皆さんはアドバイザーとして、クライアントに有益な金銭的成果を提供するために最善を尽くします。とはいえ昨今の経済状況では労働時間は増えているのに報酬は減少しています。これに対処するにはクライアントの日々の暮らしに影響を与える主な「ライフエリア」をすべて考慮に入れ、アドバイスをすることが重要です。ベテラン・アドバイザーであるAndy Marshallは「もっと深く、意味のある、発展的なアドバイスが求められている」と訴えます。
「表面的なアドバイスに終始すると顧客のライフエリアの90%を見過ごしてしまいます。主なライフエリアは、仕事や資産状況ですが、近年家族関係や社会的ニーズのウェイトが高まりつつあります。私たちの役割はクライアントに幸福感を与え、人生の目標をかなえることです。それにはクライアントのライフ・バランスを達成することが不可欠です。ライフ・バランスは身体的健康と、前向きな精神的健康に欠かせません」
2020年にMarshallは「主要なライフエリア11項目」に関する世界的調査を実施し、5,000人以上から暮らしに関する考えを聞きました。その結果、人々の最大のストレス要因は「お金」「仕事」「健康」でした。また、金銭的問題に対する姿勢と行動についての質問では、約3分の1が「お金を扱うことはストレスであり威圧感を覚える」と答えました。
一方73%が「家族を重視することに幸福を感じる」と回答し、約60%が「配偶者やパートナーとの関係を重視することに幸福を感じる」と回答しました。家族や社会的交流を優先させる傾向が強まる中、「自己啓発に時間、エネルギー、リソースを投入しなかった」と回答した人は全体の58%でした。また、同数の人が「クリエイティブな表現手段に満足していない」と答えました。さらに約半数が「仕事に意味や目的を見いだせない」と答えました。「自分と向き合うための個人的な空間を持っているか」という質問には68%が「この分野への取り組みが必要」もしくは「満足していない」と回答しました。ライフ・バランスを追求する上で、明らかに対策を講じなければならない分野です。
バランス術
以上の結果はアドバイザーにどのような意味をもたらすのでしょうか。Marshallによると次に必要なことは、アドバイザーとクライアントの立ち位置が再び一直線に並ぶように修正することです。もしクライアントが感情的リソースと金銭的リソースを「家族」というひとつのバケツ(分野)だけに注いでいるとすれば、アドバイザーはファイナンシャル・プランニングの構成を変更し、他の重要なバケツにも注がれるようにするのが得策でしょう。
「バランス術」とはクライアントへの金銭的アドバイスをクライアントが大切にする価値と結びつけることを意味します。「アドバイザーはクライアントの心に触れ、価値ある話し合いを探る姿勢が強く求められます。そのような話し合いの機会が失われかけている今、この取り組みは極めて重要です」とMarshallは強調します。
私たちの役割はクライアントに幸福感を与え、人生の目標をかなえることです。それにはクライアントのライフ・バランスを達成することが不可欠です。
今後アドバイザーはリソースを投入し、お客さまと「心を通わせる本物の関係」を構築しなければなりません。単なるビジネスとしての関係構築は無意味です。クライアントが家族へのコミットメントを強め、同時に他の重要な目標も視野に入れたソリューションを提示できるアドバイザーは必ず輝きます。
クライアントのライフエリアに変化が起きたことに気が付いたら、アドバイスの伝え方にも変化が必要です。顧客に提示する金銭的戦略は家族への影響と結びつけるべきです。そこを起点としクライアントと会話を始めましょう。クライアントの次の優先事項は何かを理解し、提案した戦略によってその達成の見込みを追跡します。
これらの会話や目標設定をサポートするために「価値あるコンテンツ」をシェアしてください。価値あるコンテンツとはクライアントが最重視する分野に関するニュースレター、記事、マーケティング資料を指します。例えば「目標達成」「健康とウェルネス」「ワーク・ライフ・バランス」です。
「この3つが目標であり、われわれの達成項目でした」とMarshallは言い、「コンタクト」の一例を示しました「私たちはあなたの進捗状況を追跡してきました。次の目標は何ですか。価値に変化はありましたか。目標設定は話し合いの連続です。それを支える枠組みの中心にあるのは皆さんの提供するコンテンツとクライアントへの関与です」
アドバイザーに求められる自制心
クライアントへのアプローチが以上のように変化すると、クライアントは皆さんに信頼感を抱くようになります。絆が強まり、紹介につながるでしょう。皆さんはクライアントのストレス要因の特定に努めました。クライアントにはそれが分かります。そのために積極的な会話に取り組んでください。
皆さんは顧客の価値と目標を再調整しながら顧客を支えますが、同時に自制心を働かせることも忘れてはなりません。「アドバイザーは自分に『これ以上は譲れない』というラインを設けるべきです。クライアントと同様にアドバイザーも、家族の記念行事を逃しています。もっと自分の時間を大事にしてほしい」とMarshallは指摘します。大切な人やイベントのためにスケジュールを確保してください。アクティビティに参加する時間を取り、充電してください。
Contact: Andy Marshall andy@livingyourdreamlife.org