Log in to access resources reserved for MDRT members.
スタッフ求む
スタッフ求む

3 09 2023 / Round the Table Magazine

スタッフ求む

アドバイザーは人材募集に苦労していますが、試練を乗り越えるため調整中。

対象のトピックス

良い人材を見つけるのは簡単ではありません。

新たな働き手が欲しいときアドバイザーは金融業界の知り合いから紹介してもらっていました。しかし頼りにしていたネットワークは今や銀行、不動産業者、弁護士、カーディーラーなど従業員に十分な福利厚生を提供するあらゆるセクターと同様のタイプの労働者を狙う競争相手になってしまいました。

「新型コロナが落ち着いて人が仕事に戻ってきて以来、何らかのスキルを持つ人は既に全員雇用されているように思えます」とWade A. Baldwin, CFPは述べます。

カナダのMDRT会員歴25年のBaldwinは昨年ある求人サイトに管理職の募集をかけたところ、100人以上の応募がありました。その中から5人を選び面接をしましたが、いずれも彼が求める人材ではありませんでした。

「一体全体どうすればいいのだろうと頭を抱えてしまいました」と言います。

提携先の保険会社に優れた管理能力を持つアドバイザーがいることは分かりましたが彼女は保険会社の代理店1年生に求められる販売目標を達成していなかったため解雇されようとしていました。Baldwinは彼女を採用し、手始めに福利厚生なしの給与を提示しました。後に彼女の給料を上げチームのパフォーマンスに基づいて四半期ごとにボーナスを支給するなどの待遇改善を実施しました。クライアント対応に対しては手数料の一部を受け取る制度や、夫の保険では適用されない医療費と歯科費の20%をカバーするプランを含み、さらにファイナンシャル・プランナーの資格獲得に必要な授業料の負担を申し出ました。

「彼女に来てもらって一緒に仕事をするためにはあらゆる手段を講じる必要がありました」と言います。

米国テキサス州の24年間MDRT会員Mark D. Olson, CFP, MSFSもスタッフ募集を求人サイトに掲載し、何百人もの応募者をくまなくチェックしました。しかし有力候補3名のうちの1名はOlsonとの面接前に給料と福利厚生が充実している花屋の仕事を引き受けていました。

「その候補者が私と花屋両方の面接を受けていたというのは、とても奇妙です」とOlsonは述べ、自分の会社は団体医療保険に加入していないことを明かしました。福利厚生を見て応募者が辞退するとしたら、雇用者はどうすればいいのでしょう。

銀行の信託部門から解雇された候補者を採用するためOlsonは前のスタッフよりも高い給料に加え本来は従業員が負担する医療保険料の会社負担を提示しました。さらにキャリアパスとして生命保険や医療保険の販売資格取得、証券業の登録、パラプランナーとしての育成、そして最終的には自社のアドバイザーになる研修費用を援助することを約束しました。

「採用できる人は少なくなっています。優秀な人は転職を考えていない限り他に採られているので給料を高くし福利厚生を充実させないとこちらには来てくれないでしょう」とOlsonは語りました。

どこで見つけるか

求職者数より求人数の方が多い時期にアドバイザーたちが業界の会合などで集まると、必然的に「人材募集はうまくいっていますか。どうやって見つけていますか」といった会話が交わされます。

Douglas John Bennett, Dip PFSは、結婚を機に離職した人たちにパートタイムの仕事をオファーすることでスキルを持ったスタッフを確保しました。そうした女性たちは午前9時から午後2時までの勤務時間や、子どもを学校に迎えに行き課外活動に連れて行くためフレキシブルに働けることを喜んでくれました。

「出費に見合うだけの成果を得ることができました」と英国の16年間MDRT会員であるBennettは言います。「彼女たちは自分のしたい仕事に戻り、しかもフレキシブルに働けることを喜んでいます。当社は大人のためのデイケア・センターではないことを皆が自覚しています。運動会や子どものお迎えのために外出する必要があるときは遠慮なく行くことができますし、仕事は必ずやり遂げるという相互尊重の精神があります。私は彼女たちを信頼していますし、実際にうまくいっています」

メキシコで働くMDRT会員歴8年のErika Silva Velasco, CLI, FSCPはパンデミックによるシャットダウンで見込客との接触が制限されたとき、既存客のニーズに応えることに注力しました。しかし経済活動が再開してから彼女は管理業務がどうも好きになれず、クライアントと接する業務にもっと時間を割くためには助けが必要であることに気付き、リクルーターを雇ってアシスタントを探してもらうことにしました。リクルーターは応募者を審査し、最終的に候補者を3名に絞りSilvaが面接をしました。アシスタントを雇って研修を受けさせバックオフィス業務を任せた結果、Silvaはクライアントにより多くの時間を使うことができるようになりました。

