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ニッチを見つけて独占する
ニッチを見つけて独占する

11 01 2022 / Round the Table Magazine

ニッチを見つけて独占する

Dela Cruzはサービスの行き届いていない外国人居住者に着目し、支援する機会を得ました。

対象のトピックス

シンガポールで4年間MDRTメンバーのMaria Edlyn Bagui Dela Cruz, MSF, BScは、2006年に初めて金融サービスの仕事に就き、銀行でシンガポール人の家庭にサービスを提供していました。しかし2010年になるとシンガポールの労働人口構成が変わり、現地人以外の労働力が増えてきました。

彼女自身もフィリピンからの移住者であり、自らの経験や日ごろの観察から、労働力としてより多くの外国人を受け入れていることを認識していました。このグループは保険や金融サービスにおいて未開拓の成長市場です。そこでDela Cruzは2015年に代理店で仕事を始めたとき、シンガポールで成長するこのニッチな外国人マーケットにサービスを提供するビジネスに特化しました。

「早速外国人にサポートとサービスを提供する機会があり、この市場におけるユニークで多面的なファイナンシャル・アドバイスの需要をさらに追及しました。そして個人のニーズに応えるだけでなく、シンガポールで永住権や国籍取得権を得た経営者が経営する中小企業もサポートするようサービスを拡大しました」と言います。

ニッチ市場をターゲットにした事業を成功させるコツは、サービスを提供する市場について専門知識を身につけることです。Dela Cruzは研究や現場からの知識を生かし、外国人市場について学び、優れた商品やサービスを提供するようにしました。

「ニッチ市場のニーズを把握したら、その市場を開拓するのに必要なハードスキル、ソフトスキルを身につけてください」

事実を知る

特定の層をターゲットとするアドバイザーは職業に特化した技術的な知識だけでなく、その市場にとって重要な情報に精通している必要があります。例えば海外駐在員の場合、見込客の母国の社会保障制度、銀行や保険の規制、代替投資などの知識を持つことです。

このような実情調査をすることでアドバイザーは新しいソリューションでどのようにクライアントの既存のポートフォリオを補えるかが分かるようになります。例えばシンガポールでは国民と永住権保持者の社会保障制度が、事業主と労働者からの拠出金でまかなわれますが、他の国々にはそのような制度がないこともあります。そのため海外駐在員のクライアントの中には、老後の生活資金を個人プランでまかなう人もいます。

またDela Cruzはシンガポールの労働省が発行するガイドラインにも精通しているため、ワークパスの資格や申請、雇用の権利、職場の安全衛生、労働市場情報などについて、クライアントにアドバイスができます。

機転と文化を学ぶ

ニッチ市場に参入するにはソフトスキルが大きなウェイトを占めます。

「ターゲット市場に適したコミュニケーション・スタイルと対人スキルを身につけることが重要です」と言います。

アドバイザーの機転が必要なトピックとして、アジア諸国における大家族の文化があります。成人した子どもは高齢の親に親孝行するため資金面で葛藤することがあります。アドバイザーは長期計画の資金配分を配慮し、大切な親を継続してサポートするというプレッシャーとの間でバランスを取る必要があります。

ターゲット市場に適したコミュニケーション・スタイルと対人スキルを培うことが重要です。

彼女の経験によると、文化によっては社会的な規範があり、特定の特徴やアプローチを要求されることがあります。個人情報や財務情報についての通常の質問に加え、家族の絆、オフショア事業の有無、不動産ポートフォリオなど、プランニングのための情報をできるだけ多く引き出すために、アドバイザーは会話にうまく質問をおりこむ必要があります。

「シンガポールで投資しようとする外国人の場合、通常のファクト・ファインドの一環として情報を要求することは問題ありません。しかし、クライアントのキャッシュ・フローや純資産を包括的に把握できるかはお客さまとの関係次第です。そのためには通常のデータ収集ではなく、アイスブレーキング・セッションやラポール(信頼関係)の構築が必要となります。そうでなければ、実際のキャパシティーが20万ドルのお客さまに対して、年間2万ドルの保険料に相当するプランを提案することになります」とDela Cruzは言います。

お客さまのニーズを把握する

ニッチ市場特有の事情に合わせたファクト・ファインドが欠かせません。ある永住権保持者が彼女にポートフォリオの見直しを依頼しましたがパンデミックの影響を大きく受けていました。そのお客さまはシンガポールにある資産と母国の資産とを区別して管理したいとの意向でした。ポートフォリオを国別に分けて整理するほうがシンプルに管理できると考えたからです。

しかし、母国の不動産に4つのローンがあり、その返済のために当てにしていた家賃収入が途絶えてしまいました。この10年間、近隣諸国では空前の不動産ブームが起きておりローン額の増加に伴い、追加コストが発生していました。

Dela Cruzが調査したところ、彼女のクライアントが住宅ローンの返済に窮したのはその国の死亡率が高く、それが保険料に反映されているためであることが分かりました。そこで、銀行や不動産デベロッパーと密に連携を取り、譲渡手続きを理解することで、彼女はシンガポールでより包括的なプランを作成し、これらの問題をカバーして保険料を削減するお手伝いをしました。

ニッチ層をターゲットにするためのコツは、クライアントとそのニーズを理解することです。彼女はその特定のニーズを満たす商品やサービスを提供するためのリソースに注目し実現しました。アドバイザーはフォーカスすることでビジネスを特化し、見込客を引き付け、忠実なクライアント・ベースを維持することができます。

Audrey Hengは、MDRTのアジア太平洋市場向けコンテンツ開発を支援するコミュニケーション・エージェンシー、チーム・ルイスのライターです。連絡先:mdrteditorial@teamlewis.com.

CONTACT: Maria Edlyn Dela Cruz edsbagui@yahoo.com