多くの新人と同様にNaoki Yonetani 米谷直樹の初期の見込客は友人、親戚、元同僚などでした。以前勤めていた会社の同僚や友人などを中心とするベースマーケットでコツコツ個人契約をお預かりし、入社1年目でMDRTの資格を獲得しました。順風満帆と思われていたころ、友人のお客さまから厳しい言葉をいただきました。
「保険の契約をしたらもう付き合いは終わりなのか。保険を売ったらもう連絡をしないのか。友人の保険の保全を全くしていないのではないか」という厳しい叱責でした。
「ファイナンシャル・アドバイザーの仕事が日々忙しくて、友人としての付き合いを怠っていました。厳しい言葉をかけてくれた友人の誠意には今更ながら感謝しています」と28年間MDRT会員というベテランになった今も当時を振り返ります。
持ち前の行動力を発揮し、その後大きな方向転換を行うことになりました。しかし、個人のお客さまにきめ細やかなサービスを提供していると新規顧客を開拓する時間がほとんどなくなります。このままでは仕事を続けられなくなり大切なお客さまを見捨てることになりかねないと考えました。そこで経営者を対象とする営業スタイルへの大きな方向転換を目指すことにしました。そのマーケットで好成績を上げている先輩を訪問してあれこれ質問したり、関連本を読みあさったりして経営者に対する営業方法を学んでいきました。あまりに集中して学習したため、なんと半年にわたって一切の営業活動を休止し、その期間の新規契約はゼロになってしまいました。
経営者の視点
米谷は経営者のニーズに応えるにはその人や会社の状況を理解する必要があると考えました。面談を通してお客さまの個人的な課題について学び、経理の知識を生かし、会社の課題を見極めました。会社の財務諸表や納税申告書を精査し、その情報を見込客である経営者が理解しやすい形式に整理すると共に、税理士などの専門家とも連携しました。
「簿記の知識が非常に役立ちました」と述べます。経営陣から託された財務諸表を分析した結果を報告する際には、会社の特徴や問題点を簡潔に説明しました。
営業方法についてもさまざまな情報交換によって 自分の強みと弱みを理解できることに 大きなメリットを感じています。
—Naoki Yonetani
経営者や企業マーケットの開拓を進めるなかで新たな戦略を採用しました。それは「地域限定型」と呼んでいる地方都市のマーケット開拓です。住まいのある東京から車で3時間ほどの浜松にいる知人を頼りに、地元のレストランやバーにも足繫く通いました。年間45週も現地へ足を運び、地域を深く知ることを目指しました。キーとなる方々や経営者の中から専門家として協力できる方々を見つけていきました。地理的に狭く移動が容易なため、 1日にいくつものアポイントメントを詰め込むことができ、ビジネスは繁栄し始めました。
「お客さまの満足度が高ければ、ご加入くださったお客さまは、親しい経営者に私を紹介してくれるようになります」
浜松でのビジネスが軌道に乗り始めた矢先、今度は熊本に地盤をもつ知人から地域開拓の誘いが来ました。しかし飛行機を使わないと通えない場所です。悩んでいた頃、米国本社の先輩社員に1000キロも離れた先での地域開拓について悩んでいることを打ち明けました。するとその先輩に「たった1000キロじゃないか。車でも行ける。隣町くらいの感覚だ」とあっさり言われてしまいました。米国との距離感覚の違いに驚嘆したものの、新たな地域開拓へチャレンジしました。熊本へも1年目は45週程度通い、地域基盤をしっかりと構築していきました。
ネットワークの力
MDRTや会社の国際的な会合に参加することのメリットについて聞くと「それぞれの文化の違いを痛感することがあります。1000キロ先の熊本を隣町くらいの感覚と言われたことには驚きました。保険をはじめとする金融商品はかなり先に進んでいるという印象を受けることもあります。日本には無い商品の情報を聞くこともできます。営業方法についてもさまざまな情報交換によって自分の強みと弱みを理解できることに大きなメリットを感じています」と述べました。
現在は4つの地域限定型の営業地域をもち、それぞれに30社ほどのクライアント企業があります。東京では約60社を扱っているため地方の市場は規模が小さいと言えますが、1日に複数の企業を訪問でき、見込客の発掘と既契約者へのサービス提供のバランスをとれます。「お客さまの多くはお互いが親しい友人同士なので夕食会やゴルフ、旅行などを通じて、深いコミュニケーションを維持しています」と言います。そして友人が言ってくれた言葉を決して忘れず、既存のお客さまへのサービスに常に気を配っていると語りました。
どんなに強い地域市場を増やしても、お客さまをおろそかにすることはできません。「保険の仕事は契約がスタートであり、成約して終わりではありません。継続率が高いファイナンシャル・アドバイザーであり続けることが私の最も大切にしていることです」と力強く語ってくれました。