「採用できる人は少なくなっています。優秀な人は転職を考えていない限り既に採られているので、給料を高くし福利厚生を充実させないとこちらには来てくれないでしょう」
—Mark Olson

「リクルーターは候補者全員をふるい分ける経験を積んでいるので私が関わるのは最後だけでした。以前は貴重な時間を費やしてこのプロセスを自分でやっていましたが、その体験からプロに任せるという教訓を学びました。採用プロセスを手伝ってくれる人がいるのは心強いです。誰を雇うかは最終段階で決める方が効果的なのでそこに至るまでのプロセスを引き受けてくれるプロに投資することは重要だと思います」

高額であることを理由に人材紹介会社を敬遠するアドバイザーもいます。紹介料は新人の初年度の給与の半分にもなる可能性があり、紹介後しばらくしてからその人を他の企業の求人に誘い出すリクルーターもいるからです。こうしたことを避けたいのであればスタッフに新入社員候補を 紹介するよう促すこともできます。入社が決まれば紹介したスタッフには紹介ボーナスの一部を、数ヶ月後に新入社員がまだ会社に残っていればその残りを支給します。

仕事に適しているかの審査とテスト

アドバイザーは候補者を特定した後、通常15分間の電話インタビューを行います。候補者がいずれクライアントや見込客と電話で話す際にどのような対応をするのか確認するためです。アドバイザーが電話対応に満足すると候補者は対面での二次面接に招かれ、さらに適性テストや評価テストを受けるケースもあります。

Bennettはこの手順に従い、また「適材適所」を実現したいという思いから、候補者の認知力や直感的な物事の進め方を測定するKolbe A Indexというテストを使っています。Kolbeはファクト・ファインダー、フォロースルー、クイックスタート、インプリメンターという4つの行動様式を10点満点で測定します。管理職に最もふさわしいスコアは7、7、3、3です。例えばファクト・ファインダーは人がタスクに取り掛かるのにどれだけの情報を必要とするのかを測定します。管理職に最適な数字は7ですが、それ以上のスコアの人はどんなにデータがあっても行動できない可能性があります。管理職にとってクイックスタートに3という低い数値が適切なのはBennettによれば、プロセスに従って仕事を完遂する人の方が、あちこちに手を伸ばし仕事を中途半端に終わらせる人よりもふさわしいからだということです。

「採用には時間をかけ、解雇には時間をかけない」というのは人事の合言葉ですが、長い採用プロセスは良い候補者を失う結果になりかねません。オハイオ州の18年間MDRT会員であるJason L. Smithはかつて電話や対面で複数回面接を行っていました。時にはアドバイザーの候補者に現在の仕事を休ませ、採用されたらアサインするポジションで1日体験してもらうミラーリングという研修をしたこともありました。

「雇用市場の競争が激化してきた昨年あたりから、当社のプロセスがあまりに長くて煩雑であるため優秀な候補者を次々と失っていることに気付きました。本当は時間をかけて正しい決定を下したいのですが、雇用市場が厳しい現状においては採用担当者が短くて迅速なプロセスを経て決定できるようにし、その後は90日間の試用期間に委ねるべきです」とSmithは語りました。

英国の24年間MDRT会員Simon John Gibson, Dip PFSは面接と適性テストからスキルや特性の情報を収集することに加え、応募者にもう一つの特質、すなわち優しさを求めています。優しい人のほとんどは共感力も高いので保険会社の存在理由を理解でき、クライアントの身に何が起きるのか気にかけるからです。

「優しさは魔法です。私は人のために動く人を見るのが大好きです。親睦団体やボランティア団体での活動が履歴書に記されているのは素晴らしいことです。若者の組織に関わってきた人、地元のクラブの会計係をしている人、お年寄りを助けている人がいたらテストの結果よりもそちらを優先します」とGibsonは語りました。

プロセスvs. 経験者採用

サポート・スタッフを採用するとき、金融サービスで働いていた経験を条件にするべきですか。あるいは経験がなくても学ぶ意欲がある人を候補に入れるべきでしょうか。

パナマのMDRT会員歴11年になるLibrada Gonzalezは時間に追われて新人研修に苦労している多くのアドバイザーと同様、サポート業務を担う新入スタッフを探すとき難しい問題に直面しました。パナマの労働力プールには管理部門の経験者は多いのですが、保険分野で働いたことのある求職者は稀です。「一から教えなくてもいいように、業界での経験のある人を見つける努力をしています」とGonzalezは言います。

25名のアドバイザーから成る事業には7名のスタッフが働き離職率は低いですが、最近5年間勤めていたサポート・スタッフが辞めてしまいました。新人を教育する時間がほとんどないので集金業務やパソコンの技術、コンプライアンス報告書の作成などにすぐ対応できる人が欲しいと思っています。

