Log in to access resources reserved for MDRT members.
  • 学ぶ
  • >
  • 倫理にかなったビジネスを文書化する
倫理にかなったビジネスを文書化する
倫理にかなったビジネスを文書化する

3 01 2024 / Round the Table Magazine

倫理にかなったビジネスを文書化する

メモや提案内容を記録することがアドバイザーとしてのベスト・プラクティス。

対象のトピックス

全ての事柄を適切に行っていても他の人の行為によって時間や収入、評判が損なわれることがあります。クライアントから苦情を受け、MDRT会員登録の際に苦情に関する問いに「はい」をクリックしなければならなくなる可能性は常に存在します。万が一そのような事態に陥ってもクライアントのニーズを第一にすることに加え、取引や会話内容を細かく記録しておくことで申請時のストレスをある程度軽減できるはずです。

次の例を考えてみましょう。アドバイザーであるあなたは退職セミナーを開催し、少し前に商業用賃貸物件を売却した新しいクライアントを獲得しました。お客さまは退職後の生活資金を確保するために、売却により失われた家賃収入をどのように補うべきかアドバイスを求めました。クライアントのリスク選好度を評価するため、調査とプランニングのプロセスを経ていくつかの選択肢を検討した後、あなたは中長期的な収入を見込める投資方針と生命保険への加入を提案しました。

数年後に景気が後退し、提案したプランでは期待する退職後の収入が得られなくなりました。あなたは予定していた定期的な資金の引き出しを減らして資産を保全するようにアドバイスし、お客さまは従いました。

しかし不動産市場の低迷は、お客さまにとって掘り出し物件を買うチャンスでもありました。元々お客さまは退職するのでこれ以上賃貸物件を取得しないつもりでしたが、今になって保険を解約しそのお金で物件を一括購入したいと言い出します。既存の退職プランを解約しなくても商取引ができるように住宅ローンを提案しましたが、お客さまは家賃収入の方が市場リターンよりも予測可能であると考え、保険から完全に手を引くと主張しました。この保険は市場変動と資本の増減を乗り切るために長期的な視野でご加入いただいていたので、お客さまの決定によりかなりの損失を伴いました。

リタイアメント・プランをシンプルにしたいという当初の希望とは裏腹にお客さまは自分の知っていることに固執し、景気低迷によって現金価値が低下しているときにアドバイザーの助言に反して保険を解約する判断をしました。あなたはお客さまに関するこれまでの経緯、当初のプランニングと提案の見直し、保険の全面解約に至るまでのアドバイスと話し合いを一つひとつ記録しました。

全て適切

数年後、お客さまの代理人である損害賠償請求会社から苦情を受け取りました。その件はお客さまも納得済みであったにもかかわらず、勝たなければフィーを受け取らないことがモットーのクレーム専門会社はあなたが築き上げてきた世界を覆そうとしています。

あなたは直ちにこの件を担当保険会社および賠償責任保険会社に報告しました。その後の数ヶ月は、ファイルしたはずの報告書の行方が分からなくなって探し回る羽目になるかもしれません。クレームに対応しながらさまざまな質問に回答しなければならず、生産性が低下するだけでなく今後どうなることかと眠れぬ夜を過ごす可能性もあります。経済的損失の可能性や評判へのダメージも心配です。このクレームは公的な記録に残るだろうか。他の保険会社に申告する必要があるだろうか。加入しているさまざまな協会やメンバーシップへの影響は……。

クレームに対処するだけで時間はいくらあっても足りません。弁護士費用や生産性の低下で金銭的にも厳しくなります。他のお客さまからの評判にも影響するかもしれません。

しかしプランニングや顧客中心のアドバイスをきちんと詳細に記したメモの存在が、あなたを窮地から救うことになります。弁護士とクレーム会社との間で数ヶ月間に及ぶやり取りが続いた後、原告は和解の可能性が低いと判断して訴訟を取り下げました。彼らは気持ちを切り替えて次はそれほど勤勉ではないアドバイザーを困らせるのでしょう。評判を無傷に保ったあなたは、今後も傷つくことがないように全てを記録しようと固く決意します。MDRTへの申請は審査を経てすぐに承認され、過失は認められませんでした。

調査の際に役立つステップは以下の通りです。

  1. アドバイスをするときはどんな場合でも常にお客さまの最善の利益を考える。必要なアプローチを行ったこと、当初の提案はお客さまが明示した長期的な目標と一致しており、他の(利己的な)要因に左右されていないことを証明できるようにしておく。
  2. 話し合いの詳細なメモやメールを残すことを習慣にし、アーカイブに保管する。健全なビジネスを実践するため、面談メモの概要をお客さまに送って間違いないか確認してもらう。全クライアントとの話し合いをアーカイブに5年以上保管する(サービスを中止したクライアントも含めて)。
  3. 苦情やそれに類する事柄が起きたときは、各保険会社や協会に連絡する。正直は最良のポリシー。協力的な態度で問題に注意を向けさせ、さらに裏付けとなる情報を提出することで解決までの時間およびストレスを軽減することができる。

MDRT倫理綱領

MDRT会員は一般の方々と保険・金融サービスの専門家の利益のために、倫理的で高潔な態度で活動することを約束しています。その目標を達成するためにMillion Dollar Round Tableには倫理綱領があります。従ってMDRT会員は、

  1. 常に顧客の最善の利益を会員自身の直接間接の利益より優先させる。
  2. 専門家として知識、スキル、能力の維持向上に努め、最高水準の専門的能力を維持する。
  3. 顧客の事業上および個人的情報の守秘義務を厳守する。
  4. 顧客が十分な情報に基づく意思決定を下すために必要なすべての事実等を完全かつ適切に開示する。
  5. 個人としての行動は保険と金融サービスの専門家、そしてMDRTに対して期待される水準を維持する。
  6. 保険および金融商品の乗り換え・変更はすべて顧客にとって有益でなければならない。
  7. 会員の営業免許を交付する管轄地域の法令と規定すべてを遵守する。