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農家をマーケットにしたいのならしっかり理解していた方がいい、と13年間MDRT会員のRobert Mearle Martin, CLUは言います。
「農家の方々は変わり者です。靴に牛ふんをつけて訪問しろとは言いませんが、農家の生活や本質を理解しようとしなければ、親切そうに笑顔を見せても実際にビジネスに応じることはありません」 Martinは農家の出身で、前述の質問にも難なく答えられるだけでなく、彼のビジネスの半数以上は農家とその関連企業で成り立っています。人口が7,000人未満で高校のマスコットはGrape Pickers(ブドウを摘む人)という田舎を、小規模なコミュニティだからといって軽く見てはいけません。かつて米国のクイズ番組「Jeopardy!」で、「米国で人口あたりの億万長者が最も多い地域はどこか?」という問題に誰も正解を知らなかった地域こそ、Martinが32年間拠点としている米国ペンシルベニア州North Eastです。
この地域には、ワイナリーやWelch社のぶどうジュース、ジャムやゼリーに使用されるブドウを栽培するため何千エーカーもの畑が広がっています。ここで成功するためには、適切な経歴を持っているだけでは足りません。Martinがこのニッチ市場で成功するためには大切な要素がありました。
見過ごされがちなコミュニティへのアプローチ
Martinはキャリアの最初の11年間は、中間管理職や代理店の立ち上げ支援に携わっていました。しかし自身が育ったような農村地域に直接関わりたいという思いから、二世代、三世代と続く農家が多く存在する市場に着目しました。40年近く開業している代理店から支社を引き継ぐと、すぐに地元の人材を雇用しコミュニティに親しまれる存在となりました。生命保険や損害保険に加え、ファイナンシャル・プランニングにもサービスを広げると、「自分には関係ないと思っていたが、ぜひ相談したい」と地元住民から問い合わせが殺到しました。Martinは22年来の彼の右腕である生命保険専門家と、21年の経験を持つ損害保険専門家と共に、2つのオフィスで4,000世帯を担当し、ファイナンシャル・プランニングと投資を管理しています。
人間関係の構築
「まず訪問して話し合い、適切な時期が来て進むべき方向が見えてきたら行動に移す、というのが私のスタイルです。じっくりと時間をかけてビジネスの進捗状況を話し合い、お客さまが客観的な視点や意見を求めるのであれば、お役に立てると思います」とMartinは言います。
ある実例を紹介します。昨年秋、ある女性が亡くなって間もない夫が残したメモを持ってやって来ました。そこには「もし私が先に死んだら、全ての資産をBob Martinに任せてほしい。彼こそ信用できる人だ」と書いてありました。この夫婦とは10年前アパートを売却した際に知り合い、男性のリフォーム会社にオフィスのキッチンの改装を依頼したことがありました。彼から住宅保険と自動車保険をお預かりしていましたが、残された女性と3人の息子のために190万ドルもの資産の管理を任されることになるとは全く予想していませんでした。
「農家の方が『100万ドルあるのでどうにかしてくれませんか』と事務所に駆け込んでくることはありません。ある男性が顧客になったのは、私が32年前に彼の中古車販売店でトラックを買ったのがきっかけでした。自分に資産がどれだけあるとか、お金の話はほとんどしません。話すのはお金で何ができるかということだけです」と言います。
課題の見極め
数百万ドルに相当する広大なブドウ畑を次世代に継承することは、決して容易ではありません。Martinは信頼する公認会計士や弁護士と連携し、顧客のために遺言や信託を含む税務・法律上の支援を提供しています。また主要顧客や地域の中小企業数百社に対し、キーパーソン保険や事業継続計画を使い、短期的・長期的な保護策も提案しています。例えば製造会社を買収した元羊農家などです。生命保険顧客にも税務サポートや事業継承のお手伝いをしています。多くの農家や一部の企業は資産はあっても現金が乏しいため、相続税対策として生命保険が必要となる場合があります(地元のはしご製造会社では、相続税を支払えずに息子たちが会社を売却せざるを得なかった事例があります)。2025年末に米国の相続税見直しが予定されていることもあり、ますます重要な課題となっています。
競争相手は敵ではない
何年も前、別の代理店主のRalphが2つの事務所を買収し統合したことがありました。しかし彼の事務所は大規模なキャンピングカー販売店の裏手にあり、看板が見えにくく非常に分かりにくい場所にありました。そのため、来訪者は近くにあるMartinの事務所に立ち寄り、Ralphの事務所の場所を尋ねることが頻繁にありました。Ralphはメーカー向け保険商品で競合相手でした。もっと良いロケーションに移転する資金がなかったRalphに対し、Martinは彼の事務所の向かいにある家を改装して、新たに事務所を設立できるよう融資のサポートをしました。そのおかげでRalphは事業を売却できるまでに順調に成功できました。現在は、ミシンの販売と修理業を営むRalphの義理の両親がMartinの隣人で、年金や生命保険のお手伝いをしています。Ralphの家族は今でも過去の恩を忘れておらず、何度も感謝を口にします。「他のアドバイザーに勝とうとしたり、攻撃的になったりしても意味がありません。田舎の農村ではそうした態度は通用しません。
大切なのは人間関係です」と述べました。
Contact
Robert Martin bob.martin.gja2@statefarm.com