Log in to access resources reserved for MDRT members.
  • 学ぶ
  • >
  • 残すか手放すか?
残すか手放すか?
残すか手放すか?

7 01 2022

残すか手放すか?

オフィスを維持するか、縮小か、リモートのみにするか、MDRT会員の判断の裏側をシェアしてもらいました。

対象のトピックス

3 月のある水曜日、Scott D. Edelmanと11人 のアドバイザーおよびスタッフから成るチームは 新オフィスに集まりました。2019年10月に近くの 大きな事務所から移転して以来のことです。

税金対策を担当するアドバイザーとマーケティングの打 ち合わせをするアドバイザーがたまたま同じ時間に集まっ たのでオフィスは満員になりました。「全員がそろったのは その時が初めてで気持ちよかったですが、自宅で仕事を するのも捨てがたいと思いました」とペンシルベニア州の 24年間MDRT会員は述べました。

その数週間後の4月のある朝、ニューヨーク州 の Michael H. Bautistaは他の5人のアドバイザーとシェ アしているオフィスで会議を開きました。各アドバイザーは 新規顧客の受け入れや新規口座開設、カスタマーサービス などの業務を行う3-6人のサポート・スタッフのチームを抱 えています。パートナーの半数はビデオ会議での参加でし たが、それでも多くの人が集まったので活気に満ちた職場 の雰囲気を楽しむことができました。18年来のMDRT会 員であるBautistaは「私たちはグループとして互いから多 くの刺激を受けているので、今後も事務所を維持すること になると思います。オフィスを持つことはコミュニケーション や交流が存在するかぎり有益です。一人で仕事をしていた ら自宅兼事務所を考えるのでしょうが、現状ではこのオフィ スを手放す必要性をまったく感じません」と述べました。

コロナは従来の職場に終止符を打ったというのが過剰 な意見なのか、正しい予測なのかは時間がたてば分かる でしょう。新型コロナの収束が見え始めた国の雇用主は 社員を出社させるか、完全なリモートワークにするか、両者 を併用するか検討しました。オフィスを借りているあるいは 所有しているアドバイザーは一人で営業していてもスタッ フを抱えていても難しい決断を迫られています。自分のオ フィスとその文化を維持するのか、経費を削減しデジタル・ トランスフォーメーションの恩恵を受けるために手放すの か悩ましいところです。

規模を縮小する

そもそもパンデミックが起きる前からEdelmanとアドバ イザー・チームは以前のオフィスにあまり出勤していませ んでした。数年前にテクノロジーをアップグレードし、アド バイザーと配下のアシスタントが出社と自宅勤務を交互 に行っていたからです。当時Edelmanとシニア・マネー ジャーたちは新型コロナによるロックダウンが迫っているこ となど予期していませんでした。ただ業務には現在の3分 の1の空間があれば十分で、8000平方フィート(230坪) のオフィスから移転すれば家賃を75%削減できると結論 付けたのです。

「新オフィスはアドバイザーとスタッフがホテリング(訳注:社員数より少ない席を設置し、出社する際には席を予 約するシステム)でデスクを使用するよう設計し直し、私自 身は物理的なオフィスを持ちませんでした。会社に来る時 はいつも会議室でクライアントに会ったり、他のチームメン バーと打ち合わせをするのでオフィスは必要ないから」と Edelmanは語りました。

会議室のほかにあるのは受付、ワーク・ステーションそし て3人のエグゼクティブが決まった日に出社する時用の3 つのオフィスです。紙の記録はクラウド上の文書管理シス テムでデジタル化し、ファイル・キャビネットのために家賃を 払うのは止めたとEdelmanは冗談交じりに言います。ま た通信は各自のパソコンや携帯電話のクラウド電話システ ム・アプリで行うため、オフィス用電話も置きません。ファイナ ンシャル・サービスはシャットダウン(営業停止)の免除対 象事業でしたがEdelmanが経営するウェルス・マネジメ ント・グループはスタッフの健康を第一に考えてオフィスを 閉める選択をしました。パンデミックのずっと前からテクノロ ジーをアップグレードしリモートの経験を積んできたので、 在宅勤務への転換は大した変化ではなかったと言います。 リモートワークをチームはすでに実践していたからです。

経費を削減したことによりEdelmanは社員の福利厚 生やボーナスを充実させ、福利厚生担当マネージャーや 会社のソーシャル・メディア活動に注力するマーケティン グ・ディレクターとして優秀な人材を採用することができました。さらにテクノロジーを強化した結果、カスタマー・エク スペリエンス(顧客体験)は向上し仕事のストレスは軽減 しました。

