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レガシー・プランニングへのジャーニー
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9 01 2023 / Round the Table Magazine

レガシー・プランニングへのジャーニー

待ったなしの診断を受けたアドバイザーは事業継続計画を立てて家族を守る決意をしました。

対象のトピックス

自分に万が一のことがあったときの事業継続計画を検討する時間はまだまだあると思っていました。しかしある日、命に関わる健康問題に直面し、家族を守ることおよび事業の中断や混乱を避けることに対して準備不足を思い知り、がくぜんとしました。

事の発端は数日前から胃に感じていた痛みの原因を探るため、地元の緊急医療センターに行ったことでした。驚いたことに医師は緊急事案として至急CTスキャンを受けるよう指示しました。検査の数時間後、医師は痛みの原因が小腸の壁が厚くなっているためだろうと説明し、恐らくただのウイルスだと言われてひとまず安堵しました。比較的健康だというお墨付きをもらったつもりでしたが、次に医師は非常に気になることを言いました。ウイルスに加えて私の胃の中に組織の塊が見えたと。「GIST(消化管間質腫瘍)だと思われます。外科チームに来てもらい、恐らく入院することになるので今後について話し合いましょう」と説明しました。

担架に横たわって詳しい説明を待つ間、携帯電話を取り出してこの病気について検索しましたが、そこで知った情報はちっとも慰めになりませんでした。米国でGISTに罹患するのは年間12万人に1人しかおらず、医師も原因を把握していません。初めのうちは小さく局所的ですが、成長して広がり最終的には悪性になる可能性があります。このタイプの腫瘍は化学療法や放射線療法に反応しないため、転移していない場合は手術が唯一の治療法になります。誰も決してかかりたくないタイプの病気でしょう。

私がいなくなった場合、どの道筋が家族に最大の価値を生み出すかを考えたとき、何が私の事業価値で誰が最良の候補者なのかを吟味する必要があることに気付きました。

不十分な遺言

まず家族を守るために何をしてきたかを考えました。妻のStaciaと私はパンデミックの1年ほど前に遺言書を見直し、多くの安全策を講じました。しかし私は自分のビジネスの承継計画や継続計画を真剣に考えたことがないことに気付きました。もし手術の合併症で命を落としたら、回復が予想以上に思わしくなければ、あるいは医師が腫瘍の転移を発見したらどうなるでしょう。

我が家の場合、ビジネスのガバナンス(管理・運営)は遺言書にある委任状の規定によります。つまりStaciaが会社を相続し経営することになりますが、彼女が望むかどうかは一度も話し合ったことがありませんでした。第一彼女にはそれができるでしょうか。

私はすぐに実行可能な選択肢ではないと悟り、Tractionという本にあるコンセプトに基づいてガバナンス・モデルを構築しようと考えました。この本では成功するビジネスには2人の人物が必要であることを論じています。会社を経営するビジョンと能力を持つ「ビジョナリー」と、ビジョナリーと結束して、全ての実務を監督・実行する「インテグレーター」です。

最終的に私は3つの望ましくない結果のいずれかが起こった場合に備え、家族の擁護者(advocate)となる人が必要だと判断し、どのような資質を持つ擁護者がふさわしいか考えました。私の扱う商品ポートフォリオに対する知識が必要だろうか。私のビジョンを補完する強力な実務スキルを持っているべきだろうか。さらに何より重要なのは妻に受け入れられることです。私はこの業界から3人の人物を特定し、その中から家族の擁護者として最もふさわしいと思う人を選びました。事情を説明すると、彼は必要になったらこの役割を引き受けることに同意してくれました。

最悪の事態に備える

もし手術がうまく行かなかったら会社を誰に売却するか見極める必要がありました。社内のチームメンバーに売るのと外部の組織に売るのとどちらが最善策でしょうか。当時私の下には11人が働いており、その中でも中核となる3人のリーダーから成るチームがありました。27年間一緒に仕事をしてきた私の右腕と、20年以上勤務している2人です。私達は互いに助け合って来たので、このシニアチームに会社を買い取って経営する機会を与えなかったら3人の自尊心を踏みにじることになるのではないかと悩みました。

