アプローチのゴールはお客様の「ある一言」
製造業の営業から保険業界へと転職した佐野会員が入社当初から大切にしているのは、「お客様に買いたいと思ってもらうためには何が必要か」ということ。「お客様の大切なご家族をお守りしたい」という意識を念頭に、お客様の心の動きに沿った説明を心掛けています。アプローチでは3つの質問をします。1つ目は「保険に入っていますか?」。ここで「はい」と答えた方には、2つ目の質問として「何のために保険に入っているんですか?」と訊きます。たいていの方は「万一の時に家族を守りたいから」と答えます。ここで最後の質問です。「では、今あなたが亡くなった場合、いくら残してあげればご家族はあなたが思い描いた通りの人生を送れると思いますか?」-、この質問に即答できる人はまずいません。そこでさらにこう続けます。「残念ながら人は必ず死にます。私は今日、あなたがあなたの家族のために取っている手段がその目的に合っているかどうか確認していただきたいのです」。するとほとんどのお客様はこの一言を発します。「では、私はどうすればいいですか?」。この一言こそ、佐野会員のアプローチのゴールであり、セールスプロセスの9割が済んだ合図なのです。
保険会社から保険代理店へ、53才の決断
佐野会員は、生保会社に入社後、14年目にマネージャーへと転向します。しかし、後進の育成はままならないことが多く、後輩を強く叱責する日々が続きました。7年間の苦闘の後、営業に戻ることができたものの、今度は後輩たちからのプレッシャーに晒されるようになりました。「叱りつけてきた後輩たちに恥ずかしい姿は見せられない」との思いで1年間仕事に取り組んだため、目標は達成したものの、心と体は悲鳴を上げていました。保険代理店の経営をしている友人が「一緒にやらないか」と誘ってくれたのはちょうどそんなタイミングでした。「53才での転職なんて無理」、そう思っていた佐野会員を、友人は「どっちにいても同じ仕事をするなら一緒にやろう」と引き入れてくれたといいます。保険代理店に来てから約1年半。保険会社時代には個人がメインでしたが、保険代理店に入ってからは法人開拓に取り組んでいます。新たな市場へと舵を切った理由について佐野会員は、「信頼できる仲間に託してきた契約をひっくり返すようなことはできない」と語ります。これまでの実績については「数字に関してはできすぎだが、やりたいことができているかというとまだまだ。今は仕込みの段階だ」と語りますが、その表情には新たな挑戦に向けたやる気が漲っています
まず「自分が提供できるもの」を考える
マネージャー時代、佐野会員が後輩たちからよく訊かれた質問として「社長や富裕層のお客様はどうすれば見つけられるか」という質問があります。そんな時、佐野会員は「お客様があなたと付き合うメリットは何がある?提供できるものが無いのに関係なんて作れるはずがない」と指導してきました。そんな佐野会員の最大の強みは、旅行の知識。旅行好きという自身の特性を生かし、生保会社時代には、MDRTのアニュアル・ミーティングのツアーを企画していたといいます。話題になっているホテルや旅館があれば泊りに行き、お客様からの「今度〇〇に行くんだけど、どこに泊まればいい?」といった質問には、自らの体験を踏まえ、お客様の好みに応じた宿泊先を提案しています。法人顧客の新規開拓では、お客様からの紹介をベースに、ゴルフ等を通じてその人の趣味や考え方を探り、自分が提供できるものは何か、照準を定めるといいます。子どもの教育について相談を受けていた時期もあります。自分が子育てをする中で収集した情報を生かし、「頭の良い子を育てる方法」といった知識を提供していたため、数年後に「お陰さまで志望校に受かりました」といった連絡が来ることも多かったそうです。佐野会員は「どんなことでも、お客様の人生に良い影響を与えられるようになってはじめて、生命保険の営業としては一人前。また、それこそがこの仕事のやりがいでもある」と語ります。
まとめ
レストランのリサーチのため、家では食事をしないという佐野会員。趣味と実益を兼ねているとは言え、なぜそこまでやるのか聞いてみると「お客様の人生を預かる以上、こちらも人生を賭けて向き合わなければ失礼に当たる」と真摯な言葉が返ってきました。最近ではジムでの体づくりにも取り組み、その引き出しは増え続けています。「お客様が求めるものを提供し続けたい」-、佐野会員の人生を賭けた営業マンとしての旅路はまだまだ続きます。