信頼を築く第一歩はお客さまが会議室に入ってきた瞬間に感じる印象から始まります。没入型の環境を演出するアドバイザーもいれば、厳選された音楽やチョコレートを置いておくといったさりげない演出を好むアドバイザーもいます。オフィスを離れて高級なレストランでランチやワインやお茶を楽しみながらリラックスした会話をするというアドバイザーもいます。最近開催されたビジネス・プロセス委員会でクライアントに価値を感じてもらえる体験を編み出して差別化を図る方法についてMDRT会員にアイディアをシェアしてもらいました。
参加メンバー:
- Michael P. Austin, CFP, ChFC 24年間MDRT会員
- Layne Jeffrey Brown, ChFC, CLU 17年間MDRT会員
- Jeannine Resteiner Citoli 22年間MDRT会員
- Alvin Albert Jones, CFP, CLU 14年間MDRT会員
- Loeri Ann Robinson, BSc (Hons), LUTCF 12年間MDRT会員
- Darren Patrick Ryan, CFP, CLU 7年間MDRT会員
Austin: お客さまをどのようにお迎えするか、ひとつ例を挙げましょう。数年前のことですがコロラド州のある会員は自分のオフィスをビーチのように設営しました。彼女はオフィスに本物の砂を敷きつめてビーチチェアを置いたのです。面談に来るお客さまにリラックスしてもらうためです。お客さまが希望すれば靴を脱いで砂に足を埋め、凍てついたコロラドではなく温かい日差しのビーチにいるような気分を味わえるようにしました。「信じられないほどの効果があった」と彼女は言いました。用事がなくても立ち寄りたくなるほどその雰囲気が特別だったからです。コロラド州にいながら「僕は今ビーチにいる」という興奮を味わえたのです。明るいソーラーライトも設置されていたのでまさにビーチを訪れたような感覚でした。これは仲間の会員がお客さまの迎え方についてシェアしてくれた事例です。皆さんはどうしていますか。
Robinson: 生命保険は「使わないから不要」と見なされているため、お客さまのもとに出向かなければ話はできません。これがジャマイカ流です。まだ現場で活発に営業していた頃、差別化するために最高級のホテルでランチをしていました。ホテルのスタッフと顔見知りになり、私のテーブルも心得ていて私のオフィスのようになりました。
そのホテルのレストランはジャマイカの多くの経営者がランチをする場所でした。私にとって見込客を探す場であり、同時に存在感を示す場でもありました。すてきな高級レストランで食事をしながらリラックスして話をすると、お客さまは契約を締結したくなる傾向があります。知人のアドバイザーはクライアントをワインバーに招待するそうです。そこが彼女のオフィスであり、セラーには彼女の名前が入ったワインボトルが保管されています。彼女が来ると店のスタッフはそのボトルを彼女のテーブルに置きます。お客さまが彼女のテーブルに来るスタイルです。アポイントメントをよりリラックスした場で行うことが重要です。フォーマル過ぎない場所がよいのです。このビジネスではそういう環境が非常に有効だと思います。
Jones: 私たちのチームはお客さまと繋がりを築くことが得意です。お客さまの好きなアーティストを事前に調べておき、そのアーティストの曲をさりげなく会議室のBGMとして流します。興味深いのはカントリー音楽からポップスまで多様な音楽がかかることです。会議室のBGMはお客さまによって変わります。そのような環境を演出できる音楽は非常に効果的です。
もう一つの演出は特製の個包装されたチョコレートを盛った美しい器を置いてあることです。郵便配達員が一つ取り、宅配便配達員も一つ取り、もちろん帰り際のクライアントもその小さな気配りを喜んでくださるのですぐに無くなってしまいます。
Citoli: 音楽について私たちも同じような取り組みをしています。ロビーにAlexaの音声アシスタントを設置し、お客さまの好きなアーティストまでは分かりませんが大まかなジャンルを判断しています。40代のお客さまには70代のお客さまが来た時とは違う音楽を流します。またオーブンから焼きたてクッキーをお出しし、ラテマシンも備えています。ラテ目当てで立ち寄る人もいます。お客さまは少し早めに到着されることが多いので、ロビーで座って話す絶好の機会です。お客さまの近況、休暇の予定、お子さまの様子などいろいろな話をします。
Brown: 私の事務所はチームワークを非常に重視しています。長年一緒に働いているアシスタントは人間関係の構築が得意で受付を担当しています。彼女のオフィスはメインの入り口を入ってすぐの所にあり、大きな窓口があって皆が通りかかります。彼女は来訪者を迎えてコーヒーや水など飲み物の注文をとります。会議室には軽食を用意していますが、私はあえて一歩引いて彼女がお客さまと家族の話やビジネスとは無関係の話題について話す時間を10〜15分ほど確保しています。話を終えると彼女は私のオフィスの前を通りながら「あなたの番です」または「お待ちです」と伝えてくれます。
面白いのは面談が終わるとお客さまは毎回彼女のオフィスに立ち寄って挨拶するのです。これは本当にすてきなアプローチです。お客さまにも気分が滅入る日や心配事があるときもあります。最初に彼女がそれを聞きお客さまの不安や緊張を和らげます。お客さまはよりリラックスした気分になり、大事なことに集中していただけるのです。
Ryan: 私のオフィスはLayneのアプローチと似ています。でもレセプショニストが丸々10〜15分間かけるような会話はしません。幸運なことに今年で約10年一緒に働いてくれている方がいるのでお客さまは出入りする度に彼女と非常に親しくなります。
彼女はキャンディーやチョコレートの入った器を準備しています。多くの場合、お客さまは行きや帰りがけにいくつか取り、なかには行きも帰りも取っていく人もいます。またミーティングが終わって私と別れた後、帰りがけに受付に立ち寄っておしゃべりをしていくお客さまもいます。これは本当に素晴らしいことです。ただし通常はお客さまが到着したら小さな待合室にお通しし、お茶やコーヒー、水をお出しします。たいていはお客さまを数分間待たせて、彼女と挨拶をして打ち解ける時間を作っています。