私がいなくなった場合どの道筋が家族に最大の価値を生み出すかを考えたとき、何が私の事業価値で誰が最良の候補者なのかを吟味する必要があることに気付きました。在職中は受動的収入を継続的に生み出す個人保険を何千件も販売するという幸運に恵まれ、管理資産を増やしてきました。会社をチームに売却すれば初日から継続的なサービスを提供することができます。しかし私のキャリア全体が全国の医療機関にたった1種類の商品を提供することを中心に構築されてきたことにも気付きました。ビジネス経験やスタッフ、システムをすでに持っている競合他社に買収させて弊社を吸収してもらうのがベストでしょうか。そして、膨大な数の個人と組織との信頼関係の価値について考えました。より幅広い商品やサービスを提供する企業は膨大な件数の個人契約に価値を見いだしてくれるでしょうか、あるいは団体福利厚生や役員福利厚生を専門とする企業は弊社の制度を利用したビジネスに魅力を感じるでしょうか。

簡単に答えられない重要な質問ばかりだったので、まず社内に売却することを考えてみました。私は右腕となぜこれほどうまく行くのか自問しました。それは私達が互いを補い合っているからです。私はビジョンを立て、彼はそれを揺るぎないものにします。そこで新しい指針を探しているなら誰でもするべき問いかけをしました。私はビジネスを前進させるビジョンを持つ人が欲しいのか、それとも会社をただ維持するだけの人を探しているのか。その答えは事業を継続するか、売却して解散するかのどちらを望むかによって異なるでしょう。しかし、もし彼が会社を率いることになればスタッフはどのように受け止めるでしょうか。先日会社が実施した研修で、人事コンサルタントは「この会社であなたを一言で表すとしたら何ですか?」と聞きました。私の頭にすぐに浮かんだのはdrive(原動力)です。右腕の答えはcalm(落ち着き)でした。約束を確実に履行しプロセスを円滑に進行させるマネージャーの存在は非常に貴重です。しかしそのような後継者は長年私の下で働いてきたスタッフの面倒を見ることができるでしょうか。難しい問いですが彼は全てを監督する準備ができているでしょうか。そうでない場合は誰を会社に入れるべきか、それは会社の安定と価値にどのような影響を与えるのか。また私の右腕はビジネスを前進させることができるだろうか、そして会社を買収する資力を持っているだろうか。

手術までの限られた時間の中でさまざまな疑問に向き合った結果、私が助からなかったとき家族にとって実行性のある唯一の手だては会社を外部組織に売却すること、チームが保護され売却によって何らかの経済的利益が得られる形にすることだと結論付けました。解決策を社外に求める必要がありました。そこで私のターゲット市場を熟知し、引き継げるのは誰かという問題が出てきました。

売却の準備

私は早速解散チームと呼ぶセカンドチームを結成しました。売却しなければならなくなったとき、すぐに行動を起こして買い手を見つけるためです。コンサルティングの担当者として、私のターゲット市場や競合他社に詳しい人と高い交渉力を持つ2人を選びました。彼らは必要であれば先述の擁護者にオファーをし、次にその人が妻に連絡することになっています。

それと並行してまず自社の価値を把握する必要があったので2社と契約して競合的買い付けを実施しました。次に主要なお客さまや後援者(COI=影響の中心)とコミュニケーションを取り、私に何かあったときに彼らが状況を把握できるようにしました。

次はスタッフです。会社の価値はスタッフにあります。彼らは「社長がいなくなった」「社長は6ヶ月不在だ」「新しい社長の下で働かなければならない」「別の仕事を探そうか」と考えるかもしれません。そこで私達が取っている措置を理解してもらえるようスタッフとの話し合いを増やしました。毎週のミーティングでこれらの課題に取り組み、社内の全てのプロセスを業務フローチャートに書き出し、それぞれの担当者、報告先、管理者を明確にしました。

事業承継計画で最も重要なのはスタッフに正直であることです。つまり私が右腕と考えていた人と率直に話し合いました。彼には私が何を考えているのか理解してもらう必要があり、また私は彼に「これを実行したいと思いますか。どの点が気になりますか」と尋ねる必要がありました。もしNOと言われたら彼と会社を守れる別の手段を講じたいと思っています。会社を売却するのであれば彼を守る方法も考えなければなりません。

このようなステップを踏むことにより私達は家族とビジネスを守ることができます。誰であろうとこれをしない理由はありません。自分が思っているほど本当に時間があるのか考えてみてください。この点で私の考えは甘かったかもしれませんが、それでも今日に至るまで仕事を続けこのメッセージを皆さんと共有できることをうれしく思います。

David Blakeはニューヨーク州Harrisonの23年間MDRT会員。Contact: dblake@insmedinsurance.com

事業継続に関するリソースはmdrt.org/decisiontreeをご参照ください。