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ILLUSTRATION: BRUCE MACPHERSON

2011年、Sherry Lee Ongは初のMDRT入会まであと一歩のところまで来ていました。会員資格に達するためには初年度の保険料があと$4,000必要でした。目標達成を目指し、彼女はある見込客を訪問していました。ところが、その案件は思っていた通りには進みませんでした。

その見込客は妻の保険加入を希望していました。Ongが「奥さまにいつお会いできますか」と尋ねると「申込書は自分が預かり、後で妻にサインさせておく」と言い張りました。

違和感を覚えたOngは丁寧に説得しました。保険エージェントは被保険者と直接面接して、契約内容をきちんと理解しているか確認しなければならない、と伝えました。

夫はようやく、寝室にいる妻に出てくるように呼び掛けました。出てきた妻は、弱弱しく、明らかに体調が悪そうでした。

申請書に記入しながら、Ongは奥さんに健康状態を質問しました。「服用している薬や既往症がある場合、正直に告知していただかないと、保険金が支払われない可能性もあります」と述べました。

すると夫が「妻は腎臓を患っています。1週間前に診断が下りました。しかし、妻は保険に未加入です。だから20万ドルの生命保険を掛けようとしたのです」と告白しました。さらに夫は「この情報を告知書に書かないでください」と懇願しました。申し込みが謝絶されることを恐れたのです。

「告知義務違反を問われる期間があることは知っていますが、妻はその間は持ちこたえるでしょう。私も以前保険のエージェントをやっていたので知っています。誰もが全てを告知するわけではありませんよね」と夫は言いました。

Ongはペンを置き、自分のとるべき行動を必死に考えました。既往症を告知せずに申込書を受け取ればMDRTの会員資格に届きます。この1年間それを目標に人並み以上に努力してきました。

もうひとつの選択肢は目標達成はさておき、クライアントの告知義務違反を理由に、申し込みをお断りすることです。

深呼吸をしてからOngは夫婦の願いを却下しました。「お二人の希望通りに告知義務違反を黙認することは簡単です。しかしいざという時が来た時に、保険金が支払われない可能性が高いと思います。その時に、私はあなたにもお子さまにも合わせる顔がありません」

今、Ongは自分の選択が正しかったと振り返ります。「あの時に申し込みを受け付けていれば、一年早くMDRTの会員資格を得ることができました。しかし私にとって重要なのは、利益よりもモラルです」Ongは回想します。残念ながらアドバイザーにとってこのケースのように、虚偽の申請を依頼されたり、情報不足に遭遇することは珍しくありません。

Cheng Huann Yeoh, ChFC, CLU(シンガポール、7年間MDRT会員)は、ある友人のケースを話してくれました。彼はクライアントからではなく、ビジネス・パートナーになるはずの人物から、規則違反を持ち掛けられました。「その友人は『外国人のクライアントに金融商品を紹介するセミナーに参加してほしい』と依頼されました。現場で商品の実例を説明し、興味を持った見込客が現れたら契約手続きに対応する、という約束でした」Yeohは言います。

しかしこの取り決めにはひとつ問題がありました。実際にプレゼンテーションを行うのはアドバイザーではなく第三者で、ゲストの国の言語でのプレゼンテーションでした。従って、友人の言葉は第三者によって通訳されて伝わることになります。

契約が欲しいという理由だけでモラルに違反すれば、キャリアを台無しにする可能性があります。取り返しがつきません。

「これは法律に抵触する可能性がある」と友人は感じました。シンガポールでは金融商品の説明は認定を受けたアドバイザーが行わなければなりません。また、契約の前にしかるべきファクト・ファインドを実施する義務があり、セミナーで使われる資料もコンプライアンスの要件を満たしているかチェックする必要があります。

残念ながらセミナーの開催は3日後に迫っていました。コンプライアンス・チェックには2、3週間必要でした。

「友人は申し出を断って、この話から降りようと考えました。しかし同時に『自分が降りても他の誰かが引き受けて、コミッションを持って行くだろう』と考え悩みました。難しい選択です」Yeohは強調しました。

あるいは「英語が話せるゲストだけに対応し、ファクト・ファインドの実施に合意してもらうことを条件に商品を販売できないか」とも考えました。しかし、興味を持ったゲストの数が多かった場合、全員にそのプロセスを課すことは不可能でした。ゲストは翌日に帰国することになっていました。

「開催が数日後に迫っていることと、不確実な点が多過ぎるという理由から、友人は正しいと思われる選択をし、申し出を断ったのです。当然の選択です。契約が欲しいという理由だけでモラルに違反すれば、キャリアを台無しにする可能性があります。取り返しがつきません」

MDRT倫理綱領

  1. 私は常に顧客の利益を自分の直接間接の利益より優先させます。
  2. 私は専門家として顧客に可能な限り最良のアドバイスを提供するために専門知識、スキル、能力の維持向上に努め、専門家として最高水準を維持します。
  3. 顧客の事業上および個人的情報を他に漏らすことなく、秘密を厳守します。
  4. 私は顧客が賢明な判断をくだすために必要な全ての情報や知識等を十分に提供します。
  5. 私の行動は保険と金融サービス業界、そしてMDRTに対して期待される水準を維持します。
  6. 私は保険および金融商品の乗り換えは、いかなる場合も顧客の利益を優先します。
  7. 私は募集・営業免許を交付する管轄地域の法令と規定全てを遵守します。

MDRT倫理委員会メンバーJohn R. Benton Jr., CLTC; Meagan S. Balaneski, CFP, RFP; John P. Enright; Bryon A. Holz, CL U, ChFC; Jennifer P. Mann, MBA, CFP; Jamie McIntyre, CFP; Sherry Lee Ong; Kirk Wilkerson; and Cheng Huann Yeoh, ChFC, CLU

MDRT Bylaws and Ethics Committee
MDRT Bylaws and Ethics Committee
2020年2月18日

クライアントが嘘をついていると知っていても申込みを受けますか

倫理的ジレンマは必ずしも重大事件によるものではなく、クライアントのささやかな願いから始まります。
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著者

MDRT Bylaws and Ethics Committee