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紹介されやすいアドバイザーになる
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9 01 2022 / Round the Table Magazine

紹介されやすいアドバイザーになる

総合的な顧客エンゲージメントを実現するとアドバイザーはセールスパーソンからスチュワードへと昇格します。

対象のトピックス

紹介されるべき良い仕事をするアドバイザーであっても実際にはあまり紹介を受けていない方が数多くいます。その理由は自分の価値を明確に示し、他のアドバイザーとの違いを一貫してクライアントや戦略的パートナーに伝えていないからです。紹介の量と質において有意義な成果を挙げた者が、より優れたアドバイザーになったわけではありません。彼らはすでに優秀なアドバイザーだったのです。むしろ、実務と顧客管理が上達した結果です。

クライアントとの関係の質は、生産性と企業価値に何よりも影響を与えます。保険商品や資産管理に関する知識は必要ではありますが、自分の財産ではありません。資産とは自分の所有物であり、クライアントとの関係こそが皆さんが所有する最大の資産です。

アドバイザーは顧客を競合他社に取られないよう努力しなければなりません。人間関係に影響をもたらす「Law of Familiarity(親しみの法則)」という不変の法則があります。時間と共に関係が親しくなればなるほど、当然視されることが増え、自分の価値がないがしろにされることがあります。忠誠心に陰りが見え始め、人間関係を危険にさらす可能性も出てきます。

さらに、このビジネスにおける圧力や競争は自分の価値よりもコストが重要視されるため、アドバイザーにとって不利に働きます。単に仕事をうまくこなすだけであれば、クライアントは取引として皆さんから保険に加入することになります。そのためクライアントは商品や価格、実績に固執し、アドバイザーである皆さんをスチュワード(財産管理人)としてよりも、コミッションを追いかけるセールスパーソンとして認識するようになります。

クライアントをアドボケイト(推奨者)に変える鍵は、人間関係が流動的であることを忘れないことです。

総合的な顧客エンゲージメントを実現する

保険やファイナンシャル・プランニングは静的なものにはなり得ません。人生における危機的な出来事が発生した場合、現在のプランの価値はなくなるかもしれません。お客さまはこれまで提供してきた商品に固執しているのでしょうか。それとも、皆さんの仕事を全て理解しているのでしょうか。クライアントに将来の理想像をイメージさせる「フューチャー・ペーシング」(将来のペース設定)は、私達の行動をダイナミックにします。クライアントの人生のバラバラだったパズルのピースを組み合わせるだけでなく、人生の経過と共にニーズが進化していく中で未来の出来事を先取してクライアントに知らせることができます。フューチャー・ペーシングによってクライアントのCFO(チーフ・ファイナンシャル・オフィサー)になり、経済的自立へ導き、最大限の力添えをしたいという考えを示すことができます。強いエンゲージメントを得られたクライアントであれば、全面的に管理を任せてもらえるため、資産、リスク、税金、不動産、債務管理の全てを担当し、パズルのピースを組み立て、完成図をお見せすることができます。

では、その方法をお教えします。

脱コモディティ化(コモディティ=汎用品)する。差別化を図り、業界やメディアの雑音を超越することでクライアントはコストより皆さんの価値に注目するようになります。

人間関係を客観視する。クライアントは単に人を信頼し、共感するのではなく、その人の考え方や自分を経済的自立に導く計画戦略とプロセスを信頼して共感します。

アドバイザーの価値を解明する。皆さんの仕事、誰のための行動であるかをクライアントが理解・吸収しているかを明確にすることで皆さんの価値を説得力のある形で他の人に伝えてもらうことができます。

総合的な顧客エンゲージメントの実現

では、抽象的な自分の価値をどのようにして具現化できるでしょう。

皆さんは「知識が利益になるビジネス」に携わっています。考えることが仕事です。物を販売しているのではなく、未来の約束をしています。手数料の圧縮など職場のあらゆるしがらみについて考えれば、平凡なセールスマンのように見えてしまう可能性があります。そうなると、この仕事は非常に抽象的になります。

差別化を図るにはこのような状況にどう対抗すれば良いでしょう。その答えはマーケティングではなくブランディングです。マーケティングとは自分が話すことです。ブランディングは相手が聞いた内容を吸収し、他の人に話すことができることです。皆さんの価値はお客さまが解釈するものであり、実際の資質、スキル、意図によって決まるものではありません。仕事においては全て大事な要素ですが、知識やサービスは売る物ではなく、あくまで買ってもらうものであることを忘れないでください。自分を売り込むのではなく、相手が皆さんの価値を素早く捉え、共感してほしいのです。

別の表現では、皆さんは単なるお金の管理をしているわけでも、ビジネスを経営しているわけでもありません。人を管理しているのです。私達はクライアントとどのようにコミュニケーションを取り、どのようなサービスで対応するかを考えることで人と人の関係を管理しています。「つながりがある限り、一人のクライアントのためにいくつのことができますか?」私はよく協働しているアドバイザーにこう尋ねます。「お客さまが生涯のクライアントで、そのビジネスが次の世代まで続くと仮定して、彼らに対していくつのことを提供できますか?」

多くのアドバイザーは頭をひねって考え、そのリストを文書化しなければなりません。それらのステップやサービスを知的財産に変換するのです。そうすると「つながりがある限り、私はお客さまに85のことを行います」と言うアドバイザーがいます。これは効果的です。85より多い人もいれば、少ない人もいます。その数は重要なポイントではありません。皆さんの価値を高めるのはサービスレベルです。お客さまは85の項目を一切覚えていないでしょうし、その中のものはどれも独自の財産ではないことも心にとどめておいてください。すでにコモディティ化(凡用品化)されているものもあります。

しかし未来への約束を果たすには、脱汎用品化し、クライアントが皆さんの価値を知れば知るほど必要不可欠な存在になるべきです。

お客さまはプロセスを買っていますか。それとも個々の商品やサービスを購入していますか?考えてみてください。注目してほしいのは85の項目ではありません。注目してほしいのは、皆さんが考え、洗練してプロセスに落とし込み、お客さまの人生の展開とニーズの進化に沿って、そのパズルの全ピースを組み立てたという一つの事実です。クライアントは皆さんのプロセスから脱却することはできません。危機的な出来事が発生し、人生が進展するにつれ、このプロセスになじんでいきます。これがクライアントの専属CFOになる方法です。

クライアントが単なる取引関係から、流動的かつダイナミックなプロセスを受け入れるようになれば、それはまさに競合対策が完了したクライアントであり、クライアントから推奨者へと変わります。推奨者は理想のクライアントです。全面的に管理を任せてもらえ、一緒に仕事をすることを喜び、聞く人全てに皆さんを推薦してくれます。お客さまは皆さんのビジネスの成功のために紹介しているのではありません。紹介をしないことで自分の友人が損をしてほしくないと感じています。つまり、お客さまは友人と皆さんの両方を推奨しているのです。

2022年MDRTアニュアル・ミーティングでのMacPhersonのプレゼンテーションはmdrt.orgでご覧いただけます。

Duncan MacPherson,は、カナダ、ブリティッシュコロンビア州、KelownaのPareto Systems社のCEOでブランディングとクライアント獲得のエキスパート。The Blue Square Methodの著者。連絡先は、sales@paretosystems.com