7月 01 2024 / Round the Table Magazine
好ましくない顧客に別れを告げる
対象のトピックス
お客さまと手を切るのは特に人間関係や収益の基盤を築こうとしているときは考えづらいものです。利益を生む顧客との関係を終わらせるのは難しいかもしれませんが、時にはそうした方が良い正当な理由があります。
「世の中には新規クライアントはいくらでもいるという教訓を学ばなければなりません」とニューヨーク州White Plainsの12年間MDRT会員で顧客と手を切った経験が複数あるMeredith Gail Langus, FSCP, CLUは言います。「お客さまを手放すことを非常に恐れる人がいますが、イライラして心の健康を害するほどの価値はありません。そのうち別のお客さまが来てくださいます」
クライアントが自分の会計士や弁護士や他のアドバイザーの方が皆さんより詳しいと反論するようなら、おそらく関係に終止符を打つときがきたという警告です。Langusの顧客の中にもリタイアメント勘定の拠出期限など、他のアドバイザーからの誤った情報をうのみにして彼女が間違っていると主張する人がいました。彼女の言うことを裏付ける第三者の情報源を示した後でさえ異議を唱えるケースもありました。
「私を信用できない人とはビジネスができません。お客さまが口論を始めるなら仕事をしたくありません。普通の会話ならいいのですが、正確な情報を伝えているときに信用できないという態度を示す人のために仕事をする意味があるでしょうか」と問い掛けます。
私もスタッフも平和な職場で私たちの仕事を評価し感謝してくれるお客さまと仕事がしたいのです。
—Kasey Massatti
話し合いを拒むことは別の危険信号です。あるクライアントは非常にアグレッシブなポートフォリオにしたいと相談に来ました。Langusはクライアントのリスク許容度を評価し、その方の目標に基づく安定した収入が得られる保守的な戦略を勧めました。お客さまは提案に賛同しましたが、それも金利が上昇して投資の一部が下落するまでの間だけでした。Langusは合意した長期的目標を見失わずにマーケットの浮き沈みを乗り切ることの重要性を思い出させようとしました。
「お客さまは私と電話で話してくれなくなりました。メールでのみ連絡することを希望しました。これはレッドフラッグです」とLangusは言い、その後そのクライアントと手を切ったと付け加えました。
オハイオ州Lancasterの13年間MDRT会員であるKasey Massatti, MBAは女性アドバイザーとの仕事を拒否する数人の男性クライアントと手を切りました。彼らの多くは彼女のビジネス・パートナーで同じくLancasterの22年間MDRT会員Ronald E. Ruff, CPAの長年の顧客でした。いくら彼女が「私はRonと一緒にこのプランを考えました。彼と一緒に作ったプランです」と言っても彼女の話を聞こうとしませんでした。彼らはRuffがセミリタイアしていつでも対応できるわけではないのに、新しい提案があるなら彼が直接自分に説明に来るべきだと主張しました。最終的にRuffは彼らと会ってMassattiが伝えたアドバイスを支持しました。しかし彼女のアドバイスをいちいち疑うクライアントの存在は仕事の時間を無駄にしていたので、彼らを手放すことにしました。「私のアドバイスを評価も受け入れもしない難しいクライアントと仕事をする必要はありません。そのようなクライアントはいりません。私もスタッフも平和な職場で私たちの仕事を評価し感謝してくれるお客さまと仕事がしたいのです。そうでない人には好きにしてくださいと言うのが一番簡単です」と語りました。
カナダ、オンタリオ州Caledoniaの15年間MDRT会員Travis D. Manning, CFP, CLUのあるクライアントはリスク許容度が中程度で、投資信託のポートフォリオが年間7%の収益を上げれば満足だと言っていました。Manningは数年かけてポートフォリオを大きく成長させましたが、ある年そのクライアントは叔父の投資が18%の利益を上げたのに自分は16%しか増えなかったと文句を言いました。また、よりハイリスクのインカムトラスト投資に全集中したいと主張しました。Manningは何度もクライアントのリスク許容度や以前に設定した目標を思い出させようとしました。またカナダ歳入庁が間もなく規則を変えその種の投資に悪影響を及ぼすことになるだろうと警告しました。
「クライアントが私のスタッフに暴言を吐いたときに我慢の限界が来ました。私にだったらある程度きついことを言っても許しますが、スタッフへの暴言は許せません」と言います。Manningと同僚のアドバイザーはクライアントの態度が受け入れがたいため、そのクライアントのアドバイザーとして働くのをやめることを告げました。その3カ月後、政府は規則を改定したので元クライアントが言葉通り投資信託を全額インカムトラストに移していたとしたら、その方の保有資産はおそらく20%下落したでしょう。
「彼と縁を切ってほっとしました。ストレスの大きな原因になっていましたし、スタッフは200万ドルを預けている男より自分たちの方が重要な存在だということに気付くことができました。私は自分のために働いている人間に敬意を払わず親切にできない人をお客さまにしたいとは思いません」と述べました。
お客さまを一生苦しめる本当に悪いアイディアだったら遠慮なく言います。
—Travis Manning
彼は他にも70代半ばのお客さまのエピソードを話してくれました。彼女はFaceTimeで知った無認可のオンライン証券会社からビットコインを購入するため、リタイアメント勘定から最終的に4万ドルを引き出しました。Manningは暗号通貨が彼女のリスク許容範囲から大きく外れていること、口座から引き出したお金には税金がかかること、ビットコインが非現実的なリターンを生み出したとしても口座と税金のペナルティーを返済するだけの金額にしかならないことを訴えました。何度か話し合ったにもかかわらず彼女はビットコインを買うために口座の3分の1を引き出してしまいました。お客さまは老後のための貯蓄に重大な損害を与えManningが残りの資金をどれだけうまく管理しても回復の見込みがないため、彼女と手を切ることにしました。
「このような経験を新しいクライアントと面談するときに利用しています。計画を立てたのに守らなかったり間違った手法を取ったりするとどんなことが起きるかという怖い話をたくさんします。そして『何か良いものを見つけたらお客さまに話します。悪いものを見つけても話します。非常に単純なことで、決定するのはお客さまです。金融資産を現金化するなとは決して言いませんが、お客さまを一生苦しめる本当に悪いアイディアだったら遠慮なく言います』と伝えています」と語りました。
Contact
Meredith Langus meredith.langus@premiercapmg.com
Travis Manning travis2@evers-financial.com
Kasey Massatti kasey@ronaldruffcpa.com