという使命感が芽生え、いつの間にか辞めることができなくなっていた。努力が実り、個人保険を中心に社内の表彰制度の常連になった同氏だったが、2011年3月11日に発生した東日本大震災が同氏の仕事を大きく変えることになる。それまで10年継続していた社内表彰を逃したのだ。当時同氏は、青年会議所で埼玉ブロックの役員としても活動していた。担当していた委員会の業務に「災害支援」があったため、発災後すぐに被災地に向かい、以後、物資の取りまとめや人的リソースの供給などに奔走。思うように営業活動を行うことが出来なかった。そこで同氏は考えた。「今回の結果は何も震災のせいだけではない。それまで毎年、年度末になると、基準の達成や順位を上げることを目的に契約を集めることに躍起になっていたが、そうした活動を何年も続けてきた結果生じたゆがみが今回顕在化しただけなのではないか。来年も同じような活動をすればまた同じことが起きるだろう」―思案の結果、これまでの仕事のやり方を抜本的に変えるという答えに辿り着いた。

 

契約はお客さまのタイミング

震災を契機に、業務のやり方を変えた長田氏が決めたことがある。それは「これから先、1件たりとも自分の都合でご契約を預かることはしない。必ずお客さまの望むタイミングでお預かりする」ということ。そこにもう一つ、手数料ベースで1カ月あたり200万円以上の挙積を達成する、という目標を加えた。その目標を達成するため、個人保険マーケットを離れ、もともと注力したいと考えていた中小企業を中心とした法人マーケットに特化するスタイルを確立した。

営業スタイルの変更後も苦しい時代が続いた。中小企業マーケットに軸足を移したことで保険料と手数料は大きく伸びたものの、在籍していた保険会社では、表彰対象になるためには死亡保障を100件預からなければならないという規定があったため、そのハードルを越えるまでに数年を要した。それでも信念を貫いた同氏は、見事に表彰対象へと返り咲いた。経営者と話をすることが好きだという同氏は、どの企業へ行っても必ず経営者と話をする。中には自分の父親より年上の経営者もいるが、話を聞けば聞くほど学ぶことが多く、こちらから保険の話をすることはめったにないという。「保険の話は必要な時だけでいいと思っている」と語る同氏の表情は晴れやかだ。

 

保険会社から代理店へ

長田氏が代理店への転職を決めた最大のきっかけは、MDRTだった。同氏は2003年の初年度登録から毎年MDRT基準を達成し、2016年には日本会会長も務めた。MDRT日本会で役員になったことが、MDRT米国本部の委員会への参加や本部役員とのコミュニケーションにつながった。そこで同氏は、英国や米国のような金融先進国と日本の現状には大きな違いがあることを実感した。アジアでは一社専属の営業スタイルが主流だが、欧米の保険業界では、製販分離が進んでいる。しかも独立系の代理店の多くが保険以外の金融種目を取り扱うことで、ワンストップで顧客の資産管理を担っている。営業マンは保険会社から手数料を受け取るのではなく、顧客からコンサルティング料を受け取るスタイルが主流になりつつある。英国から世界へと広がっているこうした大きな変化の波が日本にも押し寄せてくると考えた同氏は「こうした流れに早いタイミングで対応することが、お客さまにベストなサービスを提供するために必要になる。1社専属の営業はもちろん素晴らしいが、自分のやりたい仕事をやるためにはもう一勝負すべきだと感じ、代理店への転職に踏み切った」と説明する。1000件以上の契約を置いての転職だったため、不安はあったが、幸い自分への信頼は変わらなかった。代理店に移ったことで、取扱商品も広がり、提供できるサービスも増えた。「以前はご要望があっても対応できないことがいろいろあったが、今後はそういったものも含めて幅広いニーズに応えていける」、同氏はそう代理店での業務に対する意気込みを語る。

 

後進の育成に込めた思い

長田氏は、MDRTのメンター制度で、後進の育成にも積極的に取り組んでいる。週に1度ミーティングを開き、個別案件の相談に乗り、セールスパーソンとしての心構えを伝えているという。ただし、「お客さまのところに一緒に行ってほしい」と言われても、極力同行はしないし、その場合成約した場合の手数料も折半したりはしない。早く一人前になってほしいという気持ちがあるからだ。独り立ちの基準はMDRT資格の基準をクリアできたとき、としている。

同氏が後進の育成に取り組むのは、何も後輩のためだけではない。同氏は自身の仕事について「生命保険は他の金融商品と違い、契約はお客さまからお預かりするもの。死亡保険金、満期金、入院給付金、解約返戻金、どのようなかたちであれ、お客さまにお金をお戻しするまでが私たちの仕事。しかし1人のセールスパーソンが全てのお客さまにお戻しできるかというとそうではない」という。お客さまに最後まで寄り添い続けるためには、契約を引き継ぐ後継者が必要だ。「人を育てることは、私にとっても、お客さまにとっても大切なこと」―だからこそ、同氏は、彼らがこの業界で一日でも長く仕事ができるよう、多忙な業務の合間を縫って後進の育成に取り組んでいる。

 

まとめ

中小企業の経営者をメインに営業する長田氏が目指すものに、「電話一本ですぐに呼んでもらえる関係性」がある。保険の営業パーソンが「社長、近くに寄ったので、お茶飲みに行ってもいいですか?」「いいよ、おいで」と言ってもらえる距離感を構築し、維持することは簡単なことではない。経営者にとって、保険は100ある課題の中の1つに過ぎない。当然、保険の話ばかりでは相手にしてもらえない。だから同氏は、残りの99の話を経営者と対等にできるだけの努力をし、人間性を磨いている。そうやって面談を重ねていけば、保険を検討すべきタイミングで相談を受けることができると信じているからだ。実際に、初訪問から数年が経過した後に大きな契約をお預かりすることは少なくないという。顧客の立場に立ち、中長期的な視座で、来るべきタイミングを待つ。その姿勢こそが、経営者からの信頼を勝ち得る理由ではないだろうか。

長田 和泉 様 (Izumi Osada)
長田 和泉 様 (Izumi Osada)
2019年4月18日

契約はお客さまのタイミングで ~ベストなサービスを提供するためのルール~

大学を卒業して入社した大手商社では、海外での化学系プラント事業に従事していたという長田氏。外資系生保からヘッドハンティングを受けた際にも、「最近の保険会社は転職のあっせんまでやっているのかと思った」というほど関心が無かったという。ところが、再三の誘いを断ろうと訪問した保険会社で聞かされた話に引き込まれ、採用試験の合格率が2%だと聞いた同氏は、半ば意地も手伝って採用試験を受験。それまで思ってもみなかった生保営業の道に踏み出した。生保会社に勤めて17年5カ月。その同氏が今年2月に代理店へと籍を移した。MDRTとの関わりで視野が広がったことがその一因だと語る同氏に仕事への思いを聞いた。
保険という解決策
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著者

長田 和泉 様 (Izumi Osada)