
髙松奈緒美会員は、自身について「私は他のMDRT会員の方々に比べて特別なスキルや知識があるわけではない」と謙虚に語ります。東北ブロックに所属し、これまでのMDRT登録回数は14回、うちCOT登録は3回。前職はITエンジニア。営業の経験もなければ、金融の知識があったわけでもなく、何より人見知りで知らない人に話しかけるのも苦手。それにも関わらず、自分の保険を見直したことをきっかけに「保険に対する誤解を解きたい」と保険業界に飛び込んだ髙松会員は、入社1年目から今日まで14年にわたって毎年MDRT基準をクリアしてきました。「保険の仕事はとにかく楽しい」と語る髙松会員に、これまでの道のりやこの仕事に掛ける思いについて聞きました。
保険は損をするもの?
髙松会員と保険との出会いは、メーカーに勤務し始めた頃に訪れました。保険会社に就職した高校時代の友人に勧められるまま加入したといいます。その後、その友人は保険会社を退職。加入から約10年が経過したある日、同僚の紹介で保険会社のセールスパーソンと会う事になりました。改めて自分に合った保障プランを組み立てる中で、今度は保険に対して様々な疑問が湧いてきました。もともと疑問があれば追及しないではいられない性格。説明されたときには納得しても、しばらく経つと「これはどういう意味?」という疑問が出てきたため、その都度担当者に電話をかけて確認していました。するとある日対応者が変わり、「髙松さん、そんなに保険のことを知りたいなら保険会社で働いたらいいじゃない」とスカウトを受けたのです。「私は、保険は勧められて入るもの、そして損をするもの、というマイナスイメージを持っていた。ところが、説明を聞くうちに、保険って人の役に立つものなのに、すごく誤解が多いのではないか、その誤解を解かないといけないのではないかという気持ちになっていった」という髙松会員は、スカウトから1年後、保険会社への転職を決意します。フルコミッション制になることで、シングルマザーとして育てる3人の娘を大学に進学させる夢を叶えられるかもしれないという期待も背中を押しました。
始まりはピンポンダッシュから
「保険に対する誤解を解きたい」、その一念で生保営業の世界に飛び込んだ髙松会員ですが、仕事を始めてみると大きな壁にぶつかることになります。もともと人見知りな性格の髙松会員にとって、入社当初に課された中小企業への飛び込み営業は恐怖以外の何ものでもありませんでした。勇気を振り絞ってインターホンを押しても、怖気づいて人が出てくる前に逃げ出してしまうこともあったといいます。それでもめげずに訪問活動を続けるうちに、何人かの経営者と臆せず話ができるようになりました。当初は名刺の受け渡しの方法すら知らなかったという髙松会員ですが、その愚直な仕事ぶりと、保険の誤解を解くことに力点を置いた姿勢が買われ、業績は一年目から右肩上がりで上がっていったといいます。紹介については、顧客の周りの人をSNSなどで調べて「この人を紹介してください」とお願いしています。しかし、直接的なお願いよりも効果的なのは「紹介してあげたくなるような人」になること。「この人とならまた会ってもいいかな」と思ってもらうため、髙松会員は、面談時には目と耳を使って相手の話をとにかく真剣に受け止め、面談の時間を心地良く感じてもらえるよう心掛けています。雑談の中から出てきた疑問もしっかりキャッチし「次回までに調べてきますね」「次回はそのお話をさせてください」という言葉を挟むことで、次の面談につなげることも忘れません。
経営者と従業員の架け橋に
保険は自分の人生を守るだけでなく、家族の人生や企業の未来を守るもの、という髙松会員が今中小企業と取り組んでいるのが「ワーク・エンゲージメントの醸成」です。人口減少という局面に突入している日本では、従業員の確保が喫緊の課題となっています。中小企業の経営者は、従業員に長く働いてほしいと願っていることがほとんどですが、髙松会員によると、従業員にその思いを伝えることができていない経営者が圧倒的に多いといいます。その結果、離職率が上がり、企業に悪影響が出てしまうことに着目した髙松会員は、経営者と従業員、それぞれにヒアリングを行い、第三者として福利厚生の再構築に取り組んでいます。最近でこそ金融教育の重要性が認識されるようになりましたが、現役世代は金融知識が不足していることが多く、その点もすれ違いを生む理由の一つだと言います。「お金に関する知識を提供することで会社も良くなるし、従業員も守られる。それによって未来を担う従業員の子どもたちも守られる。経営者と従業員の架け橋になれる保険営業という仕事は本当に素晴らしい仕事だと思います」、そう笑顔で語る髙松会員の言葉は未来への希望に満ちています。
まとめ
髙松会員にはお客様からの1本の忘れられない電話があります。ガンを患い、ホスピスから電話をかけてきたその方は「あなたと出会わなかったら私は治療を止めて貯金を残すことを選んだと思う。あなたと出会えたおかげで、給付金で治療を続けることが出来た。私はガンに負けなかったわ」—1週間後にその方は亡くなりましたが、髙松会員の胸に後悔はありませんでした。「私は営業をしているという意識は今もない。面談を通じて、保険が悪いものではないと分かってもらえた瞬間が一番うれしいんです」、世の中に流布する保険の誤解を解く髙松会員の旅はこれからも続いていきます。