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入り口で自分のエゴをチェックする
入り口で自分のエゴをチェックする

4 22 2022

入り口で自分のエゴをチェックする

支配者になることをやめ、委任することでより良いビジネスを構築する

対象のトピックス

事業を運営することより、その中で働くことに時間をかけ過ぎると全体像を把握するのが難しくなります。管理者としての業務が多すぎると付加価値の高い活動に集中し、コート・オブ・ザ・テーブルさらにはトップ・オブ・ザ・テーブルへとつながる他の目標を目指すための時間がなくなってしまいます。

アドバイザーになりたての頃は顧客数が少なく経費を抑える必要があったので皆さんもパソコンの前に座ってレポートや財務予測、事務処理などを何時間も行っていたかもしれません。しかし今はそうした仕事は人に委ねるべきです。アシスタントを雇ってください。管理業務が忙しくて仕事に追われていると成功するのが難しくなるので、皆さんより安いコストで働ける人に委託する方が賢明です。この種の仕事を希望する人は多く、チームの中で貴重な存在になるかもしれません。

次に重要なのは従業員を信頼することです。特定の仕事を任せるために人を雇ったのなら、そのメンバーのやり方を尊重しましょう。業務の遂行にはさまざまなやり方があります。自分の方法と違っていても皆さんが望むような結果を出せることに気付いてください。

第三にマイクロ・マネジメント(訳注:部下や新人の行動を細かくチェックし過干渉してしまう)をしないこと。手綱を放しチーム・メンバーに業務を任せることができないなら、経費を増やしただけで報いが半分しかないのと同じです。スタッフを面談に同席させ、いろいろな人が参加できるようにしましょう。インクルーシブ(訳注:包括的)になることでスタッフは皆さんが何をしていて何を求めているのかを理解し、仕事をするのがもっと楽になるでしょう。

権限委譲を次のレベルへ

日常業務の一部を委託し、自分はクライアントに直接お会いする生産的な仕事に時間を割くことができるようになったとします。しかしそれではまだ道半ばだと言わざるを得ません。本当の意味で権限委譲ができるようになると、皆さんはMDRTレベルのプロデューサーからコート・オブ・ザ・テーブルあるいはトップ・オブ・ザ・テーブルへと進むことができます。

より生産性の高い委託を実現するため、クライアントに直接お会いする業務も引き継いでください。自分は組織の顔であり、自分が現状を維持すればお客さまとの交渉も自分が望むようにできると考える人もいるでしょう。それがうまくいくこともありますが、重要なのはクライアントや見込客から見て強力で競争力のある会社だと映ることです。特定の人を通してしかやり取りができないと、皆さんはビジネスの構築に取り組む代わりに火消しに追われることになってしまいます。お客さまとのつながりをチーム全体に広げるために時間と労力を使いましょう。そうすればベーシックな委任では成し得ない多くの方法でビジネスを拡大することができるようになります。お客さまは何かをしてほしいとき皆さんに直接言わなくても支障がなく、バックにチームが控えていることを知って頼もしさや安心感を抱きます。

エゴを捨てる

お客さまにフォーカスし会社の顔としてキャリアを築いてきたアドバイザーは、権限委譲へと移行することを難しく感じます。皆さんは今こそ一歩離れ、チーム・メンバーがお客さまの目に頼れる存在と映るようにしてください。非常に難しいことですが、皆さんはライフスタイルではなくビジネスを構築しているので上級レベルの委任をマスターする必要があります。

お客さまと接触する仕事を任せなければ、委任することの本当の良さを実感することはできません。ビジネスは皆さんをサポートするためのものではありません。自分こそ会社の原動力であると考えがちですが、チームのメンバーすべてがビジネスをサポートするべきです。会社から何かをしてもらおうと期待するのを改め、クライアントが適切なサービスを適切なタイミングで確実に受けられるようにしてください。お客さまから見て皆さんよりチームの方が重要な存在になるようにしましょう。大きなエゴはビジネスを構築する上で妨げになります。

チーム・メンバーは面談に同席するほか作成済みのファイナンシャル・プランを発表し、四半期ごとの取引明細書を送ったあとに確認の電話を入れることができます。お客さまとの関係を築き始めたらアドバイスをする機会も与えてください。メールが来たらスタッフに返信を依頼します。お客さまからの電話メッセージは自分ではなくチーム・メンバーに対応させましょう。

教育とテクノロジー

チームは成功するための学習プロセスに徹底的に従うべきです。顧客ファイルの準備をさせ戦略セッションに参加させてください。クライアントの状況をすべてのスタッフと話し合うことで皆さんのアドバイスの型や方法を植え付けることができます。すでに知っていると決めつけないでください。また皆さんならではのスタイルや戦略をチーム全体に公開しましょう。結果としてお客さまは会社の誰と会話をしても、皆さんと話をし、皆さんの戦略を聞くのと同じだと感じるはずです。一方で皆さんは高収益をもたらすお客さまや付加価値の高いお客さまに集中的に時間を使って生産性を高めることができます。

自分こそ会社の原動力であると考えがちですが、チームのメンバーすべてがビジネスをサポートするべきです。

最後にテクノロジーを導入してください。顧客対応業務をチームに委任したとしても、旧態依然とした方法では時間と労力がかかりすぎるでしょう。プロセスを効率化するためにテクノロジーが果たす役割について学び、効果的に導入することで委任した仕事もより生産的になります。

委任はビジネスの成長を早めるにとどまらず、たった一人で回しているわけではないことからビジネスを売却するときの評価も高くなります。そこには一貫した再現性のあるサービスを提供するチームがあります。人に任せるのはアドバイザーである皆さんが楽をするためではありません。ビジネスを築き、すべての活動が適切な担当者によって行われるためです。一貫したサービスをお届けするベストな方法を採用するなら、より収益性が高くて楽しいビジネスモデルになるでしょう。

Clay Gillespieはカナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバーの21年間MDRT会員。連絡先は cgillespie@rgfwealth.com

Gillespieの2020年アニュアル・ミーティング、バーチャル大会の講演の様子はmdrt.orgからご覧いただけます。