By Kathryn Furtaw Keuneke, CAE
Simon D. Lister, Dip PFSは幼い頃から金融の世界に焦点を絞っていました。紆余曲折を経て、独立系のファイナンシャル・アドバイザーとなってからは長時間労働のハードワークにより、早くから成功を収めていました。その後出会った先輩アドバイザーから目標を引き上げ、細部へのこだわりと規律あるアプローチを学びました。生産性をレベルアップすることができ、違う視点を受け入れ考える姿勢が、18年にわたってMDRT会員でありビジネス・リーダーでもあるListerを役員会メンバーとしてMDRTを将来に向けて導く立場に向かわせたと言えます。
金融に専念
Listerが10代の頃の関心は、サッカーと数学という二択でした。二刀流を目指して両方に取り組んでいましたが、16歳の時に大きなケガをしました。「足を骨折したのは最も素晴らしいことだった」と笑います。勉強に専念することにより恩恵を受けたからです。
しばらくサッカーを諦めて数学、特に金融に魅了されました。そのころ父親が長年勤めた銀行からファイナンシャル・アドバイザーに転身したことも優れた数学的能力を生かせる職業に導いたと言えます。
18歳のとき、Listerは確定給付型年金制度の報告書を作成しながら、専門的な保険数理の資格を取得するプログラムを受講しました。難しい数学の勉強は楽しかったのですが、孤独を感じて、いつか自分の仕事が役立っているお客さまとつながりたいと思っていました。その後、銀行に就職し、お客さまに金融アドバイスを提供する仕事をするようになりましたが、それは彼が考えるアドバイスとは異なるものでした。お客さまがいらして、これが欲しいと言い、それを提供するという仕事だったからです。「思っていたようにお役に立つことができませんでした」
Listerは専門知識を生かしてお客さまに客観的で専門知識に基づいたアドバイスを提供したいと考え、独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)になりました。IFAというポジションは彼の学歴と資格、銀行で受けた研修、そしてお客さまのお役に立つために努力を惜しまないという姿勢にピッタリでした。
お客さまの力を引き出す
新米IFAとしてListerはゼロから顧客開拓に取り掛からなければなりませんでした。出会うお客さま一人ひとりにポジティブな体験を提供することで、自分の居場所を見つけました。お客さまが感心してくだされば紹介を得られると確信していました。「それがお客さまを獲得する最大の方法であり、今でも同じです」と言います。
年金の数理人として培った専門知識は、リタイアメント・プラン設計を専門にするための自信と専門性を与えてくれました。お客さまがそれぞれの人生の階段を上るのを手伝う仕事を楽しんでいました。「お金の扱いが怖いと思う方がいらっしゃいます。私にとって、お客さまが退職後も自信を持って、目標や夢、野望を実現できるようにお手伝いすることこそが重要です」
Listerは天職を見つけたのです。あるIFA社のパートナーとなり、顧客基盤を築き、生産性を向上させるために必死に働きました。しかし、それには代償が伴いました。長時間労働で、他のことをする時間がほとんどありませんでした。でも当時は頑張って努力すれば結果はついてくると信じていました。「失うものは何もない、全てを得られると思っていました」と言いました。
キャリアの展開
彼の献身的な働きにより多くの紹介をいただき、安定した顧客基盤と信頼を得て、高い生産性を実現しました。社内で優秀な業績を収めていましたが、さらに進化したいという願望がありました。そのときには結婚して、息子が生まれたばかりだったので、ひたすら長時間労働を続けることはもはやライフ・スタイルに合わなくなっていました。打開策を求めていたListerはある日、業界の会議に出席し、答えを見つけました。MDRT元会長で48年間MDRT会員のTony Gordonの言葉に感銘を受け、彼に会いに行き、キャリアを新しい方向に導く手助けをしてもらうことになりました。Listerは片道4時間も運転して3カ月ごとに直接指導を受け、業績を振り返る方法や、得意分野と不得意分野を特定することを学びました。そのプロセスで1週間に何人の方にお会いしているか、お客さまが彼のアドバイスを受け入れるために何回の面談が必要か、平均的な案件規模など、自分にとって重要なデータを特定することができました。GordonはMDRTについてもListerに教えました。当時すでにコート・オブ・ザ・テーブルの成績をあげていたのに、MDRTの存在を知らなかったのです。Gordonに入会を強く勧められ、必ずアニュアル・ミーティングに参加するようにと言われました。
