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マルチタスクをやめる
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1 03 2023 / Round the Table Magazine

マルチタスクをやめる

Ongはシングルタスクがプライベートでも仕事でも生産性を高める鍵であると発見しました。

対象のトピックス

企業は限られたリソースでより多くのことを成し遂げようするため、アドバイザーは既に多くの仕事を抱えています。マルチタスクが望まれ、多くの求人で複数の責任をこなす能力が言及されるのも当然だと言えます。マルチタスクは有能で効率的な証しとみなされていますが、実は生産性を低下させます。

人間の脳はマルチタスクをするようにできていません。多くの研究がそれを証明しています。ロンドン大学の研究によると認知タスク中にマルチタスクを行った参加者のIQスコアが低下したことが判明しています。フランスの医療研究機関は被験者にMRI検査を実施し、同時に2つの作業をさせました。その結果、一つの事にフォーカスさせる働きをする脳の前頭前野が活動過多となり被験者は詳細を忘れたりミスをすることが分かりました。またカリフォルニア大学アーバイン校の研究者は会社員に心臓モニターを取り付け、メールを遮断しコンピューターでの仕事をさせました。この5日間の実験中、被験者のストレスが軽減され、画面を切り替える頻度も減り、1つのタスクに長く集中できました。つまり作業が中断されないことで生産性が上がることが証明されました。

マレーシア、Penang在住の2年目MDRTメンバーのMichael Ong Chong Gheeは「ファイナンシャル・アドバイザーにとってマルチタスクは致命的です。一つのことに集中することができません。マルチタスクをする人こそ非効率的です」と言います。

シングルタスクは、一つのことを集中して行うことです。そうすることで目の前の仕事に完全に向き合い没頭することができます。人によってはこれを「ゾーンに入る」とか「流れに乗る」と言います。

「ノート・パソコンのZoomでお客さまと話をする間はメッセージや電話、アプリの通知などをオフにします。他のことに気を取られているとクライアントは自分がないがしろにされているように感じるからです。シングルタスクでこそ生産的で効率的になれます」と言います。

時間の割り当てを作る

しかしOngが金融サービスのアドバイザーになったばかりの頃は同時に多くの仕事をこなそうとしていました。

クライアントとのミーティング、提案書の作成、経済問題の解決、夜は保険に関する質問の返信など多くの仕事を同時進行していました。仕事が増えるにつれて効率化を目指しクライアントや同僚と仕事での境界線を設けることにしました。まず月曜から金曜はクライアントとの時間、週末は家族のための時間と決めました。協力的でない人には「あなたにもご家族がいますからご理解いただけると思います。急ぎの案件でなければ月曜日にお返事させてもらえますか」と伝えます。

クライアントはアドバイザーからすぐにレスポンスがあるものと思っているのでわれわれも即答せざるを得ません。Ongは始めから境界線を設けるよう新米アドバイザーに助言しています。連絡がつく時間をあらかじめクライアントや同僚に伝えておけば複数の問い合わせに同時に対処することを避け一つの仕事に集中することができます。

活動に適切な時間を割り当てるために時間割やタスク・スケジュールを作成するのもお勧めです。Ongは毎朝8時半から9時半までの1時間をチーム・ミーティングにあて、その日のモチベーションを高める時間にしています。

「ミーティングは必須です。目標を確認し、達成に向けて活動できます」と言います。

9時半からは電話をかけたりクライアントに対応します。12時半にはクライアントと一緒にランチをすることもあります。未解決の案件について話し合ったり、クライアントの状況を把握し関係を深める時間にします。仕事を完了させる時間を決めることでより意欲的に取り組めます。数分置きに複数の仕事に手を付けるのではなく、一つの仕事を20分で仕上げるようにしています。その後は次の仕事に移ったり、短い休憩を入れたりします。

「時間割があればより規則正しく過ごせますし、スケジュールに従うことで生産性を高めることができます」と言います。

テクノロジーと連携する

Ongは社内の志の高い人に習ってクライアントの書類をデジタル化しました。ロックダウンの前に2年かけて書類をデジタル化し、記録の追跡や検索をしやすくしてありました。「データ入力やニュースレターの送信、お祝いの挨拶などの雑務に多くの時間を費やしていると感じたら、そうした作業を軽減する自動化ツールを検討してみてください。これを取り入れることで重要な仕事に集中する時間が増えます。ひとりで仕事をしている場合はインターンやパートを雇い、事務処理を任せることをお勧めします」とOngは言います。

オフラインにする

メールやZoomの通知、メッセージング・アプリやソーシャル・メディアは仕事の妨げになることがあります。作業を中断されたくない場合は目の前のタスクを完了するまでオフラインにしましょう。また「Do Not Disturb」機能を利用することもできます。

シングルタスクにより仕事と生活に健全なバランスを取れるようになります。一つのタスクに集中することで生産性が向上し、ストレスレベルが下がり、長期的にはより幸せになれることが証明されています。

Tanichka AchanはMDRTのアジア太平洋市場向けコンテンツ開発を支援するコミュニケーション・エージェンシー、チーム・ルイスのライターです。連絡先:mdrteditorial@teamlewis.com

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Michael Ong Chong Ghee mocg85@gmail.com