インポスター・シンドローム、詐欺師症候群という言葉を聞いたことはありますか。どこかに行った時、周りの人の冷たい目線が「あなたはここに属さない」と言っているように感じる心理状態のことです。金融の専門家として、富裕層(HNW)のお客さまを得るための最初のステップは、その世界の一員になることです。
美術館のメンバーになり、チャリティーのガラ・パーティーに出席し、大学の同窓会に多額の寄付をして、高級なイベントに招待されても、インポスター症候群は依然として残ります。そんな時も、服装や話し方を工夫することで富裕層と交流できるようになります。
何を着るか
これは一番簡単なプロセスかもしれません。古いことわざがあります。「自分がなりたい立場の人のように着こなせば、もっと容易にその目標に到達できる」私が妻とファッション・ウィークをテーマにしたクルーズ旅行に行っていた際、金融サービスの専門家による講演があり、その方から素晴らしいアドバイスをいただきました。「家を出る時は、今日偶然高校時代のライバルにばったり会うつもりで服を選ぶ」ということです。
自分の見せ方についてさらに考えてみましょう。以下の多くは当然のことのように思えますが、急いでいると手抜きをしがちです。
名刺と電話。「名刺をもっていない」という状況があってはいけません。名刺をいただいたら、こちらからもお返しするべきです。名刺にはいろいろな役割があります。共通の興味や社交的に集まる理由を見つけた結果、名刺を交換することになるからです。名刺の裏面に自分と配偶者のファーストネームを書き、共通の趣味(例えばワインなど)について一言二言添え、電話番号を記入して、手書きの面を上にして渡してください。これにより単なる仕事での繋がりというより、個人的なリンクができ、名刺の表を見るとビジネスの信頼性が感じられます。携帯電話は常に手元にあるでしょうが、イベント中はマナーモードにすることをお忘れなく。
- ペンと現金。予備のペンをいつも持っていてください。名刺の裏に記入するときにも必要になります。コートを預かる方や車を停めてくれる人にチップを渡せるように現金も用意しておきましょう。
- 自信。あなたが前向きでいれば、それは態度から相手に伝わります。すべての人を尊重し、対等な存在として扱ってください。相手がこの場で最も重要な人物であるかのように接してください。
何の話をするか
お金持ちは別世界の人だと思っているなら、インポスター症候群が忍び寄っている証拠です。何年も前のおしゃれな雑誌に、手すりにもたれかかる身なりの良い男性の広告が掲載されていました。広告には「彼が初めて1000万ドルを稼いだばかりなのか、最後の1000万ドルを使い果たしたばかりなのかは分かりません」と書かれていました。見た目だけでは判断できませんが、金融の専門家としてこの世界にふさわしい態度で行動してください。では、富裕層はどのようなことを話題にしているのでしょうか?
- 仕事での成功。成約した取り引きについて話します。昇進についても話すでしょう。興味を示して、もっと話を引き出してください。
- 不動産価格。彼らは不満を口にしたり文句を言ったりしますが、不動産を所有していることをひそかに自慢しています。地元の建築中の建物を話題にしてはいかがでしょう。
- スポーツ。誰にでも応援しているチームがあります。チームのオーナーである可能性は低いですが、富裕層も観客のひとりです。
- レストラン。裕福な人ほど自宅で食事をすることが少なくなります。だから常に新しいレストランを見つけては試しています。最近見つけたお気に入りは?
- チャリティー支援。富裕層の方と出会うイベントは非営利団体と関係することが多くあります。他にも支援している団体はありますか?
- 旅行。富裕層はよく旅をします。バケーションとは限りません。会員限定サービスにお金を払い、新しいことを試してみたいと考えています。次はどこへ行きたいですか。
- 投資。株式市場と金もうけの話をします。つまり皆さんの得意分野です。金利についてどう思いますか。
- 趣味。多くの方は何かに対して情熱を持っています。何かの収集家かもしれません。どんなことに興味をもっているのかを聞き出してください。
- 健康。自分の健康について、そして両親の健康も大きな関心事かもしれません。年を取るほど医者にかかることも増えていきます。健康はフォローアップにふさわしいトピックです。心配して質問することもできます。
どうやって溶け込むか
やってはいけないことは簡単です。売り込まないこと。売ろうとすると急に壁が現れます。しかし、黙っていてもいけません。自分の意見を率直に述べ、嘘や誇張はしないことが大事です。不誠実な言葉はすぐにばれます。
- お気に入りのレストランがあります。富裕層はお気に入りの話をしますので、皆さんもお気に入りの話をしてください。ディナーのダブルデートはいかがでしょうか。
- 趣味もあります。芸術品を収集する人に会うこともあります。ワインを集めている人もいるでしょう。時計やジュエリーがご趣味かもしれません。すべての分野で競うことはできませんが、趣味を専門分野として位置付けましょう。
- 新車である必要はありませんが、きれいな車であることは大事です。最近の自動車は何年か使っていても新品同様の外観を保ち、デザインもそれほど変わりません。「レストランまで送迎します」と言うなら、それなりの印象を与える車を持っているべきです。新車でなくても内も外もきれいに維持しておきましょう。
そういうところに本質が現れます。偽ものや他意のある人は見抜かれ、売り込もうとしていることを感じとられます。自信があり、誠実で継続的に顔を出していれば、あなたに安心感を抱くようになるはずです。