7月 01 2024 / Round the Table Magazine
他のアドバイザーを仲間に引き入れる
対象のトピックス
お客さまと相談してプランを設計しても、土壇場で会計士や弁護士に妨害されるのはよくあることです。
せっかくのアドバイスが水の泡とならないよう多くのMDRT会員は会計士や弁護士と協力するための戦略的基盤を構築して却下される可能性を軽減しています。
そのためにはお客さまの財務に関する意思決定チームのメンバーを早い段階で参加させることが推奨されます。ビジョンを明確に説明し会計士や弁護士と緊密に協力するアドバイザーは、敵対的になりかねない関係を相互利益の関係に変えることができます。このようなアプローチは誤解を防ぎより確実に成約に至るだけでなく、新たな人間関係や紹介を通してアドバイザーのビジネスを成長させることもできます。
早い段階で招き入れ準備する
カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州Kelownaの7年間MDRT会員のTwyla Dawn Hardham, CFPは、早い段階で弁護士や会計士と信頼関係を築くことが後々予期せぬ決定を避けるカギとなると述べます。
Hardhamは最初の段階から新規顧客の財務チームのメンバーに協力を求めます。「お客さまと面談するときはいつも『私はチームの一員に過ぎませんので先に弁護士と会計士にお会いしてお客さまに提案していることについて説明したいと思います』と言います。彼らは私が知らないことを知っているかもしれないからです」と述べました。
彼女は協力チームの一員として彼らを尊重するよう心掛けています。Hardhamはお客さまと一緒には会わないと決めているので、会計士が情報不足や準備不足だと見られることはありません。会計士と個別に会うことで互いに自由に質問する空間が生まれます。
「そうすると士業の方々から大きな賛同が得られます。以前は反発をたくさん受けていました。最後になってから参加していただいたところ、反対されてしまった経験があります。早いうちに個別に招き入れれば良かったと学びました」と言いました。
質問し、答えを用意する
早めに質問することでアドバイザーは会計士の次の動きを予測し、有利な結果に導くこともできます。
例えば特定のリタイアメント商品に基本的に反対の立場を取っている会計士は、それを頻繁に提案するアドバイザーにとってはやっかいな存在になる可能性があるとウィスコンシン州Spencerの8年間MDRT会員のRebecca J. Gonzalez, CFP, CLUは言います。
Gonzalezは会計士を時々ランチに誘ってリタイア戦略に反対する理由を直接尋ねます。「あなたの観点からすると、それが最善の選択肢でないのはなぜですか?」と聞きます。もしかしたらアドバイザーが気付いていない何かがあるのかもしれません。そうでなくてもアドバイザーはその会計士から学びたいという気持ちを表明しておきます。話の流れでアドバイザーも自身の見解を説明することもありますが、既に相手の助言を求めているので聞く耳を持ってくれる可能性が高くなると言います。
カナダ、サスカチュワン州Saskatoonの15年間MDRT会員のDarren W. Ulmer, CFP, CLUも早期に会計士と会って質問することがアドバイザーの視点へと導く助けになると言います。
「会計士に『お客さまが今直面している最大の問題は何ですか。どんな解決策があると思いますか』と尋ねるのが好きです」とUlmerは話しました。
会計士の回答は大抵クライアントの事業の縮小、将来的に会社から資金を引き出すこと、クライアントが早期に死亡した場合の税金の影響に集中するとUlmerは言います。
「そのシナリオに対する解決策は何だと思うか尋ねると彼らは『まあ、生命保険が良いかもしれない』と答えます。それならこのプランを支持してくれますね、と尋ねることにしています」と述べました。
情報の共有
財務情報を共有する際に明確な連絡手段を確立することも信頼関係構築の土台になります。
ノースカロライナ州Atlantic Beachの28年間MDRT会員のAnthony G. Engrassia, ChFC, LUTCFによれば、情報共有は法律チームをサポートし両者の関係に価値をもたらす機会となります。
Engrassiaはプロセスの早い段階で資産税の書類をお客さまの弁護士に提出することにしています。「彼らが持っている法的な書類について話し合うためにまず必要となるフォームがあるので、それに記入してお渡ししています」と述べました。
情報を提供すると弁護士はひと手間省くことができるので感謝し、お客さまは時間と費用を節約することができます。Engrassiaはお客さまに「今これをやっておけば弁護士にかかるお金と時間を削減できます」と説明します。
この方式は逆方向にも働き、ファイナンシャル・アドバイザーは会計士の業務の恩恵を受けることができます。「お客さまに財務状況などの情報を全て会計士からもらう必要がある場合、会計士が手数料を請求するなら自分に請求してほしいと伝えます。ただし過去7年間で請求が来たことは一度もありません」とUlmerは述べました。
新たなビジネスをもたらす
お客さまの財務チームと強力な信頼関係を築けば紹介を通して新たなビジネスが生まれますが、逆に弁護士が業務を構築するのを助けることもできるので関係はさらに強くなります。資産税対策の弁護士は自分では勧誘できないので紹介に頼っているとマサチューセッツ州Burlingtonの20年間MDRT会員のBenjamin Harding, CFP, ChFCは言います。「そのため仕事を持ってくる私たちとの関係に大きく依存しています」と述べ、ファイナンシャル・アドバイザーには早い時期から橋渡しを行い一緒に取り組むことを勧めます。
資産税専門の弁護士との強い結び付きはファイナンシャル・アドバイザーの業務に正当性を与える効果もあるとGonzalezは述べ、彼女の会社では月に2回弁護士を招待し、お客さまに資産税対策について説明会をしてもらっています。
その弁護士はファイナンシャル・アドバイザーにとって売るのが難しいとされる長期介護保険についてお客さまとの会話で頻繁に紹介してくれます。弁護士はGonzalezが既にお客さまにお勧めしているプランであると指摘し、アドバイスに従うことを提案します。
「紹介というわけではありませんが弁護士がその関係性ゆえ私の提案を折り紙付きのプランにしてくれることは成約に至る十分な助けになっています」と語りました。
Contact
Anthony Engrassia tony@wmsnc.com
Rebecca Gonzalez rebecca@rebeccajgonzalez.com
Twyla Hardham twyla@shfinancialsolutions.com
Benjamin Harding bharding@ft.newyorklife.com
Darren Ulmer darren.ulmer@sunlife.com