「教える時間がほとんどないことを考えると、どうすれば保険業界の経験がない人に入社してすぐに適応してもらえるでしょうか」とGonzalezは尋ねます。

新人が参照できるようにプロセスをマニュアル化すれば経験値の代わりになります。

Douglas John Bennettによれば保険プロセスの基本的な内容は申込書の記入、保障内容の見積もり、医師への問い合わせ、保険の引受と成約です。こうしたプロセスには全て細かいマニュアルがあるので、あえて経験のあるスタッフを雇う必要はありません。

「全ての業務に対してそれぞれプロセスを書き出してください。手順が変わったらスタッフに書き直してもらい、誰もが従えるように詳述します。少し時間がかかりますが、実用的なプロセスを作っておけばレベルの高いスキルがなくても大丈夫」とBennettは述べ、このプロセスは大規模な事業所よりも小規模な事業所の方が、経験値を多少なりとも補完できるのではないかと言い添えました。

しかし詳細なプロセスにも限界があります。Wade A. Baldwinは大規模な専属代理店のサポート・スタッフの採用を通して、管理部門の従業員が扱っている金融商品の基本的知識を持つことの重要性を理解しました。

「新しいスタッフに新人アドバイザー向けトレーニング・プログラムを受けさせ、商品の販売や管理の実際のプロセスを学んでもらったことは実に有益でした」と言います。

「お客さまが電話で保険のキャッシュ・バリューに対する融資など詳しい商品内容について問い合わせてきたとき、スタッフは少なくともある程度理解できました。こうしたことは1週間で習得できるものではありません。私がお客さまが必要とするサービスをきちんと提供するには、それを自分のものにしておく必要があります。この欄にチェックをしたらすぐに答えが出るといった簡単なものではありません。お客さまに自分のニーズを理解されていると感じていただくためには、交流することが重要です」

Gail Singh, FCCA, FSCPはプロセスにこだわる人です。トリニダード・トバゴで10年間MDRT会員の彼女はファイナンシャル・アドバイザーになったのと同じ年に、品質マネージャーと組織的卓越性に関する認定を受けました。しかしいくら詳細なプロセスがあっても、サポート・スタッフがオフィスの全ての機能を理解していなければ次に予期される事柄を把握しきれないことに気付きました。そこで新入社員には担当業務だけでなく他のさまざまな役割に触れさせることで、知識を強化させることにしました。また管理部門には新人アドバイザーの研修を受けさせています。

「私はスタッフを採用する際、このビジネスについてどんどん吸収しスキルを強化して事務員やタイピストで終わらないように励ましています。スタッフは成長していずれ初歩的な業務を卒業するので、社内には専門知識のある優秀な人が常にいることになります。これは人材を定着させるための秘訣のひとつです」とSinghは語りました。

しかし大手代理店の研修リソースにアクセスできない中小の事業所は、どのようにサポート・スタッフを強化すれば良いでしょうか。米国テキサス州の26年間MDRT会員であるYuka Nakahara-Goven, MBA, CLU(中原由賀)は2人のスタッフを「ビジネスに参加させ、このビジネスをなぜ行っているのかを明らかにする」手段の一つとしてlifehappens.orgにログインしてもらっています。生命保険によって家族が経済的破綻から救われた事例を紹介するビデオを見たり、保険商品に関するブログや文献などウェブサイトから得た学びについて話し合います。週ごとのトレーニングとして毎週月曜日に1時間のオンライン・コースで勉強し、1時間のスタッフ・ミーティングでプロセスの課題に取り組み、別に時間を取ってチームとケーススタディーをシェアしています。

「お客さまに対してなぜこのように行動するのかをシェアし、どう思うか尋ねます。スタッフを巻き込むとさまざまな意見や提案が出てきます。専門知識がない場合でも自分のお客さまだったら、自分だったら、自分の家族だったらどうするだろうという視点を聞くことができるのは有益です。和気あいあいと話し合っています。1時間という時間の中で時々ハッとする瞬間があり、私たちがなぜこの仕事をしているのか、ふに落ちているようです。これはスタッフ全員に参加してもらう良い取り組みだと思います」とNakahara-Govenは語りました。

CONTACT

Wade Baldwin wade.baldwin@sunlife.com
Douglas Bennett dougbennett@tpllp.com
Simon Gibson sgibsonmdrt@gmail.com
Librada Gonzalez librada.gonzalez@ljseguros.com
Yuka Nakahara-Goven ynakahara@ft.newyorklife.com
Mark Olson mdolson67@gmail.com
Gail Singh singh.gail@gmail.com
Jason Smith jsmith@c2penterprises.com
Erika Silva Velasco erika.silva@eoscoachingfinanciero.com