Greg: アドバイザーは、基本的にプロであればだれでも提供できる商品やサービスを持っています。そこで、同じ商品やサービスを提供する競合他社との差別化に役立つ「知恵の塊」のような助言はありますか？

Daymond: 特にアドバイザーやサービスに関しては、その時点では購入などを求めずに、消費者を教育する方がはるかに重要だと思います。あなたがアドバイザーなら助言をしてください。できる限り多くの情報を提供し「この情報を提供したのだから、もちろん私から買ってくれますね」とか、「私から買ってくれればこの情報を提供します」なんて言わないこと。ただ情報をあげてください。私の友人のGaryは”Jab, Jab, Jab, Right Hook”というためになる本を書いています。ソーシャル・メディアのプラットフォームを考えるときと同じです。私はよく話すんですが、もしあなたがアドバイザーだとして、ソーシャル・メディアのプラットフォームを持っているとしましょう。そして、そのプラットフォームを30分のテレビ番組だと考えると、好きな30分番組の28分間がコマーシャルだとしたら、チャンネルを変えますよね。では好きな30分番組の20分が、笑わせたり、泣かせたり、料理法やワークアウトなどを教えてくれるなら、そして2分間だけセールスに使うならその番組なら買いますよね。ですから特にアドバイザーなら、ひたすら与え続けてください。買い手が、月曜の朝にはウオータークーラーのそばで最も賢い人になっているように、そして土曜の夜には夕食のテーブルで最も賢い人になれるように、情報を与え続けてください。そうすれば、買い手は、何か欲しいものがあれば皆さんのもとに返ってきます。

Greg: つまり、情報や商品、サービスを提供する前に、買い手があなたを選ぶように努力するのではなく、買い手に選んでもらうために、まず自分の持っている知識を差し出すことが重要だと言うことですね。

Daymond: その通りです。アドバイスを受ける側だと思って聞いてください。「私ならあの屋根を直せます。これができます。あれもできます」と言うのではなく、「こうすればあの屋根を直せます。方法はこうです」と言ったら顧客は「自分ではこれをやりたくないけれど、情報をすべて教えてくれた。君は賢そうだし、私の代わりにやってくれないか」となるでしょう。

Greg: FUBUの場合、あなたにはたくさんのフォロワーがいますが、どうやって顧客と信頼関係を築いているのですか？

Daymond: 私は顧客のことで頭が一杯でした。今もそうです。私はお客さまは何に悩んで夜眠れないのかを知りたいと思いました。彼らの人生を少しばかり楽しくするのに役立つと思うものを知りたいと思いました。誰かが私やブランドについて否定的なコメントをしても、それはお客さまからのフィードバックであり私への投資に他なりません。私のどこが未熟で、改良の余地があるのか教えてくれる十分な情報を与えてもらいました。私は完全に顧客のことばかり考えていました。今でも顧客のことばかり考えていますし、時には自社のスタッフが第一の顧客です。皆さんの身近にいる人が第一の顧客で、次に組織外の顧客です。21日あれば、自分がしてもらっているように他者に接することができるようになると言います。

Greg: すべてが非常にうまく行っているとき、どうすれば慢心せずにいられるのですか？

Daymond: 難しい質問ですね。いつうまく行っているかわからないですから。うまく行っていたビジネスがウイルスにハッキングされていたかもしれないでしょう？そして皆さんは「待てよ。考えてみると、実際にはうまく行っていたわけではないんだ。よくやっていたけれど、さらによくできるチャンスを利用していなかった」と考えます。

一部の人は信じられないほど成功するでしょう。私は常に一定の時間を費やし、自分自身とシステムをハッキングして、P＆Lだけでなく、私たちの現状はどうか、スタッフは現状をどう感じているか、人生で求めていることを与えてくれているか、などの視点から現状を評価しています。

これが、うまく行っているか見極める一つの方法です。もう一つの方法は、目標を設定し、到達したい地点を設定することです。どこに行きたいですか？ あなたの会社やあなた自身がどうありたいと思いますか？とても正直に自分の死亡記事を書いてみてください。きっと驚くべき発見があります。自分の死亡記事を書くと「ちょっと待て、ここではすべてがうまく行っているが待てよ。私は死亡記事を書いたばかりだ。でも、私は、もっと多くのことを達成したいから、もっと多くのことをしなければならない」と思います。だから慢心している暇はないことに気付きます。

