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2 22 2022

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危機の中でより良い解決策を見いだす

専門家としてのアドバイスを提供することで、パニックになったお客さまの再起を助ける

2019年夏のことです。私のクライアントが理想的な住まいを購入し、それまで住んでいた持ち家は後から売却するという決断をしました。当時はそれほどリスクを伴う決断には思えませんでした。不動産市場が好調だったため、持ち家はすぐに売れるだろうと想定し、古い家を新しく塗り替え10月に売りに出しました。半年分の住宅ローン、固定資産税、光熱費を賄えるだけの貯蓄を準備し、翌年4月までには必ず売れると確信していました。

しかし、この家は予想以上に長く売れ残ってしまい、想像を絶する事態が起きました。COVID-19の大流行で、地元の住宅市場が一時的に麻痺してしまったのです。自宅待機の指示でオープンハウスは中止され、購入希望者は計画を保留しました。さらに数ヶ月間この家は空き家となり、ご夫妻にとってさらなる悲劇が起きました。パンデミックによりご主人は会社のレイオフの対象となり、突然収入源が1つしかない状態に陥ってしまったのです。

私に相談にいらしたときには、ご夫妻は経済的に困窮し、パニックに陥っていました。2軒目の家を購入するために貯金をすべて使い、1軒目の家の融資枠も使い切ってしまった、と説明されました。当時、住宅市場は堅調だったので「もし持ち家をすぐに売却できなかったらどんな悲劇が起きるか」ということは考えてもみなかったそうです。貯蓄がどんどん減っていく中、今後も諸費用を払い続けるために、ご夫妻は登録退職貯蓄制度(401(k)に似たカナダの退職金制度)やその他の投資を取り崩そうとしていました。

私は退職貯蓄を利用すると、税金が発生するだけでなく、パンデミックの影響で市場が一時的に低迷している現在、投資の取り崩しは不利になるとご説明しました。その結果、退職金に手を付けるには最悪のタイミングであることを納得していただきました。

まず、パンデミックによって経済的なダメージを受けた人々を支援するために設けられた政府の救済プログラムに応募するようにアドバイスしました。そして、古い家が売れるまで維持できるだけの追加費用をどう捻出するかを検討しました。最終的に生命保険の積立金を活用するという解決策を導き出しました。

ご加入いただいていた保険は終身保険で、何年もかけて価値を積み上げてきたものでした。この保険には引き出しができるオプションもあります。退職後に十分な貯蓄があれば、その配当金で永続的に保険料を支払うことも可能です。このオプションがあることを忘れているクライアントもいますが、いざというときの救世主になります。

1週間もかからずに融資が完了し、少なくともあと9ヶ月は金銭的負担を賄えるだけの資金が確保されました。このソリューションにより退職勘定からの早期引き出しに伴うペナルティーや税金を支払う必要もなく、資金を利用することができました。その後、ご夫婦の家は売却でき、ご主人は仕事に復帰されました。そして再び軌道に乗るとローンを返済することができたのです。現在は、緊急時の資金を再構築し、老後の資金を増やすことに専念しています。

Aurora Tancockは、カナダのオンタリオ州の20年間会員です。連絡先:aurora@atfs.ca.