
毎年3月のMDRT会員登録締め切りを迎えたころ、家族が夕食に集い、私の誕生日を祝ってくれます。これは伝統あるわが家の年中行事です。父の誕生日も同じ日なので、なおさら特別です。ある年、妻と一緒に皆を迎える準備をしていました。掃除をして今晩の料理を作っていました。すると妻が突然尋ねました。「あなた、今年は家族でTOTを目指すの?」はっきり言うとここ数年間の実績はCOTには十分でしたが、TOTにはわずかに届いていませんでした。悔しい思いを吐露したのは1度きりではありません。私は告白しました。「今年はダメだろう。昨年もダメだったけれど。もう少しだったのに予定が狂った。資産移転が間に合わなかったし、他にもいろいろあった」
妻が言いました。「違うの。私が聞きたかったのはトップの家庭人を目指すのか、ということ」ショックでした。率直に言って屈辱的でした。この不意打ちに、防衛本能が働きました。自尊心のある夫なら誰しもそうするように、愛情と親切心と理解と尊敬をもって「これ以上僕にのぞむことなんてないだろう」と答えました。
正直に言えば、日々の行動を根底から変えることができる人など何人いるのでしょうか。「家庭人TOT」という資格があるとすれば、明日からどれだけ行動を改めなければならないのでしょうか。MDRTがアドバイザーの実績を称賛するときに使うお得意の方法を考えてみてください。私たちは猛ダッシュで登録デスクに突撃して「家庭人TOTリボン」がついたネームバッジを受け取り、招待者限定のTOTレセプション会場に入るために列に並ぶことになるでしょう。
ここで疑問が浮上します。MDRTを目指していたあなたのハイパー仕事ライフは、家庭そして地域社会でもあなたの鏡と言えますか。職場で実践していた基準、システム、プロセスは、職場以外でも実践が可能ですか。つまり家庭や地域社会にも適合しますか。皆さんは家庭でも、職場と同じように尊敬されていますか。レベルアップのためにビジネス・コーチと契約し、事業や職場の新たな目標設定に取り組んだことはありますか。しかし、ご家庭の問題を解決するためにお金を払おうという発想はあったでしょうか。
MDRTやTOTのプロデュサーは問題解決、顧客開拓、顧客サービスのエキスパートです。多くの障害を乗り越え、優れた実績を残してきました。自分とビジネスの向上を目指し、休むことなく前進します。しかしそのイメージは家庭人としての自分にも当てはまりますか。息子さんに難しいコンセプトを丁寧にかみ砕いて説明し、自由に質問できるように十分な時間をとっていますか。有望な見込客や顧客に接するように、家族と丁寧に意思疎通していますか。「家庭人TOTへの道は順調か」と自問自答しながら、成果を自己評価することができますか。同僚から「MDRTへの道は順調か」と声をかけられるのと同じ様に。
私は9年間MDRTレベルでしたが、その後12年間はCOT会員でした。一昨年と昨年はTOTに登り詰めました。しかしちょっとしたコツがあります。家庭でTOTに苦戦中だとしても、職場でTOTを達成することはもっと大きなやりがいにつながります。見渡してみると、家庭でTOTを達成するために役立つ普遍的な戦略があります。
第1の戦略は伝統を作って守ることです。私の親友のMDRT会員は、人生の大半を独身で過ごしています。毎年誕生日になると、ポーランド料理で有名なレストランで昼食会を開きます。招待するのは男性の友達だけで、ほとんどが同業者です。彼に尋ねてみました。「なぜ毎年誕生会を開くの。なぜ男友達しか呼ばないの」と。「誰もパーティーをやってくれないからさ」と彼は答えました。そして笑いました。「男の友達しか呼ばない理由は、われわれの結束力と団結力を維持しやすくするためさ」これはすでに伝統行事になっていて、本人だけでなく、招かれるゲストにとっても欠かせないイベントです。皆、彼の誕生日という大切な日を楽しみにしています。
2つ目は家族が集う機会を作ることです。定期的な家族との食事を軽んじてはいけません。必ず参加しましょう。少人数でも、自宅であろうとなかろうと、集まりましょう。振り返ってみれば、私の家族には定期的な食事の機会はありませんでした。とても忙しい家族でした。子供が4人いますが、全員5歳以下という時があり、本当に大変でした。食事の時間が慌ただしいことを後ろめたく感じていました。家族が集まって食事することはありませんでした。まともな会話もありません。私は間違っていました。完全に。昨年大学に入学した娘のOliviaが、新入生に出される作文の課題を見せてくれました。「わが家のテーブル」というタイトルでした。娘のエッセーは、不完全で不定期なわが家の夕食の本質と影響をズバリと突いています。ご紹介しましょう。
「このテーブルは…」わが家にあるテーブルを指しています。「このテーブルは家族の節目に立ち会ってきました。このテーブルにはパワーがあります。家族を結び付けるパワーです。生き物ではないけれど、中心的で物静かな家族の一員です。ここで交わされる愛情、笑顔、歳月、悲しみ、祈りをじっと見守ってきました。常に冷静で、批判することもありません。それが我が家のテーブルです。テーブルという舞台に家族の歴史は刻まれていくのです」素晴らしくないですか。100%そうだとは思いませんが、家族で食事ができなかったことは大きな影響力を持っていました。それを見過ごしていました。
3つ目は約束通りに顔を出すことです。人は皆、見えない看板を掲げています。「私を大切な存在だと思ってほしい」という看板を首から提げています。現場に顔を出すことは「あなたは大切な存在です」というメッセージを伝えます。友人や家族の中で慢性的に遅刻する人はいますか。そればかりか早めに帰ってしまう人もいます。ただ顔を出すだけでは不満なのか、とでも言いたいのでしょうか。招待客が遅刻や早退をしたり、イベントをこっそり抜け出すと、おそらく「あまり大切にされていない」という気分になるでしょう。時間通りに到着し、遅れないという習慣を身に付けなければなりません。「あなたは大切な存在です」というメッセージを伝えましょう。
4つ目はテクノロジーとともに生きることです。あなたの家族も、私の家族も、最近はよくスマホで写真や動画を撮ります。そこで友人や家族に「スマホに入っているお気に入りの動画や写真を20個送ってほしい」とお願いしてみましょう。そういうことが得意な方に手伝ってもらってもよいです。毎年実行してください。年間ベースで取り組みましょう。もらった写真をムービーやスライドショーに加工します。iMovieでもよいでしょう。あっという間に、家族が主役のムービーを製作できます。準備を怠りなく。さまざまな感動体験を味わうことができます。今あるテクノロジーを利用すれば、これらのムービーをDVDにして家族に渡すことができます。小型のUSBに落として、誕生日/ホリデー/クリスマスに渡せば、思い出に残るギフトになるでしょう。

Adam A. Solano Jr., CRPCは11回のコート・オブ・ザ・テーブルと1回のトップ・オブ・ザ・テーブルを含めて23年間MDRT会員。1993年月にマスミューチュアル生命に入社し、ファイナンシャル・サービスのキャリアをスタートさせました。SolanoはNAIFA–ChicagoとNAIFA–Illinoisの元会長です。アニュアル・ミーティングで講演したことが2回あり、業界誌に保険や年金の記事を多数寄稿してきました。