人間は社会性のある 生き物ですが特に この業界の人は飛躍し 成功するために人と つながれる環境を 必要としています。
— Chaw Fook Hing

Edelmanは「通勤を気にする必要がなくなりましたし、 家にいる方がリラックスできます。時間に追われていた時 と比べれば、プロジェクトの完成にもっと力を入れるように なりました。通勤は時間の無駄と言えるかもしれません」と 述べます。

それでもオフィスを持ち続けるのはなぜでしょうか。 Edelmanによれば、ベテランのアドバイザーたちは週の半 分をオフィスで過ごすというフレキシブルな勤務体系を気に 入っているそうです。時にはお客さまと面談する時の拠点、 支払いや書類の受け渡し場所、そして「チームが集まり会社 の戦略を練る場所」としてその役割を果たしています。

パンデミックの期間中インドネシアのオフィスは閉鎖さ れたため、ジャカルタの13年間MDRT会員Miliana Marten, AEPPが抱える5人のスタッフは自宅で仕事 をしました。この経験からMartenは自分の事業は広いス ペースはいらないこと、それでもオフィスは必要であること に気付きました。そこで彼女は家賃の安い小さな事務所 へ引っ越すことにしました。

「オフィスがあればイベントをする時に集まることができ ます。例えば今年の仕事始めの日には社員40人が集まっ てモチベーションを高めるイベントを行いました。社員が顔 を合わせてのミーティングはオンラインと異なる雰囲気を 味わうことができます」とMartenは述べました。

アドバイザーたちは出勤とリモートワークを使い分け、好 みに応じてZoomか対面でお客さまと面談をしました。ス タッフはオフィスでも自宅でもメールやWhatsAppで連 絡を取り合い、書類も宅配便でその日のうちに届くように 手配しました。

オフィスを手放す

David Eric Appel, CLU, ChFCはマサチューセッ ツ州にあるオフィスの賃貸契約を年内に更新しないことに しました。26年来のMDRT会員はパンデミックの前にす でに小さい事務所に移転していて、3人のスタッフはパン デミック以降リモートワークをしてきました。現在はメリーラ ンド州からリモートで働く同僚がおり、Appelも保険のお 客さまのほとんどが国内外に散らばっているため主に自 宅のオフィスで仕事をしています。2018年以降オフィスに 来るお客さまは年々減っており、直近の12 ヶ月間にいらっしゃったのはたった5人でした。しかし事業はこれまでにな く繁盛しています。先日はクライアントとのビデオ面談の予 定が7件連続で入りました。直接お会いしていたら駐車場 を探したり、オフィスに来ていただく手配をしたりする手間 がかかり到底できなかったことです。

「慣れるまで時間がかかりましたが、私はZoomが大好 きです。相手の顔が見えボディ・ランゲージを読み取るこ とができるので、私の話を理解されているのかどうかがよ く分かります。一方、電話は相手が見えないのでどこまで 理解してもらえたのか見当がつきません」とAppelは言い ます。

面談する場所が必要な時もあるため、Appelはボスト ン中心街の$500/月で月12回場所を提供するオフィス・ シェアに加入するか、会議室やワークスペースさらに顧客 や見込客や後援者と食事や飲み物を楽しむ場所を提供 するソーシャル・クラブに加入することを検討しています。

「月に12回つまり週に3回くらい利用できるオフィスをボ ストンの中心街に持つことができ、コストは今払っている 家賃の2割で済みます」と語りました。

オフィスを持ち続ける

マレー シアが パンデミックの 規 制 を 緩 和した た め Mohamad Manmohan Abdullah, ChFC, CLUとチームはクアラルンプールのオフィスに完全に復帰 し、スタッフ・ミーティング、目標設定や市場調査、顧客向 けファイナンシャル・プランニングや財務情報の処理など の日常業務を行っています。「事務所を手放すのは重大 な誤り」とMDRT27年目の会員は述べます。

電話やビデオ会議を通してクライアントとつながることに 関しては、80%のお客さまが直接会って財務の相談をす ることを希望しました。「今でも対面の面談はより深いレベ ルでお客さまとつながり、良いサービスを提供するのに向 いている」と言います。

会社の文化を維持することもアドバイザーが拠点を持 ち続ける理由のひとつです。マレーシアの5年間MDRT 会員Chaw Fook Hingは今の事務所を維持したまま 2つ目の拠点の立ち上げを検討しています。出勤して働く ことはチームの生産性を向上させる心理的効果があると 感じているからです。

「人間は社会性のある生き物ですが特にこの業界の人 は飛躍し成功するために人とつながれる環境を必要とし ています。テクノロジーはアドバイザーが業界で競争力を 保ち顧客ニーズに効率的に対応する助けになりますが、そ れでもアドバイザーには本拠地と呼べる場所が必要です」 とChawは述べました。

