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測定したものだけが査定対象
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9 01 2022 / Round the Table Magazine

測定したものだけが査定対象

事業価値をモニタリングすることは単に数字を加えていくことではありません。

By Matt Pais

対象のトピックス

2年前Catherine Gough, FPFSは月1回のチーム・ミーティングを週1回へと増やし、スタッフに前もって議題を追加するよう促しました。それから半年して英国の5年間MDRT会員であるGoughは四半期ごとのアップデート会議を開始し、スタッフに財務予測を提供するほか採用やマーケティング、離職や感情的知性(EQ)について話し合う場を設けました。

コミュニケーションを強化し一貫してチームの団結力にフォーカスした結果、チームの人間関係や目標の明確さ、回復力などに対する評価は前年と比べて上昇しました。

「コンサルタントはビジネスを心理面でも財務面でも強固にしてビジネスを成長させるアイディアをくださいました。チームからも確かな手応えを得ることができその影響力は顧客アカウントや利益の増加、スタッフの離職率の低下に見ることができます。全ての分野で成長しているのを実感しました」とGoughは話します。

Goughのスタッフが戦略立案や問題解決に参加していることは彼女の事業価値を判断する要因の一つになります。このような企業の強みは収益の全体像とともに現在および将来のビジネス価値を決定する材料であると、FP Transitionsのシニア・コンサルタントであり独立系ファイナンシャル・アドバイザーを20年以上支援するScott Leak, CFPは述べます。

「企業の強さには将来性と長続きする価値をサポートする物理的、組織的構造が重要です。必要な人材とリソースは整っていますか?創業者の成し遂げたこととは別に、将来の効率的な成長を維持するため十分な報酬を支払っていますか?」とLeakは問い掛け、従業員数、専門家1人当たりの取り扱い世帯数、間接費、経費率などは評価すべき数字の一部にすぎないと述べました。重要な人材を失うとビジネス価値や成長軌道に悪影響を及ぼす可能性があります。

FP Transitionsはビジネスのモニタリングや測定、保護や成長をサポートするため50~60の主要業績指標に対するカスタマイズされたベンチマークを用いて企業価値評価を行います。収益面では経常収益や過去3~5年間の成長率、キャッシュフローや1世帯当たりの利益などを検討します。Leakは収益やマーケットの動向が変化することを踏まえ、毎年バリュエーション(査定)を行うことを勧めています。

あいまいな印象

しかし数字は誤解を招くおそれがあるとLeakは言います。

例えば収益が伸びていても新規顧客の伸びが鈍化しているなら、それは事業価値が低下していることを示す警告サインです。また2つの事業のうち一方の事業がより多くの管理資産(AUM)があるのに評価額が変わらないこともあります。これはAUMの高い事業者が十分なフィーを徴収していない、非経常収益に依存しすぎている、あるいはスタッフに過剰な給与を支払っていることが原因かもしれません。Leakは報酬不足よりも解決が難しい過払いの問題を抱えている場合、従業員に責任を追加するか、報酬体系を変更して事業に新たなオーナーを迎え入れ、その人の報酬をトップライン(売上)ではなくボトムライン(純利益)から算出することを提案します。

「オーナーが複数いる企業は、一人の企業と比べて早く成長するという考えを裏付けるデータが豊富にある」とLeakは言います。この見解はトップ・オブ・ザ・テーブルとコート・オブ・ザ・テーブルのメンバーを対象に行われた2021年MDRT財務ベンチマーク調査(mdrt.org/2021-benchmarking-survey参照)と一致しており、回答者の上位25%の事業はパートナーシップを組んでいるか運営コストは共有しても利益は共有しないサイロビジネスである傾向が見られました。さらに社内での後継者育成はより大きな成長につながる可能性があります。

カナダの21年間MDRT会員Robert A. McCullaghは上記を踏まえ、退職まで8年となりましたが通常のバリュエーションを行っていません。代わりにいざというときに潜在的な買い手にとって重要になるプロセスや文書化、CRM、トレーニングやコンプライアンスなどを監視し、自分がいつでも事業を手放し他の人が滞りなく引き継げるようにしています。そのため毎年どれだけのビジネスを生み出したかを検証し、半年に一度の割合でAUMをモニターし、ビジネスがどこから収益を得ているのかを定期的に説明する努力を怠りません。

「このような取り組みにより価値はおのずとついてきます。事業の価値は普遍的なものではないといつも自分に言い聞かせています。自分がいくらで売却し相手がいくら払いたいかの金額には必ずギャップがあります」と経営者や起業家を中心に1500もの顧客のウェルス・マネジメント、団体福利厚生、リスク商品を扱うMcCullaghは述べました。

数字は嘘をつかない

McCullaghは毎週チームメンバー(投資信託、リスク管理の各担当者、勤続33年で間もなく退職するアシスタント)とミーティングを開きプロセスの見直しを行っています。また月に2回ビジネスコーチと会い、クライアントやスタッフとの新たな関わり方を模索しモニタリングの方法について話し合います。

現在3人のアドバイザーと10人のサポート・スタッフでリタイアメント前後の経営者とビジネスを行うGoughは、近い将来の売却を目的にした変更ではなく、むしろ規制がきっかけでアプローチの仕方を変えました。バック・オフィスのプロセスを強化し、事業の長所、短所、好機、脅威を特定して短期および長期計画を立てることを提唱する戦略的計画手法であるEntrepreneurial Operation Systemを使用しました。その結果顧客をどこから得ているのか、投資アプローチが一貫しているか、また紹介の量や源などがより明確に分かるようになりました。このシステムは上記のほかにも最初の面談や顧客レビュー、AUM、支払いやワークフローの確認ができる月次レポートを自動的に作成します。

「アプローチを変える前にもエンゲージメントの高いクライアントはいましたが、それを第三者に示したくても今のように文書で実証することは難しかったでしょう」とGoughは述べ、変更よってクライアントが増加しサポート・スタッフの人数が3倍になったと明かしました。「適切な評価項目は改善することができます」

事業価値に影響を与えるその他の要因

Leakは以下の項目も検討するべきだと指摘します。

  • クライアントの年齢構成。Leakはお客さまを30歳未満、30歳以上50歳未満、50歳以上70歳未満、70歳以上の4つのグループに分けています。資産の8割を70歳以上のクライアントに注ぎ込んでいる事業所と、より長い付き合いが見込める30歳以上50歳未満のクライアントが多い事業所とでは明らかに評価が異なります。
  • 事業売却の方法。外部の企業に売却する場合は企業力よりも収益力が決め手になるとLeakは述べます。既存の企業価値はビジネスの収益性を考慮して決まるからです。内部承継の場合はこれまでに培ってきた企業価値がより重視されます。
  • 創業してからの年数および顧客の継続年数。クライアントでいる年数と所有権の移転後もとどまる可能性の間には明確な相関関係があります。

ビジネスの価値と将来性を判断するテクニックはMDRTのBusiness Continuity Decision Tree(mdrt.org/decisiontree)でさらに確認することができます。

CONTACT

Catherine Gough cg@kingsland-ifa.co.uk

Scott Leak scott.leak@fptransitions.com

Robert McCullagh robert@benefitplanners.ca