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Illustrations by Eva Vásquez

ある日、ALISON PARKER, FPFS(イングランド、6年間会員)はクライアントから連絡を受け、その方のお嬢さまが30歳の若さで急逝されたことを知りました。大の冒険好きであったお嬢さまは、趣味の最中に不幸な事故に遭われたのです。クライアントご夫婦はお嬢さまの生前に、ご主人と暮らすための新居購入費として数十万ドルを譲渡していました。

お嬢さまの死後に発覚したのですが、ご主人とはすでに別居されていました。離婚協議中でしたが法律的にはまだ夫婦でした。お嬢さまは遺言書を書き換えていなかったので、通常はご主人が財産を相続することになります。

「クライアントのご家族は婿を気に入っていませんでした。幸いだったことに、数年前にお嬢さんへの住宅資金譲渡を相談されたときに、婿への本音を打ち明けてくださっていました。そこで家族信託(ファミリー・トラスト)を設立することにしました。ご両親からの資金を信託に入れ、お嬢さまに貸し出す形をとりました。お嬢さまの死後、資金はご家族に戻され、離婚協議中であった婿には渡りませんでした。資金はクライアントのご長男が受け取りました」とParkerは回想します。

クライアントと協力して、堅固な資産税対策(訳注: 日本では相続税ですが、欧米では亡くなった方の資産に税金がかかります)を作っておくことは、クライアントのみならずアドバイザーにとっても価値をもたらします。ご家族の資産が意図しない人物に渡るのを防ぐと同時に、次世代のクライアントとなるお子さまとの関係を築くことができます。「資産税対策は、競合相手と差別化を図るための注目分野だ」と見るMDRT会員もいます。

資産税対策に着手すると一般的にクライアントに直接対応する仕事が増え、長期的なプロセスに取り組まなければなりません。しかし、商品やソリューションに対する合意が得やすくなるというメリットがあります。アドバイザーが実際にプレゼンテーションを行うまでもなくクライアントに商品価値がよく伝わるからです。

よい資産税対策とは

生前の意思をはっきりと伝えるために、誰もが遺言書を準備しておくべきだとParkerは強調します。とはいえ遺言書は「自分の死後にこうあってほしい」という願いを書きとどめた指示に過ぎません。

「将来、法律がどうなっているかは予測がつきません。世の中がどう変化し、どんなルール変更が起きているのかも分かりません。実際、遺言書はかなりざっくりとしたラフなものです」とParkerは指摘します。

このためParkerはクライアントに信託を勧めます。「信託によって守りたいものをシェルターのように覆うことができます。遺産が確実に意図した身内に渡るようにフェンスを張り巡らせ、望ましくない次世代の受益者に渡ることを防止します」

資産税対策はあらゆる世代のクライアントにとって重要です。しかし契約内容は、クライアントの年齢とニーズの変化によって変わります。

「30代から40代にとっての主要な関心事は、残された家族に十分な保障を提供することです。従って、リスク・マネジメントやお子さまの後見がプランの中心となります」と語るのはClay Gillespie, CFP, CIM(カナダ、20年間会員)です。50-60代以上になると、関心はレガシー・プランニングにシフトします。

Gillespieは、全てのクライアントに資産税対策の準備をお勧めします。理由はシンプルです。「自分の財産の決定権を政府に渡すのは絶対に嫌なはずです。しかし適切な資産税対策を準備しなければ、ご自分でその状況を招くことになります」

資産税対策にはクライアント特有のニーズが組み込まれるため、ParkerもGillespieもまず「理由」を尋ねるようにしています。次に「家族」に関する質問をします。

「まずご家族に関する詳しい情報を収集することに努めます。どの家庭にも特有の事情があり、ほとんどの場合、ひねくれ者がいます。いわゆる『黒い羊』が、クライアントが下した判断に逆らおうとするのです。単に価値観が合わないこともあります。家庭内の人間関係の力学が理解できると、クライアントの希望に関して有意義な話し合いができます」とParkerは強調します。

クライアントが資産税対策を先延ばしにする理由のひとつは、表面下でくすぶる家族内のいさかいだとGillespieは分析します。どの家庭にも問題があります。疎遠になってしまった実子や、信頼できない婿などです。

困難ですがこのような声を聞くことは重要だとGillespieは指摘します。「ご両親が不在のときにお子さまたちと会ってみると『母はこう言っていた』『父の本音はこうだ』というような声が聞けるかもしれません」