多くのお客さまはパンデミックの間バーチャルの面談を 希望したので、チームは対面の代替策としてオフィス内にビデオ会議用のスペースを設けました。

Bautistaはもし自分が起業直後あるいは事業を拡大 する初期段階だったらオフィスを手放していたかもしれな いと言います。しかし彼もニューヨーク州の事務所をシェ アする5人のパートナーたちもコート・オブ・ザ・テーブルや トップ・オブ・ザ・テーブルを獲得した人々です。その生産 性を維持するためにはそれなりの人数の管理部門や業務 支援を必要とします。基本的な業務やミッションのサポー トを行う社員を一堂に集めることはグループにとって合理 的です。デジタル・トランスフォーメーションとリモートワー クのおかげで、各アドバイザーは在宅勤務とオフィス勤務 をどの程度ブレンドするのか柔軟に決めることができるよ うになりました。

「リモートワークとオフィスワークについてとてもオープン に話し合ってきましたが、うちのスタッフはオフィスの雰囲 気や人との交流に満足しています。しかしフレキシブルに 働く体制も整っています。柔軟性を持ちつつ仲間とつなが るいつもの場所があるというのは、スタッフにとって良いバ ランスだと思います」とBautistaは語りました。

コロナ禍の真珠

新型コロナで対面の面談ができなくなった時、アドバイザーはク ライアントとの親しいつながりが失われることを心配しました。し かしMDRT会員はこの困難な時期にパンデミックの泥沼の中から 真珠を取り出すことに成功しました。例えばEdelmanはかなり前 からリモートワークを進める方向で動いていたので、米国でロック ダウンが義務付けられた時にすでに準備が整って いました。首尾よくリモートワークへ移行す るためにEdelmanが推奨する3つのポイ ントは優れたバックアップ・システム、優れたコミュニケーション・ アプリ( EdelmanはMicrosoft Teamsを愛用しており、クラウド 電話システムを全員のパソコンに入れている)そして豊富な顧客 データベースです。

「クライアントに関する大量のデータがあります。私たちのデー タベースは素晴らしくてあらゆる情報を提供してくれます。お客 さまの日常について多くのことを知っていますし、ソーシャル・メ ディアでもつながっています。ソーシャル・メディアで存在感を高 めているので、定期的にお客さまの情報を得ることができるしお 客さまも弊社のことを知ることができます。結果としてバーチャ ル・対面のどちらでも親しい対話やつながりができています」と Edelmanは述べました。

他の会員にもロックダウンの期間中に発見した貴重な体験を シェアしていただきました。

  • インドネシアの5年間MDRT会員Watie Kartonoは「バー チャル・ミーティングに移行してからはクライアントに会うため に移動する必要がなくなり、これまで以上に効率的になりまし た。その時間を事前準備に使ってプレゼンテーションのスライ ドに手を加え、クライアントに提示する追加資料を整理しまし た。いつでもどこでもビデオ会議に参加することができるので、 お客さまとの結びつきがもっと強くなっています。さらにバー チャル・ミーティングのおかげで営業時間外しか時間が取れな いお客さまにも対応できるようになりました」と言います。
  • 香港の13年間会員Wai Shan Chanは「今年はオンライン・ ウェビナーのオーディエンスが従来の対面式セミナーの3倍に なり、しかも費用対効果が高いことが分かりました。ハイブリッ ド・ワーク(訳注:複数の働き方を組み合わせるワークスタイ ル)を導入したことはワークライフ・バランスにつながり、スケ ジュールの融通が利くので自分の時間をもっと楽しむことがで きるようになりました」と述べます。
  • フィリピンの13年間MDRT会員Janet N. Ng, FChFP, CEPP は「まだパンデミックから完全に抜け出たわけではないので自 分や一緒に働く人たち、お客さまや見込客を必要以上に危険に さらすようなことはしません。ただし特に新規のお客さまには 保険証券を直接お渡しするようにしています。ただし今後も商 談は対面よりバーチャルで行う予定です」と語りました。

Contact

Mohamad Abdullah mhdmohan@gmail.com

David Appel david@appeladvisors.com

Michael Bautista michael.bautista@equitable.com

Wai Shan Chan irene.chan@pruhk.com

Scott Edelman scott@edelmanwealthmanagement.com

Chaw Fook Hing chawfookhing@aia-premier.com.my

Watie Kartono watie.kartono@gmail.com

Miliana Marten miliana.mdrt@gmail.com

Janet Ng janetnng@bridges-ph.com