ある日、男性が白内障で目が見えない母親を支えて歩いてきました。二人はインドの農村地帯にあるビジョンセンターに行くために何日も困難な道のりを歩いてきたのです。男性は母親を気遣い、座らせて食事をさせます。センターで15分間の白内障手術を受けた翌朝、目がみえるようになった母親は息子と並んで歩いて家路につきました。
非営利の眼科医療組織SevaのCEO兼エグゼクティブ・ディレクターのKate Moynihanは、2017年の採用面接の時に聞いたこの話が忘れられません。
「息子の重荷にならずにすむようになった母親が誇らしげに息子と肩を並べて歩いたという話が強く印象に残っています」とMoynihanは言い、目の不自由な家族の世話をする介護者は学校や仕事に行けずに未婚の人が大勢いると語りました。
明瞭なビジョン
Sevaとはサンスクリット語で無私の奉仕を意味します。2025年MDRTアニュアル・ミーティングでMDRT Foundationのチャリティー・パートナーとなるこの組織は、1978年以来22カ国で6,400万人以上の人々に手術やメガネ、医薬品などの眼科医療を提供してきました。ネパール、グアテマラ、カンボジア、米国などで地域に根ざした持続可能なアプローチで治療を行い、視覚障害者が医療を受けにくい地域で力を発揮しています。
ビジョンセンターでは現地語を話し、トレーニングを積んだ医療提供者によるサービスを利用できます。診療費は収入に応じて決まるスライド方式で、支払いが難しい患者は補助が受けられます。ビジョンセンターを広く知ってもらうため、患者からの紹介に加えSevaは地域のグループと協力して活動し、患者の80%には直接治療を行い、残りの20%は提携病院で治療を受けられる体制を整えています。
各センターは開設から3年以内に財政的に自立できるようになり、白内障手術は1回につきわずか50ドル、子どもの視力検査には6ドルしかかかりません。
これは予防・治療可能な視覚障害がある世界の10億人以上の人々にとって非常に大きな恩恵です。Sevaによれば、大学やその他の専門家による研究結果で、国家として眼科医療への投資を1ドル増やすごとに、生産性が36ドル増加することが分かっています。1980年代初頭にネパールで行われた調査では、失明が貧困の主な原因であることが明らかになりました。さらに最近の調査で、グアテマラではコーヒーの輸出で得る収入よりも国民が失明することによる損失が大きいことが示されました。Sevaは今後8~10年以内に、中央アメリカの経済の足かせとなっている失明をなくす目標に向かって前進しています。
「私たちは最も画期的な研究を支援し、視力を回復する価値をさまざまな手法で証明してきました。国民の失明に対処しない国は、何億ドルもの損失を被るのです」とMoynihanは語ります。
参加しませんか?
MDRTアニュアル・ミーティングの参加者は心を動かす実話としっかりしたデータを織り交ぜたSevaの講演で、自身の貢献がどんなインパクトを与えるのかを知ることになります。実際に起きた変化や説得力ある事実、体験談をじかに聞いて、メガネや15分の手術といったシンプルな支援を受けた方々の人生が永続的に変わるのを目の当たりにします。またブースでは会員が意義ある形でSevaのミッションに直接関われるインタラクティブな活動も用意しています。さらにマッチング・キャンペーンに参加し、重要な眼科治療支援の効果を倍増させることができます。子どもたちの視力を回復させ、永続的な変化をもたらし、明るい未来を切り開けるのです。
別の方法で参加することもできます。SevaにEメールを送って、どのような形で参加したいかをお知らせください。21歳未満の方はSevaのユース・アンバサダー・プログラムに参加できます。21歳以上の方は通常言葉の壁があるため、現地でのボランティア活動は行いませんが、現地語を話せる方であれば直接参加することも可能です。またSevaの「現地視察ツアー」では、個人や組織の寄付者が自分たちの支援で実現したことを実際に見られます。
Sevaの初期にはアップル創業者の故スティーブ・ジョブズも資金援助をしました(Sevaの最大の健康調査のひとつは初代アップル・コンピュータを使っていました)。結婚や誕生日、バル・ミツバー(訳注:ユダヤ教の成人式)のお祝いやチャリティーの機会に、Sevaに寄付をする人は誰でもスティーブ・ジョブズの後に続くことになります。これまでにアーティストのGrateful DeadやBonnie Raitt、Jackson Browne、Joan Baez、Jason Mraz、Seth MacFarlaneなどがSevaのためにパフォーマンスを行いました。
とはいえ、セレブにフォーカスしているのではありません。個人、家族、地域社会へのインパクトこそが重要です。Sevaのチーフ・フィランソロピー・オフィサーのJulie Nestingenは2015年にネパールの人里離れた村にSevaのビジョンセンターを開設した時のことを思い出します。Nestingenはある女性に「お父さまが白内障の手術を受けることは、あなたにとってもうれしいことでしょうね」と尋ねました。
「とてもうれしいです」と答えたその女性は、父親が自立して生活できるようになって自分の人生を取り戻せたと言いました。家族への波及効果があったのです。「あの方々の笑顔をお見せしたいです。今でも感動がよみがえります」と語りました。
QRコードをスキャンしてMDRT Foundationのグローバル・グラント・プログラムで資金援助をしたいチャリティー団体を推薦してください。申請期限は毎年9月1日です。