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不確実性を逆手に
不確実性を逆手に

1 02 2024 / Round the Table Magazine

不確実性を逆手に

厳しい時代に優位に立つために

対象のトピックス

不確実であるのは悪いことでしょうか。パンデミック後、戦争や経済的課題が続く時代に、事業の拡大計画を立てるのは大変なことかもしれません。しかしある戦略に沿って不確実性を逆手に取り、競争で優位に立てるとしたらどうでしょう。

不利な状況で成功を収めた企業もあれば、衰退した企業もあります。企業成長戦略家でありリーダーシップの専門家として、私はその理由に興味を持ちました。そこで何世代にもわたる危機を乗り越えたビジネス・リーダーや組織を調査し、一般的にはマイナスと思われる状況をチャンスに変えてきた戦略を研究しました。

人々が不安定な状況を恐れるなか、彼らは市場で足場を固めるチャンスだと信じて前進しました。ネガティブな状況であっても混乱は成長を妨げるものではなく成長を促すものだと信じて行動したらお客さまや地域社会にどのような影響を与えられるでしょう。

ゴールを見据える

不確実性を克服したリーダーや組織の特徴の一つは、常にビジョンを持っていることです。彼らが成功したのは多くの資金があったからでも、最高の商品があったからでもありません。ゴールに集中するようチームを導くリーダーがいたからです。

自分やお客さま、組織、チームが1年後にどう在りたいのかを考え、明確にしてください。妥協のない真摯なビジョンを描きましょう。目の前にどんな障害があろうとも、それを超えたところにチャンスはあります。

マインドはフォーカスしたものを引き寄せるので、ネガティブ思考でいるとさらなるネガティブ要因を目にするようになります。チャンスにフォーカスし、障害を回避する方法を見つけられるよう脳を鍛えましょう。それはチームのためにもなります。お客さまは鍛えられた脳でチャンスを見つけるサポートをしてくれるファイナンシャル・アドバイザーを必要としています。可能性の追求に全身全霊でコミットするアドバイザーになってください。

変化に備える

不確実性を逆手に取り成功したリーダーたちは、変化への準備をしていました。変化は予見すれば最大のチャンスに変えられますが、無視すればそこに埋もれてしまいます。James Beamは米国でアルコールの製造、輸送、販売が禁止されたために、200年以上の歴史を持つ実家のウイスキー蒸留所を閉鎖せざるを得なくなりました。しかしそうなるかなり前から、万が一の時のために準備をしていました。彼は収入源を分散させるためにフロリダにかんきつ類を栽培する土地を買い、さらに炭鉱と石灰石の採石場経営を始めました。それから13年がたち競合他社の多くが破産した後、禁酒法は廃止されました。Beamは投資家と従業員を集め、わずか120日で蒸留所を再建し、競合他社が開業する1年前にはバーボンの販売を始めました。

Beamがしたようにアドバイザーも変化に備え、SCEPTIC(社会 Society、競争 Competition、経済 Economics、政治 Politics、技術 Technology、産業 Industry、顧客 Customersの頭文字)に取り組むことをお勧めします。

数ヶ月に一度、スタッフ・ミーティングから20分、顧客面談から10~15分の時間をとり、業界外の世界で何が起きているかを確認してください。競争はどうなっているか。経済、テクノロジー、業界、競合他社、顧客に何が起きているのか。その変化に備えるために今何をすべきか。変化に反応するのではなく、変化に対応するために今何をすべきか。お客さまとも変化に備える時間をとってください。市場に起きる変化の波に乗っているという感覚を味わっていただきましょう。変化を嫌うのは受け身でじっと待つ人です。このツールを使えば自分で舵を取り、変化をコントロールできるようになります。

その問題を解決する存在として市場での地位を確立すれば、競争で優位に立つファイナンシャル・アドバイザーになれます。

基盤を確立する

1970年代Procter&Gamble(P&G)社は、それまでの市場調査を生かし消費者の苦情のみを受け付けるフリーダイヤルを開設しました。当時米国では女性の労働参加率が上昇しており、多くの人が仕事や家事、プライベートの時間が十分にとれないと不満を訴えていました。その情報を生かし、P&G社は消費者の問題を解決する製品を開発しました。

お客さまから話を聞き、学んでください。不満に耳を傾けてください。その問題を解決する存在として市場での地位を確立すれば競争で優位に立つファイナンシャル・アドバイザーになれます。

ネットワークを構築する

私たちの周りには人生をポジティブに、そして根底から変えてくれる人が必ずいます。そのような人たちと繋がりを持ってください。

Tom Fazioがまだ有名なゴルフコース設計家になる前、高校を卒業した彼は、ありったけのお金を集めてAugusta Nationalで開催されるマスターズ・トーナメントへ行きました。ジャック・ニクラスやアーノルド・パーマーといったゴルフ業界の成功者やゴルフコース設計の賢人と知り合いになり、知恵を借りようと考えたからです。Fazioが設計したゴルフコースの全てに、その時の人脈から学んだ要素が取り入れられています。

繋がりたい人と繋がるにはどこに行けばいいでしょうか。また、お互いに投資しあう関係になるには何をすべきでしょうか。

素早く方向転換して、行動し続ける

最後に、うまくいっていないことがあればすぐに修正してください。アドバイザーは2~3ヶ月に一度、「Seeds 種まき」「Weeds 草むしり」「Needs ニーズ」の3つのカテゴリーの質問をして、自己評価をしてください。

  • 種まきに関する質問: ビジネス構築のため過去3ヶ月間何をしましたか。顧客を引きつけたものは何ですか。商品の価格に関係なく高く評価されたものは何ですか。
  • 草むしりに関する質問: どこで時間を無駄にしましたか。生産性の見込めない顧客やネットワーキング・イベントに時間を費やしましたか。数ヶ月前に解雇すべきだった社員をまだ雇用していますか。
  • ニーズに関する質問: ビジネスを次のレベルに引き上げるために実践すべきことは何ですか。

ビジネスを客観的に振り返り、うまくいっていることとそうでないことを把握し、市場の変化に対応することで、忙殺されることなく生産性を維持することができます。

Meridith Elliott Powellはビジネス開発の専門家であり、2022年MDRT EDGE大会で講演をしました。不確実な状況で成功するための9つの戦略については、彼女の著書「Thrive:Strategies to Turn Uncertainty to Competitive Advantage.(成功をつかむ: 不確実性を逆手に取り競争で優位に立つ戦略)」をお読みください。