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過去の経験を生かす
過去の経験を生かす

9 01 2022 / Round the Table Magazine

過去の経験を生かす

Ibrahimは銀行での経験を生かし、クライアントにさらなる価値を提供します。

対象のトピックス

ファイナンシャル・アドバイザーの経歴はさまざまで、前職で培った経験が優れたクライアント・サービスを提供する上で役に立つことがあります。シンガポールで活躍するMDRT会員5年目のMohammad Ibrahim Bin Mohd Sanusi, FPCに銀行業務で得たスキルを生かしてクライアントに対応し、アドバイザーとして大きな成功を収めている経緯を紹介してもらいました。

サービス第一

Ibrahimは金融サービス業界で、フロント・エンドとバック・エンドの任務を経験しました。すなわち銀行の窓口係から始まり、銀行員、そして最終的には支店長を務めました。この仕事を通してさまざまなバックグラウンドを持つクライアントと接する機会がありました。海外からシンガポールに赴任している移住者のニーズは地元住民とは違い、高齢者と若いクライアントは経済的優先順位が異なることを体感したので最高のサービスを提供しようとするモチベーションがあれば、どんな相手にも対応できることを学びました。

「銀行では全ての業務でクライアントと向き合いました。銀行の方針の一つが、クライアントとの信頼関係を維持することだったので、どのクライアントにも同じクオリティのサービスを提供するよう求められました。窓口業務では目の前にいる方はどんな人でもお手伝いするよう努めました」とIbrahimは言います。

クライアントとの出会いを貴重な体験ととらえ、優れたサービスを提供することに集中しました。お客さまの立場で考え、4つの段階を設定しました。

1.認知 - クライアントのニーズを認識し、理解する。
2.検討 - いくつかの提案を作成し、検討していただく。
3.加入・購入 - クライアントにニーズを実現できると納得していただき、契約をお預かりする。
4.サービス - ご成約後もアフター・サービスでフォローする。

ではアドバイザーとしてどこまでサポートしたのでしょうか。あるクライアントは、パンデミックによりビジネスに打撃を受け、収入を失いました。その方は保険会社5社の保険契約があり、お客さまは家族の唯一の収入源として家族を守りながら、保険料負担を減らすためにどの契約を削減できるか判断する必要がありました。しかし保険証券を確認するための書類もなく、オンラインで保険証券にアクセスすることもできない状況でした。そこでIbrahimは保険会社5社全てに同行し、情報を収集しました。そして、お客さまの財務ポートフォリオと保険の概要を組み合わせてエクセルにまとめ、保障のもれや重複がある箇所を明確にしました。この作業には1ヶ月かかり6回も面談させていただきましたが、これによりお客さまの財政を立て直し、毎月の保険料負担を減らすことに成功しました。

過去の経験を生かす

Ibrahimはソフトスキルを現在のファイナンシャル・アドバイザーとしての仕事に生かすだけでなく、銀行商品に関する知識も活用し、クライアントにより包括的なサービスを提供できるようにしました。例えば、銀行業界は主に投資に重点を置いていますが、保険業界はリスク・マネジメントに重点を置いています。両業界を経験したIbrahimだからこそ、それぞれの微妙な違いや複雑な事情を理解することができます。

「両業界で経験を積んだことにより、リスク・マネジメントとウェルス・マネジメントの両方で総合的にお客さまにアドバイスすることができるようになりました。これまでの経験や知識を生かして、一人のファイナンシャル・アドバイザーができる最高のサービスをお客さまに提供しています」と語ります。

差別化要因

しかし、過去の経験を生かすだけでは十分ではありません。

「学ぶことをやめないでください。私は複数の職務を経験することで新しいことをたくさん学びましたが、まだまだ学ぶことはたくさんあると思っています」と言います。

Ibrahimは1日の終わりにその日を振り返り、うまくいったこととさらに改善できることをリストアップし、24時間から72時間以内にその項目を実践するようアドバイスします。

「これを続けることで1週間から1ヶ月という短期間で確実に自分の変化を実感できるはずです」と言います。

Ibrahimはこれを毎日意識して実行しています。その日の改善点を振り返ること、そして本を読んだり動画を見たりして知識を深めることで常に進歩し、お客さまにより良いサービスを提供しています。

「最も重要なのは、反省を次の日に生かすことです」と言います。こうすることで学びを確実に自分のものにしています。

ポジティブな考え方はIbrahimが仕事へ取り組む基礎となり、キャリアの変更にも大いに役立ちました。現在彼はファイナンシャル・アドバイザーとして長年培った知識を生かしながら、新たな角度からクライアントにサービスを提供しています。「これまでの経験も大切にしながら、嫌なお客さまが来ても100万人に1人の確率で出会うことができた貴重なご縁だと自分に言い聞かせ、モチベーションを高めています。最高のサービスを提供することで、幸せな気持ちで1日を終えることができます 」と語ります。

Audrey Hengは、アジア太平洋市場向けのコンテンツ開発でMDRTを支援するコミュニケーション・エージェンシーTeam Lewisの記者です。連絡先はmdrteditorial@teamlewis.com

CONTACT: Mohammad Ibrahim ibrahimsanusi1982@gmail.com