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2 23 2022

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倫理を再徹底

私たちの倫理的慣行へのコミットメントは、新しい環境に適応して行かなければなりません。

対象のトピックス

この2年間でMDRT会員の活動方法は世界中で大きく変化しました。オフィスビルの閉鎖、ソーシャル・ディスタンス、個人の安全に対する懸念の中でもサービスを提供し続けるために、私たちはクライアントとの関わり方、スタッフ同士の関わり方さえも変えてきました。現在、ほとんどの仕事がバーチャル空間で行われており、クライアントの期待も周囲の環境に適応しています。

周囲の変化が少し緩やかになった今こそ、私たちの活動方法を見つめ直し、これまでと変わらずクライアントのために責任を持って倫理的に行動していることを確認するときです。当委員会では、今日の世界で倫理的慣行を促進するために何が必要かを議論しました。

クライアントとのオンライン面談が倫理に与える影響

2020年初めに世界中で外出禁止令が出される中、Zoomをはじめとするオンライン会議プラットフォームは、クライアントへの連絡手段やビジネスを継続するためのライフラインとなりました。それから2年が経過し、そのテクノロジーは私たちの日常業務の多くの分野に浸透しています。少なくとも定期的に各地で感染者が急増している限り、一部のアドバイザーやクライアントにとってオンライン会議は、引き続き必要な安全対策といえます。他のアドバイザーにとってはクライアントがオンライン・プラットフォームを受け入れることで、より効率的な面談が可能になります。そのため、クライアントの保障内容見直しプロセスの一部あるいはすべてをバーチャルで行うことを希望する方も多くなりました。

新しい環境が進化し続ける中、オンライン会議に伴うリスクを考慮することが重要です。機密情報を送信するために必要な措置を講じていますか。クライアントとサイバー・セキュリティを見直し、対処するべきときです。デジタル申込書を使用する場合、情報はどのように保護されているでしょうか?クライアントに特権情報や機密情報が不用意に開示されてしまった場合、どのような影響が考えられますか?これらの情報をもとに、お客さま一人ひとりの状況を考え、懸念事項や選好について話し合ってください。

クライアントの機密性をどう保護するか

私たちはお客さまの個人情報や財務情報を保護するために、新しいテクノロジーを慎重に使用する責任があります。例えば会社のメール暗号化システムなど公式のプラットフォームでコミュニケーションを取ることで、このような機密データの漏えいを回避することができます。機密情報の保管についても慎重に検討する必要があります。クライアントに関する書類は必要なものだけを保管するようにします。Zoomなどのプラットフォームでクライアントとオンライン会議を行う際、クライアントがどの情報を見ることができるかを十分に認識しておく必要があります。画面やタブを切り替えると、ファイルの名前など開いている情報が見えてしまう可能性があります。これを避けるには、オンライン会議中は他のファイルやフォルダのブラウザーはすべて閉じておき、誤って公開されないようにします。追加の予防措置として、クライアント・フォルダにはフルネームではなくイニシャルにするなど、より目立たないフォルダ名を使用することも検討してください。

スタッフとオンラインで仕事をする際、倫理面をどう確保するか

バーチャル環境におけるクライアントの機密性とセキュリティの問題について、スタッフチームは私たちの指示を待っています。変化する業務ガイドラインを更新し、オンラインでクライアントとやり取りをする際の追加の考慮事項について、スタッフの認識を徹底させてください。この機会に業務フローを更新し、オンラインでのやり取り、追加の注意事項を盛り込むことをお勧めします。

ソーシャル・メディアでプロフェッショナリズムを維持する

日々のビジネス活動がますますオンラインで行われるようになった今、投稿した内容が意図した閲覧者以外の人と共有されないよう細心の注意を払わなければいけません。また、サイバー空間に存在する可能性のある機密文書を削除するための予防措置を講じる必要があります。世界中の多くのアドバイザーは、Facebook、LinkedIn、WhatsAppなどのソーシャル・メディア・ネットワークである程度の存在感を示しています。私たちはソーシャル・メディア活動に関する厳しい規制の対象であり、私たちの投稿内容はアドバイスではなく、一般的な情報であるという免責事項を記載しなければいけません。あらゆる制限事項を認識し、オンライン上で規制に準拠した方法で活動することも私たちの責任です。

クライアントのニーズを満たすには

2020年の初め、個人の健康や安全が脅かされていると感じたことで、生命保険と資産税対策を求める見込客が増加しました。一般消費者はこれまでにないレベルの商品やサービスを求めていました。このような状況に陥ったときはアドバイス手順に従うことが不可欠です。

まず、見込客から私たちに相談に来た場合でも、こちらからアプローチするときと同じ手順を踏む必要があります。見込客とその方のビジネスを調査し、彼らに関する記事や投稿があれば参考にします。こうすることで初回面談の準備が整います。

私たちのファクト・ファインディング・プロセスに対する高い基準は、見込客からコンタクトを取ってきた場合も変えるべきではありません。見込客のニーズを十分に理解するために、ご本人とご家族、ビジネスについて質問するよう努めるべきです。先方から興味を示してくださったことに興味を持つべきです。質問してじっくりと耳を傾ければ、すぐに有意義な会話は生まれます。どんな相手にも一貫した水準の時間と一貫した面談の質を確保してください。ファクト・ファインドからアドバイスの提案、成約までの各ステップに集中することで、相手のニーズを満たしているという自信を得ることができます。

見込客を断るべきときとは

見込客の要求を不快に感じた場合、立ち止まってその状況の倫理について考えてください。自分の直感を無視せず、時間をかけてその要求について調査し、要求を受け入れることが関連法令や規定に反するかを慎重に判断してください。

見込客の要求の例として、リベート(アドバイザーがクライアントに手数料の一部を払い戻すこと)が挙げられます。このような要求は、見込客が取引の交渉に慣れている文化圏の方である場合は一般的です。しかし、多くの地域では違法行為であり、募集人免許を失うという危険にさらす可能性があります。リベートの要求に直面した場合、私たち倫理的なアドバイザーが提供するサービスは、リベートを約束するアドバイザーの提案より価値があると説明することができます。こういった状況をうまく切り抜けるために、取引開始時にクライアントにお渡しするエンゲージメント・レターに支払い方法と提供するサービスを前もって記述しておくことができます。

それでも見込客の要求が続く場合には、その方との取引は断り、他の見込客を探すのが最善です。

MDRTの倫理綱領を遵守することで、最良のアドバイスを提供することを約束します。本誌とオンライン(mdrt.org)のサクセス・ストーリーで紹介されている仲間のMDRT会員による模範を参考にし、成功に至る倫理的慣行を維持しましょう。

MDRT倫理綱領

MDRTの倫理綱領を尊び遵守することは、最高水準の会員基準を促進するものであることをMDRT会員は常に自覚しなければならない。倫理綱領は社会全般および保険と金融サービスの専門家に有益である。従って、会員は:

  1. 常に顧客の最善の利益を会員自身の直接間接の利益より優先させる。
  2. 専門家として知識、スキル、能力の維持向上に努め、最高水準の専門的能力を維持する。
  3. 顧客の事業上および個人的情報を他に漏らす事なく、秘密を厳守する。
  4. 顧客が十分な情報に基づく意思決定を下すために必要なすべての事実等を完全かつ適切に開示する。
  5. 個人としての行動は保険と金融サービスの専門家、そしてMDRTに対して期待される水準を維持する。
  6. 保険および金融商品の乗り換え・変更はすべて顧客にとって有益でなければならない。
  7. 会員の営業免許を交付する管轄地域の法令と規定すべてを遵守する。