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赤信号、後悔、そして反省

今から8年前、Twyla Dawn Hardham, CFPは自身の事業(保有契約)を4ページの売買合意書にまとめ、笑顔で握手を交わしました。全てがうまくいきました。

時は流れ、2022年2月にカナダ、ブリティッシュコロンビア州Kelownaで活躍する6年間MDRT会員の彼女はあるアドバイザーの事業(保有契約)を買収することを検討していました。その方の堅実な投資戦略を含めてHardhamと共通点が多く、複数の方が賛意を示しました。ただし、規模は前回の90倍で、結果的に困難も90倍になりました。

それだけではありません。2022年7月に締結した買収契約にはHardhamにとって良いこともたくさんありました。例えば210世帯の保険と投資を管理する事務スタッフを継続して雇用しました。プラスだったことを紹介します。

  • 売り手はお客さまひとりひとりについて1枚程度の略歴を用意してくれました。家族構成、友人関係、さらには事業を手放すと伝えた際のリアクションも記載してくれました。お客さまの投資スタイルやパーソナリティーに関する情報もありました。
  • さらにお客さまを3グループに分けてAグループのお客さまには事前にHardhamと準備してあったセリフを使って事業の売却について説明してくれました。Hardhamは有能なアドバイザーなので心配する必要はなく、これからも安心して彼女を頼ってほしい。なお、近日中にお会いいただきたいと伝えてくれました。
  • その連絡をした24時間以内にメールを発信しました。売り手とHardhamが一緒に写っている写真に加え、売り手からのメッセージ、Hardhamの自己紹介とメッセージも添えました。
  • 買収の条件のひとつとして既存スタッフ1名とオフィスも引き継いだのでお客さまにとってはいつもの場所に、いつものスタッフがいる状態を維持できました。
  • 買収から2ヶ月以内に売り手と共同で引き継ぎを記念するイベントを開催し、AとBグループのお客さまを招きました。食事と飲み物を用意し、DJとカメラマン、ビデオ撮影者を雇い、景品に3,000ドルかけ、それぞれの参加者のお土産には一世帯ごとに400ドルかけました。お土産にはシャンパンのミニボトルとロゴ入りで引き継ぎの日にちを記載したオープナーまで添えました。多くの参加者が「こんなすてきなイベントは初めてだ」というポジティブなフィードバックをくださいました。

しかし、引き継ぎに関連するフラストレーションと開けてびっくりなことはたくさんありました。先輩から事業を買収することを検討している方には大いに参考になると思います。

赤信号

意図的なもれ。お客さま1人ずつの情報を提供してくださったのですが、何人かのお客さまについてはその資料が抜けていました。Aグループのお客さまの約3割は売り手の親族でした。売り手は結婚して名字が変わっていたので気が付きませんでしたが、お客さまのデータを個別に検証していった結果分かったことです。またトップ・クライアントについての個人情報は記載してありましたが、その方が売り手の大親友だということは記載がありませんでした。

引退と言えるのか。売り手は保留期間が終わるまで彼女の名前を含む会社(代理店)名の維持を求めていました。さらに、CFPの免許も維持したまま、2時間ほど離れた場所に引っ越し、そこで若干の仕事を継続したいと主張しました。そのためか多くのお客さまに個人用携帯電話の番号を知らせ、連絡を取り続けていたようです。また、一部のお客さまにはHardhamの保障内容見直しの面談前に非公式なアドバイスも与えていました。もしかすると2年間の保留期間終了後に、親戚や親友など一部のクライアントを取り戻すのではないかとHardhamは懸念していました。

事業価値の評価。売り手は2021年の下期をベースに事業価値を評価することを主張しました。それは株価が急騰した時期で、買収の交渉時にはかなり下がっていました。それに対してHardhamは直近2年間をサンプルにすることを提案しましたが、交渉の結果1年間で評価することになりました。もしやり直すことができるのであれば、Hardhamは第三者に評価を委託するべきだったと考えています。

フラストレーション

360ページの契約書。Hardhamは長い長い買収契約の書類を読むのにうんざりしていましたが、実はいくつかの問題点がひそんでいました。例えば、お客さまが「生活費」のために資金を引き出した場合は、簿価に反映しないと記載してありました。しかし、お客さまの多くは老後資金を積み立てるステージではなく、引き出すステージに至っていたために多くの方がさまざまな理由で資金を引き出していきました。ある方の場合、資産価値が30,000ドルという想定で支払ったのに、大部分を引き出して残りは3,000ドルという例もありました。もしやり直すことができるならば、Hardhamは買収契約を3年間の猶予期間を持って測定し、3年目の価値を反映した買収額を支払う契約にするべきだったと考えています。

古めかしいCRM。売り手は素晴らしいCRMを活用していると自慢していました。しかし、実際はかなり旧式のものでした。既にシステムのサポートは終了していたので全てのデータを維持、保護するために高額のメンテナンス契約を締結し、新しいシステムに移行する必要がありました。事前調査を徹底して既存のCRMを分析するべきだったとHardhamは振り返ります。さらに、オフィスにあるコンピュータは10年物で、全てを買い直す必要がありました。

名称変更の代償。Hardhamは売り手のイニシャルとコンセプトであるSafe Harborを意味するSH Financialと言う名称を維持することに同意しました。保留期間が終了し、売り手に最終的な支払いを済ませた後、Hardhamは名称変更をすることにしました。しかし、それにはウェブサイトの変更(ドメイン名の獲得には10ヶ月もの交渉期間がかかりました)はもちろん、デジタルも含めてロゴの変更には膨大な時間とお金がかかりました。新しいブランドの登録、デザインなどにスタッフとHardhamは膨大な時間とお金を投じることになりました。今振り返ると、専門家を雇って名刺などのロゴ変更を任せるべきだったと考えています。控えめに言っても「困難なプロセス」でした。でもSafe Harbor(安全な港)で待機できるのでやった価値があったと言います。

コミュニケーション。事業売却の金額に加えて、売り手はHardhamへの引き継ぎ期間として3ヶ月から1年の就労に報酬を払うことを要求しました。その費用は購入価格に含めるのが一般的です。Hardhamが費用負担が重すぎることを理由に難色を示したところ、売り手はお客さまの引き継ぎを1ヶ月で行うよう変更し、その期間の終了後はHardhamとのコミュニケーションを維持してくれませんでした。

学び

もう一度やり直すのであれば、Hardhamは買収契約を締結する前に3ヶ月間協労しながら検討するべきだったと考えています。そうすることで、売り手のビジネスの流れ、お客さまやスタッフとのやりとりの様子、機材やプロセスについてもよく理解できたはずです。

幸運なことにHardhamが失ったお客さまはおふたりだけでした。この先は信頼関係の構築と、既存のお客さまの資産価値を高めることにより、売り手の親族が解約しても事業としてのインパクトを最小限にしたいと考えています。「学びの多い旅でした。ああすれば良かった、こうすれば良かったと思うことが多々あります」とHardhamは振り返ります。でも現在は事業買収のエキスパートになれたので、どうするべきか、何に注意するべきかが分かると笑顔を見せました。

CONTACT

Twyla Hardham twyla@shfinancialsolutions.com

Matt Pais
Matt Pais
in ラウンド・ザ・テーブル誌2023年7月1日

赤信号、後悔、そして反省

想定以上に困難を極めた買収からHardhamが学んだこと
事業計画と継続スタッフ
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著者

Matt Pais

MDRT senior content specialist