「自分の財産の決定権を政府に渡すのは絶対に嫌なはずです。しかし適切な資産税対策を準備しなければ、ご自分でその状況を招くことになります」
— Clay Gillespie

Craig Palfrey, CFP(ウェールズ、12年間会員)も、家族関係に関する話し合いを重視します。詳しい情報を聞くために、事前に質問状を送っておきます。最初のミーティングでは、ホワイトボードに家系図を描きます。簡単な絵でご夫婦を描き、次にお子さまたち、その配偶者、お孫さんをクライアントの説明に従って描きます。

絵の人物を示し、名前を書き入れます。お子さま、配偶者、お孫さんのJohnnyとSusie。こうするとクライアントにとって現実味を帯びてくるとPalfreyは説明します。

このような家系図は「万が一」に関する質問をしやすくします。堅固な資産税対策の作成には欠かせません。Palfreyはこんな質問をしてみます。「あなたに万が一のことが起きたら、奥さまには一生独身でいてほしいですか。再婚すると思いますか。なるほど。では奥さまが再婚して、子どもができたとします。あなた方ご夫婦が購入した家が、見ず知らずの他人に半分持っていかれてもよいですか」

たいていクライアントは「それは困る。私が築いた財産が、妻の将来の子どもに渡るなんてご免だ」と言います。

そこでPalfreyは説明します。「朗報があります。適切な遺書を書いておけば、財産の半分は保護されます。数年後にあなたの実のお子さんに渡ります」

また、もしクライアントに年金があった場合、死亡保険金を信託に入れることで、確実に奥さまとお子さまに渡るようにすることができます。奥さまの将来の伴侶や子どもには渡りません。

「資産、年金、不動産があるならば、遺言と信託を作っておくことをお勧めします、とクライアントに伝えます」とPalfreyは強調します。

法律家と提携するか。もしくは社内に専門家を置くべきか。

一般的に資産税対策の作成には法律と会計の専門知識が必要です。これには2つのアプローチがあります。外部の法律家や会計士と緊密なパートナーシップを提携するか、あるいは社内に専門家を置くかです。

Gillespieは外部の専門家と提携し、遺言書や信託を作成します。しかしプロセスの主導は常に自分がとります。クライアントが遺言を残したいと言った場合、専門家にレビューを依頼します。専門家の文章には常に改良の余地があるので、複雑な法律の要件を保険商品でできるだけ簡素化する方法を模索します。

Palfreyも自分がプロセスをコントロールするように努めています。事務弁護士や会計士に仕事を依頼する場合は、必ず自分が間に入ります。「法律関係の仕事を外注した場合、まず私たちに請求書を送ってもらい、それを私たちからクライアントに請求します。週末には、進捗に関する報告をしてもらうことにして、私たちからクライアントに伝えます」

ParkerとPalfreyは弁護士を雇い、社内でプロセスを構築しています。近々会計の専門家も雇うつもりです。

昨年、Parkerの会社Wills & Trusts Financial Advisors社は、Wills & Trusts Solicitorsを設立しました。間もなくWills & Trusts Accountingも立ち上げる予定です。

Parkerの会社が社内に事務弁護士を置くことを決めた理由がいくつかあります。まず外部の事務弁護士はスペシャリストというよりゼネラリストである場合が多く、信託の作成にまつわる複雑な法律をよく理解していないためフラストレーションを感じる場面が多々ありました。またクライアントが死亡した場合、お子さまがWills & Trusts Financial Advisorsにアドバイスを求めるケースがあったことも理由です。

「お子さま方は正式に遺言書の検認ができる事務弁護士を知らなかったので、代わりに私たちが手配しました。このとき、絶好の好機を逃していたことに気が付きました。クライアントは私たちからのサービスを求めています。それなら別会社を立ち上げようと考えました」とParkerは振り返ります。

Palfreyはクライアントのためにワンストップ・ショップを作る計画も立てています。すでに専属の事務弁護士を雇い、2,3年後には会計の専門家も迎えるつもりです。

「一つ屋根の下に全サービスを集約してコミュニケーションが円滑に運ぶようにコントロールしたいと考えています」とPalfreyは強調します。

商品への同意を取り付ける。

「資産税対策の作成はクライアントに対応する時間が長期化することを意味しますが、商品のアドバイスをすんなりと受け入れてもらえるというメリットがあります」と語るのはTodd A. Reid, CLF(ユタ州、6年間会員)です。

