MDRTで学んだ利他精神で保険業界をより良く ~SNSやラジオで積極的に情報発信~
野田巨樹会員(愛知県)は、トップ・オブ・ザ・テーブル連続5回を誇るファイナンシャル・アドバイザーです。SNSやラジオで積極的に情報発信しているのは、保険業界をより良くするためです。「MDRTがなかったら、今の自分はいなかった」という野田会員に、利他精神とそれが生み出す「利他の循環」についてお聞きしました。
1週間は「168時間」
2021年から5年連続でトップ・オブ・ザ・テーブルとして活躍する野田会員の一日は緻密に定めたスケジュール確認から始まります。時間に対する意識が異常なほど高い野田会員は、1週間を「168時間」と呼び、ダッシュボードを分刻みで管理しています。その原点には、49歳で倒れた父の姿があります。経営者だった父が、脳出血で突然仕事ができなくなり、やがて還らぬ人となってしまいました。「もし自分の人生が49歳で終わるとしたら?」——野田会員は人生を逆算して生きるようになりました。1週間を「168時間」と捉え、一刻も無駄にしないようにスケジュール管理を徹底しているのです。また、黄色いリーガルパッドに、こうありたい自分の姿を書きこみ自己宣言するアファーメーションも大切な日課で、長年にわたって続けてきました。MDRTの会合で学んだ目標達成を後押しするための強力なツールとして、自分自身のありたい姿を脳内にイメージし、それを実現していくのが野田会員のスタイルなのです。
仕事が7割、でも3割の自分の時間も大切
「運動会が嫌いだったんですよ、子どもの頃は」そう笑う野田会員は、今では週末になると10キロ、20キロを軽やかに走り抜けます。かつては太っていたという野田会員は、その劣等感を燃料に、大人になってから自転車競技にのめり込みました。子どもが生まれたのを機に安全性を考えて自転車競技はやめ、現在は趣味として週末のジョギングに汗を流しています。「考えごとができる時間が好きです。オーディオブックを聴いたり、自分と対話したり」。週末には「反省しか残らない」と語る野田会員は、汗を流しながら自分自身と対話し、次の週への改善策を考えています。子どもが成長するにつれ、最近では仕事から離れる時間も大切にするようになりました。仮面ライダーの人形を片手に遊ぶ子どもの傍らで、わさび味のポテトチップを頬張りながら笑う野田会員。時間に対する意識が異常に高く、忙しく自分を追い込んでいても、この時間だけは何ものにも代えがたいと語ります。仕事が7割となっていますが、残り3割のプライベートも野田会員にとっては貴重な時間です。
「経営者だって、人なんだ」でトップ・オブ・ザ・テーブル
2021年、野田会員はトップ・オブ・ザ・テーブルを初めて達成しました。ひとつの頂にたどり着いたその年、野田会員の歩みには確かな転機がありました。遡ること2018年、野田会員は子どもが小学校に上がる時期にあわせて、家庭を守る責任を大切にするため、それまでの個人中心から法人マーケットの開拓を進めるようになりました。もともと車のディーラーマンだった野田会員に、経営の知識はありませんでした。決算書も、税務も、保険の法人提案も、手探りの状態でした。それでも、「人の役に立つ情報を届けたい」という直感を信じ、税理士と共にふるさと納税セミナーを開催し、集客も上々でした。こうした機会を通じて、野田会員は多くの経営者と会い、話すなかで、「経営者だって、人なんだ」と気がつきました。このシンプルな気づきが、野田会員の視点を大きく変えたといいます。法人の決算書から始めるのではなく、経営者本人の“生き方”に焦点を当てる。目の前にいるのは社長ではなく、家庭を持ち、老いに向かい、夢や不安を抱える一人の人間だ。住宅ローン、子どもの教育資金、老後資金。個人のライフプランニングと同じ問いを、経営者にも投げかけてみました。すると、少しずつ経営者も応えてくれるようになりました。「私はこう生きたい」「会社をこう残したい」――そうした言葉の積み重ねが、保険の形を決めていった。ある社長との面談。契約内容は従業員の退職金制度を保険で整備するというものでした。「私は婿養子でこの会社に入った。礎は先代が築いてくれた。私の役目は、それを従業員に還元することです」と、社長は静かに語ってくれました。その姿勢に、野田会員は胸を強く打たれました。「利他のために稼ぐ」――その言葉こそなかったものの、確かにそう生きている人の言葉でした。
MDRTで学んだ利他精神で保険業界をより良く
「最初は正直、肩書きがほしかったんです。MDRTというメダルがほしくて。でもMDRTと関わるうちに、シェアの文化の意味が分かってきたんです」と野田会員は語ります。その転機を与えてくれたのが、MDRTの伝説的存在、トニー・ゴードンの講演でした。 “私は先人の肩の上に乗ることができた。だから今、次の世代に肩を貸している”という言葉を聞いて、自分の経験もどんどんシェアしていこうと思うようになりました。「利他のために稼ぐ」というあの社長の思いとも通じるものがありました。「学んだら、次は教える。その姿勢が、何より自分を成長させてくれるんだって気づいたんです」。野田会員はSNSを利用して積極的な情報発信を続けています。自分がパーソナリティを務めるラジオ番組は、保険業界で働く人たち、ファイナンシャル・アドバイザーが誇りをもって働くことを応援しています。こうした発信を「見てます」「救われました」と言われるうちに、自分の言葉が誰かのきっかけになっていると実感するようになりました。今では、野田会員は「利他の循環」を意識するようになったといいます。セミナーで集まった見込みのお客さま企業リストの中から、自分では対応しきれない企業があれば、仲間にシェアをしています。従業員向け保険の相談が来れば、自らではなく、信頼できる仲間に託しています。すると、不思議なことに、まわりもまた自分を助けてくれるようになっているといいます。「野田さん、いつも教えてくれるから」と。ギブ・アンド・テイクの関係ではない。惜しみなく与えることが、ゆるやかな恩送りの輪を広げています。「MDRTがなかったら、今の自分はいなかった」という野田会員は、今、過去を越え、未来を支えています。挑戦は、まだまだ終わっていません。
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