ビジネスのデータを注意深く分析し、週単位で必要なアポイントメントの件数を特定し、さらに自分が扱わない小さな案件のラインを決めました。具体的な目標を設定すると、その目標をメンター、ビジネス・パートナー、そして妻とも共有しました。大好きな数学と問題解決能力を生かし、翌年トップ・オブ・ザ・テーブルを達成するという目標に向けてスコアカードを作りました。
新たな目標を設定したListerはビジネス・パートナーで18年間MDRT会員のCraig D. McClurg, Cert PFS, BA (Hons)、そしてListerの父David James Lister(引退まで7年連続MDRT会員)と共に、2011年にML Financial Associatesを設立しました。3人で始めた事業は、現在では2つのオフィスを構え、運用資産総額3億9000万ドルを誇る独立系金融アドバイザリー会社へと成長しました。
現在、5名のアドバイザーを擁するML社のサービスは、お客さまが必要とする専門分野に基づいて、適切なアドバイザーをひとりもしくは複数名配置できるまでに進化しています。「お客さまがアドバイスを探すジャーニーは、私だけのものではありません。金融アドバイスを策定し、提供するにあたって複数の専門家が関与します」専門家が協力することで、ビジネスにさらなる強みを与えています。お客さまには3~5人のチームが対応するので大きな安心感を与えられると言います。
マネジング・ディレクターであるListerは同社の日常業務を管理する責任があるために長時間労働という慣習に逆戻りしてしまう可能性がありました。家族のためにワークライフ・バランスを維持することを心に決めたListerは2024年に業務管理責任者を雇用しました。業務効率が改善し、以前ほど経営に時間を取られなくなりました。
グローバル・コネクション
継続的な成長はListerの重要な目標です。初めてGordonに指導を求めてから約20年が経ちますが、2人は今でも定期的に会っています。そしてあらゆる角度からの意見を熱心に求めるListerには5人のMDRT会員と共に設立したスタディー・グループがあり、互いに相談相手となっています。「私たちは仕事上の良いことも悪いことも共有しています。経営者だと何もかもひとりで背負っているような孤独を感じることがあります。これで正しいのだろうか。方向性は間違っていないだろうか。自己不信に陥りがちです。『誰かとその不安を共有できる』『誰かが自分の味方になってくれる』『相手も同じように感じている』と分かると、安心することがあります」
他のアドバイザーとのつながり、テクノロジーやアドバイス提供など、世界が変化し続ける中で仲間が経験していることは、MDRT会員としての重要なメリットです。「それぞれの市場で何が起こっているかを理解することは優れたアドバイザーとなり、バランスの取れた人間になるのに役立ちます」と言います。
MDRTにおける数々のボランティア活動を経験し、MDRT Foundationのプラチナ・ナイトの称号をもつインナー・サークル・ソサエティのメンバーとしてListerは仕事に特化したアイディアやアドバイスをMDRTから得ることで、世界で起こっている他の事柄にも目を向けられるようになっています。「気をつけないと、自分の殻に閉じこもってしまう」とも言います。
リーダーとしての成長
2008年に初めて参加したアニュアル・ミーティングで、出席していた他の会員が自信に満ちているように感じたことは忘れられません。当時の彼の気持ちとは全く異なる感情だったからです。2年後、彼は会員コミュニケーション・ディビジョンのボランティアに志願し、その後もアニュアル・ミーティングでさまざまな役割を担いました。なかでも初期の役割がListerに意義深いボランティア経験の道筋を作りました。後にトップ・オブ・ザ・テーブル会長、アニュアル・ミーティングのメイン・プラットフォーム/スペシャル・セッション委員会のチェア、そして今年度はアニュアル・ミーティングのプログラム開発部門のグローバル・カウンシル・メンバーです。
新しい役割を担う際に「自分に務まるのか」と不安になることもあったと言いますが、周囲のボランティアが支えてくれました。「仲間からの信頼が、あなたを輝かせるのです」と言います。
来年度役員会メンバー予定者として、Listerは他のメンバーに力を与え、MDRTが世界中の会員を支援しながら前進していくことを重視しています。「たとえ自分のやり方と違っても、任せた人がその人の方法で進められるように支援しなければなりません。方法は違っても求めている結果は得られます。時には思っていた以上の結果になることもあります。だからこそ任せるべきです」
新しい視点を受け入れることでListerは仕事で成長できました。特にMDRTで学んだアイディアはビジネスに大きな影響を与えました。このような彼のオープンな姿勢は、他のMDRT会員がこの組織の進化に貢献することを可能にします。Listerは耳を傾け、学び、MDRTを未来へと前進させる覚悟です。
Contact
Simon Lister simon.lister.mdrt@mlfa.co.uk