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水への渇望
水への渇望

1 02 2024 / Round the Table Magazine

水への渇望

Dattaは子どもたちと地域社会にきれいな水を提供する団体を支援しています。

対象のトピックス

ウガンダの小さな村に住む少女たちは、1日の大半をかけて約16km離れた最寄りの水源まで毎日水をくみに徒歩で往復する生活をしているため、学校に行くことができませんでした。

Abhishek Dattaはきれいな飲み水が手に入らないことが教育に与える影響を考えたことがありませんでした。この窮状を聞いたアラブ首長国連邦ドバイの6年間MDRT会員のDattaは、なぜこのような状態がまだ放っておかれているのかと夜も眠れないほど思い悩みました。

「清潔な飲料水、電気、質の高い教育など、私たちが当たり前に享受しているものは非常に多いと気付きました。私たち夫婦に子どもはいませんが、無力な子どもを見ると父親のような感情が湧き起こって力になりたいと思うのです。水がないことで子どもたちにこれほど大きな悪影響があることを知り、この問題がわずかな努力と資金で解決できることを学び、自分もその活動に加わりたいと思いました」

Dattaは、2008年以来12カ国で100万人以上の人々に安全な水、トイレ、生理用品を提供するSurge for Waterに関わることにしました。今年、Surge for WaterはMDRT Foundationから1万ドルのグローバル・グラントを受け取りました。2020年末のソーシャル・イベントで共通の友人を通じてSurge for Waterの創設者兼エグゼクティブ・ディレクターのShilpa AlvaとUAE担当エグゼクティブ・ディレクターのMarita Petersに出会い、Dattaは活動範囲を広げられると知りました。

「ファイナンシャル・アドバイザーとして一生の間に1000人から2000人の方々の人生に影響を与えることができれば素晴らしい成果です。しかしSurgeの一員となったことで、この数年間に1万人から2万人もの人々を助けることができました。仕事では達成し得ない数字です。本当にやりがいがあります」と語りました。

当事者として取り組む

彼はSurgeの戦略アドバイザーの役割を担い、団体の認知度を高め助成金を申請する活動を行っています。2021年に贈られたMDRT Foundationグラントはハイチ、フィリピン、ウガンダの井戸、学校のトイレ、水処理システムなどの補修に使われ、5000人以上の人々がその恩恵を受けています。2023年のグラントはウガンダ、ハイチ、インドネシアの人々を支援するために井戸や雨水タンクの修理、トイレの建設、衛生観念と生理に関する教育に使われます。

Dattaはウガンダの小学校教師から受け取った手書きのメモを覚えています。それは井戸ができたおかげで、子どもたちも教職員も貯水槽の泥まじりの濁った水を飲まないで済むようになったと彼とMDRT Foundationに感謝するメッセージでした。

「子どもたちが濁った水を飲むのを見たら、私は悲しくなって涙が浮かぶでしょう。最悪の敵にすら、そんな仕打ちは誰も望んでいません」

現地に到着して単独で活動して撤収するのではなく、Surgeは地元のコミュニティも巻き込み、地元の技術者を雇い、資金を投じ、ボランティアを迎えることで支援を受ける人々の当事者意識を高めています。インドネシアでSurgeが工事を実施した現場が翌日に暴風雨で被害を受けたときは、地域住民が関わっていた経緯を知った地元の施工業者が無償で修理をしてくれました。

安価な解決策

地域社会といえば、DattaがクライアントにSurgeへの情熱を伝えることも支援になっています。Surgeによれば世界の20億人が安全な水を利用できず、36億人が十分な下水設備がないなかで暮らし、23億人がトイレのない生活を送っています。それほど多くの人々の問題なのに、解決にあまりお金がかからないことにも驚かれます。

「ある村の1000人がきれいな水を飲めるようにするためには、3000ドルの寄付があれば足りますと私が言うと、皆さんびっくりされます」

とはいえ、Dattaはこの情報をソーシャル・メディアではなく一対一の会話でのみ、また新規顧客ではなく既存顧客に伝えるようにしています。小切手を渡す相手のファイナンシャル・アドバイザーから、さらに別口でお金を寄付するよう頼まれれば反発する方もいると思うからです。自分の携わる活動が誤解されないように気を付けています。

それでも支援は十分ではなく、もっと増やそうと計画しています。Surgeがインド(Dattaはムンバイ出身)に支援を届ける道を模索しており、Surgeのウガンダでの活動も実際に見てみたいと考えています。

関わっているのは彼だけではありません。同じ金融サービス業界で働く妻のVikramjeetもSurgeでの夫の活動をきっかけに、将来は非営利団体で働こうと考えています。

「私がSurgeに関わるまで、妻はそんな風に考えたことが全くなかったそうです。家族の一員が慈善活動に時間を割く気になったら、それもまた影響を与えたことになります。もしも心を揺さぶられる問題に出会ったら、皆さんも全力で取り組んでください」と述べました。

「問題の規模に比べれば私たちがしてきた活動は微々たるものです。Surgeのような団体の認知度を高めれば高めるほど、長期的にこうした問題の解決に大きく貢献することになります」とDattaは語りました。

CONTACT

Abhishek Datta abhishek.datta@cfsgroup.com