Greg: 「シャークタンク」に12年以上出演されていると、数え切れないほどのバリュー・プロポジション（価値命題）やピッチを見て来られたと思いますが、優れたプレゼンテーションや優れたバリュー・プロポジションの要素についての意見を聞かせてください。

Daymond: 素晴らしい質問です。優れたバリュー・プロポジションでは、プレゼンターはまず手短に自分の話をします。人は良い話を聞くのが好きです。そしてなぜその話が素晴らしいのかという点で共鳴します。なぜなら、私たちは人生で多少なりとも似通った苦しみを味わったことがあるからです。そしてプレゼンターは人生の浮き沈みについて語ります。時には絶好調だった経験だけを話す人もいますが、すべてにおいてそれほどうまく行っているなら、なぜここにいるのでしょう？むしろ何度失敗したか聞きたいのです。それでもやっていたことを愛していたから困難を克服した話を聞きたいのです。なぜなら、自分の仕事を愛していたから、宿題もやりました。知恵を絞りました。やる気と情熱もありました。そして誰かに提供できる価値ある何かを持っていて、決して諦めなかったという話を聞きたいのです。

私が会った世界中の成功した起業家や問題解決者の多くでさえ「問題を解決したい」と言って起業したわけではありません。 彼らは、一人の消費者として、「なぜ誰もこれを扱っていないのだろう、誰が最初にそれに手を付けるだろう、その誰かはきっと私だ」と思って始めたのです。そして最後に彼らが考えなくてはならないことは、自分が提案するパッケージに、皆さんや買い手、シャークたち投資家、テーブルの反対側にいる人たちのために何が含まれているかです。それは価値を生み出すものでしょうか。私がどんな会社も買収できるほどの資金を持っているからだと思うかもしれません。決してそうではありません。私は、皆さんが販売するスポンジが気に入れば、そのスポンジを1つ買うでしょう。会社ごと買う必要はありません。皆さんのパートナーになる必要はありません。

私がAppleやShopifyに投資するとき、スティーブ・ジョブズがお墓から出て来て、コンピューターの構築をどのように支援しましょうかと聞いてきた訳ではありません。小切手を受け取るか、拒否するかです。もし私があなたのビジネスに携わって、毎日一緒に仕事をするなら、あなたが好きか、あなたの人格や性格、自分と同じ目標を持っているかを知る必要があります。これらが私たちがビジネスを見極める際に求めるすべてです。そして皆さんにこれまでの簡単な歴史を語り、皆さんの共感を得て、数々の問題をどう克服したか、なぜその取引が皆さんに最大の利益をもたらすかを説明するために最善の方法です。

Daymond Johnはアメリカの経営者、投資家、テレビのパーソナリティ、著書がありモチベーション講師でもあります。FUBU社の創立者、社長兼CEO。ABCテレビの人気リアリティ・ショーのShark Tank（5人の投資家がビジネスプランをもった挑戦者に自分の資金を投資するバラエティ）に投資家として出演しています。ニューヨーク市を拠点としThe Shark Groupを創立しました。Brandweek Marketer of the Year, Advertising Age Marketing 1000 Award for Outstanding Ad Campaign, Ernst & Young’s New York Entrepreneur of the Year Awardそして最近ではLinkedInのトップ20ボイスの4位にランクインするなど35回以上の受賞歴があり、アメリカでフォローしてインスピレーションを受け、情報に注目すべきインフルエンサーとして評価されています。

Gregory B. Gagne, ChFC（ニューハンプシャー州Exeter）は2020年度MDRT役員会メンバー予定者に推薦されました。Gagneは4回のコート・オブ・ザ・テーブルと12回のトップ・オブ・ザ・テーブルを含め、21年間MDRT会員。またMDRT FoundationのPlatinum Knight の称号を持ち、Foundationの理事を務めました。Gagneはウェルス・マネジメントと資金配分のプランニングを専門的に扱うAffinity Investment Group LLCを設立しました。MDRTではボランティア精神を発揮し、トップ・オブ・ザ・テーブル、大会準備委員会やPGA担当のグローバル・カウンシル・メンバーも務めました。これまでにMDRTの大会で12回講演をしました。MDRTでのリーダーシップに加え、NAIFAニューハンプシャー支部の支部長を務め、2008年には同支部からDistinguished Financial Advisor Awardを受賞しました。