「商品はエンジンを動かすガソリンのようなもので、全ての原動力です。とはいえ、商品を提示する前にあらゆるニーズを調べ上げ、クライアントの『なぜ』に答えなければなりません。せっかく素晴らしいプランを準備しても、ガソリンが入っていなければ動きません。保険プランとはそのようなものです。しょせんプランに過ぎません。ガソリンが無い自動車と同じです」

資産税対策を数ヶ月間かけてクライアントと準備し、法律や会計の専門家と提携し、やっと商品のアドバイスができる段階に到達することがあります。しかしReidはここまで来ると、むしろ楽勝だと言います。

せっかく素晴らしいプランを準備しても、ガソリンが入っていなければ動きません。保険プランとはそういうものです。しょせんプランに過ぎません。
— Todd A. Reid

「商品が勝手に自分を売り込んでくれます。生命保険会社が開発した具体的な商品が目の前にあります。それらはクライアントのプランにフィットします。商品が問題を解決するのです。商品が無ければ、ていねいに作られたただの紙に過ぎません。それだけでは何も起きません」

Gillespieも同意します。「話し合いを持ち、クライアントが満足すれば、実施は容易です。資産税対策では収益は後からついてきます。既存のクライアントとの関係が深まるので商品の追加が発生します」

「このため、クライアントの数は多くなくてもよいのです。クライアントはあなたの目的が単に商品を販売することではないと知っているので、紹介を得やすくなるというメリットもあります。資産税対策は経済的意味を持つのです」とGillespieは強調します。

さらにReidは、資産税対策は今後注目すべき分野だと断言します。アドバイザーはなるべく早く自分のレパートリーにこれを追加して備えるべきだと提言します。「今後20-30年間に予測される資産譲渡の規模を考えると、資産税対策のニーズは、かつてないほど高まるでしょう。数年以内に、27年に及ぶ私のキャリアの中で最大の需要ブームが起きると確信しています」

アドバイザーとして資産税対策を扱うべき理由

プランが拡大するとご家族の状況の変化に応じた変更や見直しが必要になるため、必然的にクライアントに寄り添うことになります。加えてクライアントの意思を伝えるために開く家族会議の場を通じて次世代のお子さまたちとの関係もできます。

承諾が得やすくなります。皆さんはクライアントの事情を理解しているので、選択した商品は理にかなっています。クライアントはプランに納得するでしょう。

紹介が増えます。「膨大な時間をかけて問題解決を手伝ったという実績と、クライアントからの感謝によって、紹介はかなり得やすくなります」とGillespieは言います。

収入増加に結び付きます。Parkerは「コミッション・ベースにするか、固定フィーにするかの選択です」と指摘し、クライアントのニーズに応じた信託や資産税対策の種類によって、フィーを請求します。継続中のレビューに関しては年間維持費を請求しています。

差別化ができます。Palfreyは「投資や年金だけの話ではありません。私たちは家族と資産税対策に焦点を当てています」と強調します。

資産税対策に取り組む5つのステップ

  1. 「ファイナンシャル・プランニング」を扱う決意をします。「あなたは保険会社でも、投資会社でもありません。あなた自身がその意志決定をしなければなりません」(Gillespie)
  2. クライアントに事前に質問状を渡し、資産税対策に関する質問をしておきます。ミーティングで話したいポイントを知っておいてもらい、プロセスの一貫であることを印象付けます。
  3. クライアントが資産税対策を求める最大の理由を理解します。「一番の関心事は、望まない相手に金を渡したくないということです。血縁を確実に守りたいと願っています」(Parker)
  4. 作成のプロセスにはご家族にも関わってもらいます。クライアントとの面談に、受益者にも同席してもらうことで実現する場合が多いです。次世代とのビジネス関係を構築することにもつながります。遺言書、信託、委任状の作成や、ご自分のためのファイナンシャル・プランを依頼されるかもしれません。
  5. ワンスポットで必要な情報が全て入手できるように、プレゼンテーション資料一式をパッケージにして渡します。「保管し、手に取れるものを作成してください。書類棚に置けることを想定します。万が一のことがあった場合に、お子さまたちに情報の保管場所がすぐ分かるようにするためです」(Palfrey)

CONTACT

Clay Gillespie cgillespie@rgfwealth.com

Craig Palfrey craig@penguinwealth.com

Alison Parker alison.parker87@gmail.com

Todd Reid treid@tbgroup.org

Liz DeCarlo
Liz DeCarlo
2021年2月12日

信頼の上積み

アドバイザーとして資産税対策を扱うべき理由。
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著者

Liz DeCarlo

MDRT Center for Field Leadership content manager