
フィリピンの3年間MDRT会員Irish Lucrecia Aloyanは同僚やクライアント、見込客が最初に目にするZoomのプロフィール画像に小さなグレーの猫にほほを寄せている写真を使っています。通話を始める前でも彼女の暖かみと思いやりをこの写真から瞬時に感じられるだけでなく、種類を問わず、生き物の命を守ることに対する彼女の情熱が表れています。
「野良犬や野良猫を保護する心優しい15歳の息子をきっかけに、私は命を守るという目的を見つけました。どんな命でも基本的な欲求が満たされるべきであり、そのことをもっと多くの人に知ってほしいと思いました。ファイナンシャル・アドバイザーになったのはお客さまの人生を守るお手伝いをすることで私の使命がより豊かなものになると思ったからです」と、2013年から約300匹の動物を保護してきたAloyanは語りました。
視点を転換する
見込客から断りを受けたときにフラストレーションを感じないようにするため、Aloyanは動物の保護活動の考え方を顧客へのファイナンシャル・プランニング教育に応用しています。動物の欲求と感情を理解することは共感を育むことにつながります。
「動物保護に必要なのは動物が何を考え、何を感じているかに敏感になること、そしてその動物の目線で状況を把握することです」と彼女は述べました。中にはとても社交的で、出会ったときから世話をさせてくれる動物もいるといいます。しかし、近づくと威嚇されたり噛みつかれたりすることがほとんどです。そんなときは食べ物を持って行き「あなたのことを一番に思っているよ」という気持ちを示します。
この視点はファイナンシャル・アドバイザーとしての仕事にも適用でき、彼女の見込客探しの指針になっています。キャリアをスタートさせたばかりのころ、彼女はまず家族を守ろうとしました。金融教育をあまり受けてこなかった家庭でしたが、両親をサポートするため兄弟に貯蓄型の生命保険に加入してもらいました。「初めてのことだったので、強引にならないように意識して、金額は気にせず無理のない金額をためるようにと勧めました。最終的に私の兄弟は保険の価値を認識してくれました。貯蓄したお金で両親のために家と車を買うこともできました」
動物保護に求められるのは思いやりであり、Aloyanはその視点をクライアントとの関係構築にり入れています。
彼女は動物との別の体験談で第一印象の大切さを説明しました。同僚と車で動物保護施設に向かっていたとき、猛スピードで走る車にぶつかりそうになっている子犬を見かけました。その子犬を助けようと同僚が近づくと、そばにいた母犬がわが子を守ろうと駆け寄ってきたのに気が付きました。「子犬は母犬の元に残してきましたが、その日からずっと母犬は私の車を追いかけてくるようになりました」
Aloyanはこの経験から得た教訓をこう述べています。「クライアントに初めてお会いするときは、出だしでつまずかないように事前にリサーチを行うことです。そうしなければ、うまくいきません」
共感はファイナンシャル・アドバイザーがクライアントとの関係を構築する際に必要不可欠な能力です。このスキルが彼女の仕事における目的とクライアントとのつながりを促進した3つの方法を紹介します。
ありのままの自分を見せる。自分が加入している保険の情報を見込客やクライアントと共有します。「保険は使える」という最高の証明になるからです。彼女はクライアント、特にこれから子どもを持つ予定のご夫婦には自分の保険証券を見せ、重病や死亡など奥さまに万が一のことが起きた場合に、ご主人とお子さまを守るために奥さまの保険金がなぜ必要かを説明します。既にお子さまがいらっしゃるクライアントには、自分の息子の大学費用のための教育貯蓄プランをお見せします。彼女がファイナンシャル・アドバイザーに信頼感を抱き始めたのは、保険の恩恵を受けている友人を見たときからです。
「私の友人とご主人はオーストラリアに住んでいるときに事故で5,000万フィリピンペソ(約1億1,400万円)を請求して、母国のフィリピンで定年を迎えました。その様子を見て私も保険で家族を守りたいと思ったことが、この仕事を選んだ理由のひとつです」
クライアントとの信頼関係を築く。「見込客と会う前にまず彼らの興味を知り、相手を引きつけるベストな方法を理解することが最も重要です。それはこの先友情へと発展する可能性のある人間関係の土台をつくります」とAloyanは述べます。この方法で、仕事を始めてわずか14ヶ月の新米アドバイザーだったときに、最高売り上げを達成しました。彼女のソーシャル・メディアは動物保護活動やガーデニングへの情熱、慈善活動に関する投稿がメインでした。そして猫好きとガーデニング愛を共有するオンライン上の友人とつながることができました。「彼女に自分の庭で育てた野菜を送ったりしていました。そのうちに私を信頼してくれるようになり彼女のファイナンシャル・アドバイザーになりました。そして友人のグループを紹介してもらい、その友人達も私のクライアントになりました」
期待以上のことをする。見込客のご自宅で面談を行っていたとき、その女性が飼っている犬がしばらくお風呂に入っていないことに気付きました。翌日、Aloyanは犬をシャンプーするために彼女の家を再度訪れました。「愛犬のお世話を手伝うことで、もし彼女が私のクライアントになった場合には保険の域を超えた素晴らしいサービスを提供し、ご家族を親身になってサポートできることをさりげなく伝える方法です」
Ariana Ubinaは、アジア・パシフィック市場向けのコンテンツ開発でMDRTを支援するコミュニケーション・エージェンシー、Team Lewisに寄稿しています。連絡先は、mdrteditorial@teamlewis.com。
Contact: Irish Aloyan plukirishaloyan@gmail.com